事業内容
キヤノン電子株式会社は1954年設立のキヤノングループ傘下の精密機器メーカーで、連結子会社8社・持分法適用関連会社1社で構成される。主力のコンポーネントセグメントではシャッターユニット・絞りユニット・レーザースキャナーユニット等をキヤノン株式会社およびその生産子会社向けに製造・販売する。
電子情報機器セグメントではドキュメントスキャナー・ハンディターミナル・レーザープリンターを開発・製造・販売し、その他セグメントではITソリューション・医療機器・環境関連機器等を手掛ける。マレーシア・ベトナムに生産子会社を持ち、グローバルな製造体制を構築している。
2025期の連結売上高は104,421百万円。
ビジネスモデル
売上高の約53%をキヤノン株式会社およびCanon Vietnam Co., Ltd.向けが占め、グループ内取引が収益の安定基盤となっている。コンポーネントは受託製造と自社開発品の両輪で構成され、電子情報機器はキヤノンの販売網を通じた最終市場向け販売が中心。
その他セグメントでは外部顧客向けのITソリューション・医療・環境機器販売が独自収益源となっており、グループ依存度の分散を図っている。設備投資・研究開発費は自己資金で賄い、無借金経営を維持している。
企業の強み
キヤノン株式会社との取引基本契約(1999年締結・自動更新)および技術研究開発基本契約(1981年締結・自動更新)に基づき、グループ内取引が売上高の53%超を占める安定的な受注構造を持つ。2025期のキヤノン株式会社向け販売高は45,291百万円(総販売比43.4%)と高水準を維持している。
2025期末の自己資本比率は86.2%と極めて高水準で、純資産は126,953百万円に達する。資金需要(材料費・人件費・研究開発費・設備投資)を全て自己資金で賄っており、有利子負債に依存しない財務構造が外部環境の変動に対する耐性を高めている。
超小型人工衛星CE-SAT-IIB・CE-SAT-IEを自社開発・運用し、防衛省から多軌道観測実証衛星の製造・試験契約を受注(2026年3月末納期)。さらに2025年8月には防衛省情報本部から「画像データの取得及び撮影機能に関する実証検討」を受注するなど、研究段階から事業化段階への移行が具体的に進んでいる。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2021期82,614百万円から2025期104,421百万円へ5期間で26%増加し、緩やかな増収基調を維持している。一方、営業利益は2024期10,397百万円をピークに2025期は8,980百万円へ減少し、営業利益率も10.3%から8.6%へ低下した。
当期純利益も2024期7,655百万円から2025期6,503百万円へ減少。プロダクトミックスの悪化(レーザースキャナーユニットの減産、ドキュメントスキャナーの米国・欧州不振)に加え、米国関税政策や中国市場の縮小といった外部要因が収益性を圧迫した。
成長戦略
宇宙・防衛・医療・農業等の新規スモールビジネス確立とESG経営の深化
防衛省から受注した多軌道観測実証衛星の製造・試験(2026年3月末納期)および打上げ支援・初期運用体制の構築を進める。2025年8月には防衛省情報本部から画像データ取得・撮影機能の実証検討を受注し、事業化が加速している。
キヤノンの国内グループ会社からモータ事業の移管を受け、既存モータの高効率化開発を進めるとともに、ロボット・医療機器・ドローン向け小型高トルクモータ・大型モータ・制御回路の開発を実施。ロボットハンド向けおよびドローン向けモータは顧客評価段階に移行している。
ドキュメントスキャナーDR-C350/DR-C340の新製品投入(2025年10月発売)、ハンディターミナルGT-40シリーズの販売開始、個人認証端末ID-MY2の金融機関向け拡販を推進。インド・東南アジア・中南米等の新興市場での政府・金融機関向け販売拡大を継続している。
植物工場向け移植機・播種機を開発・販売し、画像認識とAIを組み合わせた自動検査機能追加モデルの開発が完了し販売開始段階に至った。栽培規模に合わせた手動機・半自動機・自動機の提案により販売拡大を図っている。
2023年1月に日本初のSGS社によるESG認証を取得。2030年にCO2排出量2013年比46%削減、2050年にCO2排出量実質ゼロを目標に掲げ、製品のEPD・EPEAT GOLD取得やCFP算出・公開など環境配慮設計を継続している。
最終更新: 2026年7月17日

