事業内容
松井証券は1918年創業、2001年に東京証券取引所第一部に上場した独立系オンライン証券会社である。株式・先物・オプションの委託売買、投資信託販売、FX(外国為替証拠金取引)、米国株取引、IPO引受など幅広い金融商品・サービスを個人投資家向けに提供する。
主要顧客は投資に能動的に取り組むアクティブ個人投資家であり、新規口座開設者の4割以上が30代以下の投資初心者層も取り込んでいる。大手オンライン証券5社の中で唯一の独立系企業として、グループ企業の顧客基盤に依存しない独自のポジショニングを確立している。
事業は単一セグメントで運営され、オンラインベースのビジネスモデルに経営資源を集中することで効率的なオペレーション体制を維持している。
ビジネスモデル
収益は主に①株式等委託売買に伴う受入手数料(2026年3月期:25,963百万円)、②信用取引貸付金や預託金の収益分配金を中心とする金融収支(同:17,306百万円)、③FX取引のトレーディング損益(同:5,819百万円)の三本柱で構成される。オンライン専業モデルにより対面型証券会社と比較して低コスト構造を実現し、高い営業利益率を維持している。
信用取引貸付金の原資は銀行等からの短期借入金で調達し、資金効率を高めている。
企業の強み
第三者評価機関HDI-Japanの「問合せ窓口格付け(証券業界)」で最高評価の三つ星を15年連続取得。J.D.パワー「2025年カスタマーセンターサポート満足度調査」ネット証券部門でも2年連続1位を受賞。
多要素認証必須化による一時的な応答率低下に際しても速やかなオペレータ増員・休日受付拡大で高水準の対応品質を確保した実績を持つ。
松井証券のYouTube公式チャンネルは登録者数79万人を突破し、総再生回数は1.8億回超と金融機関が運営するメディアでNo.1のブランドを確立している。広瀬アリス起用の新CM全国放映、プロeスポーツチームFENNELとのスポンサー契約など認知度向上施策を継続的に実施しており、動画コンテンツを起点とした顧客獲得経路を自社で構築している点は競合他社が短期間で模倣困難な固有資産である。
ベンチャーキャピタルとの連携強化により、2026年3月期のIPO引受参入率は69%を達成し、IPO銘柄取扱数において業界2位を記録した。IPO関連収益は個人投資家の関心が高い分野であり、取扱数の拡大は顧客獲得・維持の両面で競争優位に寄与している。
独立系企業として特定グループの制約を受けずにベンチャーキャピタルとの関係構築を進められる点も強みである。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
営業収益(売上高)の推移は2022期30,616百万円→2023期31,071百万円→2024期40,207百万円→2025期39,204百万円→2026期52,660百万円。2025期は前期比微減だったが、2026期は前期比34.3%増と大幅加速。
営業利益も2022期12,772百万円→2026期23,462百万円と5期で約1.8倍に拡大。2026期の増益要因は、市場環境として日経平均史上最高値更新による個人売買代金拡大(二市場個人前期比37%増)、金利上昇による預託金収益分配金増加(金融収支17,306百万円、前期比29.0%増)、自社戦略としてFX取引拡大(トレーディング損益5,819百万円、前期比55.1%増)の三要因が重なった。
ROEは13.8%から19.6%へ大幅改善。
成長戦略
ブランド強化・商品ラインアップ拡充・サービス品質向上・新規事業探索の四軸で顧客基盤を拡大
広瀬アリス起用の新CM全国放映、プロeスポーツチームFENNELとのスポンサー契約締結、YouTube公式チャンネル登録者79万人超・総再生回数1.8億回超で金融機関運営メディアNo.1を確立。投資情報メディア「マネーサテライト」リニューアルによるテキスト記事配信開始など多様なコンテンツ展開を継続。
JCBとの協業によるクレジットカード投資信託積立サービス開始、MATSUI Bank「証券残高連動 円普通預金ランク別金利プログラム」導入(最高年0.65%)、FX通貨ペアを32ペアに拡充、米国株プレマーケット取引対応と「マーケットラボ米国株」提供開始など、投資初心者から上級者まで対応する商品拡充を実施。
ベンチャーキャピタルとの連携強化によりIPO引受参入率69%・業界2位の取扱件数を達成。個人投資家に人気の高いIPO銘柄の取り扱い拡大により、新規顧客獲得と既存顧客の取引活性化に貢献。
株式会社エージェントIGホールディングスとの資本業務提携契約を締結し、保険領域への参入を実現。同社グループの専門的なファイナンシャル・プランニング・サービスと連携し、顧客のライフプランに基づく最適な保険商品提案を可能とした。証券以外の金融ニーズへの対応力を強化。
ログイン時の多要素認証を全顧客に必須化、全取引チャネルでパスキー(FIDO2準拠)を導入。金融庁サイバーセキュリティセルフアセスメント対応・ガイドライン準拠を推進。
不正アクセスによる顧客被害への補償(支払補償金375百万円)とサイバーセキュリティ保険金(受取保険金212百万円)を計上し、対応体制を整備。
最終更新: 2026年7月19日

