事業内容
関東電化工業は1938年創業の化学メーカーで、「電解」「フッ素化」「塩素化」「有機・無機合成」をコア技術として保有する。事業は精密化学品(特殊ガス・電池材料)、基礎化学品(無機・有機化学薬品)、鉄系(複写機用キャリヤー・鉄酸化物)、商事、設備の5セグメントで構成される。
売上高の約80%を占める精密化学品事業では、三フッ化窒素・六フッ化タングステン等の半導体用特殊ガスをSamsung Electronics(売上高の22.0%)・キオクシア(18.9%)等の大手半導体メーカーに供給するほか、六フッ化リン酸リチウム等のリチウムイオン二次電池材料も展開する。国内渋川・水島工場に加え、韓国・台湾・中国に製造・販売子会社を持ち、グローバルな安定供給体制を構築している。
ビジネスモデル
自社開発のフッ酸電解技術を基盤に、半導体・電池向け高純度特殊化学品を製造し、大手半導体メーカーや電池メーカーへ直接販売することで収益を得る。販売数量の増加と価格修正(値上げ交渉)の両輪で収益を拡大する構造を持つ。
加えて、電池材料製造技術のライセンス契約(MEXICHEM FLUOR INC.等)によるロイヤリティ収入も収益源の一つとなっている。グループ内では設備事業・商事事業が製造・販売を内製支援し、グループ全体の収益効率を高める垂直統合型モデルを採用している。
企業の強み
三フッ化窒素・六フッ化タングステン・KSG-14等の半導体用特殊ガスにおいて世界有数の製造能力と品質を有すると有報に記載されている。Samsung Electronics(14,394百万円)・キオクシア(12,342百万円)という世界トップ級の半導体メーカーとの大口取引継続がその品質・供給力の証左であり、両社合計で売上高の約40.9%を占める。
1970年に独自のフッ酸電解技術を確立して以来、50年超にわたりフッ素関連技術を蓄積してきた。KSG-14・KSG-5等の新規ガスでは特許網を構築して高い参入障壁を形成しており、研究開発投資額は当期2,304百万円。
2024年4月には水島地区に新研究棟を竣工し、韓国拠点でも2023年11月から研究開発を開始している。
国内渋川・水島工場に加え、韓国に関東電化ファインプロダクツ韓国㈱(製造・研究開発)・関東電化KOREA㈱(販売)、台湾に台灣關東電化股份有限公司(販売)、中国に宣城科地克科技有限公司(製造)・科地克(上海)貿易有限公司(販売・調達)を展開し、製造拠点の複数化による安定供給体制を構築している。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2023期ピーク78,675百万円から2024期64,768百万円へ急落後、2025期62,351百万円・2026期65,400百万円(前期比4.9%増)と緩やかに回復。営業利益は2024期の営業損失1,968百万円から2025期4,272百万円・2026期5,478百万円(同28.2%増)へ2期連続で大幅改善。
外部要因として生成AI普及に伴う半導体需要拡大が精密化学品事業(売上高52,536百万円、前期比6.2%増)を牽引。為替差益(1,291百万円)も経常利益を押し上げ、経常利益は6,629百万円(同47.1%増)を達成。
一方、渋川工場火災による特別損失1,030百万円が純利益を圧迫し、親会社株主帰属当期純利益は3,785百万円(同16.5%増)にとどまった。2027年3月期は売上高95,000百万円・営業利益10,000百万円を予想し、精密化学品の販売数量増加と価格修正効果が主な増収ドライバーとされている。
成長戦略
精密化学品事業拡大・ROIC経営・事業ポートフォリオ改革を軸とした「Dominate 1000」延長実行
六フッ化タングステン・KSG-14・六フッ化リン酸リチウムの販売数量増加と価格修正効果を継続推進。2027年3月期は精密化学品の販売数量増加および一部製品の価格修正効果等により売上高95,000百万円を目指す。生成AI普及に伴う半導体需要拡大が外部追い風として機能。
2025年8月発生の渋川工場火災により三フッ化窒素の販売数量が減少したが、製造プラントの復旧を完了し関係当局の許可を受けて操業を再開。安全対策(表示灯追加・識別表示強化・設備運用見直し)と安全専任者配置・KDK-SS活動を実施し再発防止を徹底。
資本コストを意識した経営指標としてROICを導入し、事業ポートフォリオ改革と連動させて資本効率を改善。政策保有株式の縮減を進め、投資有価証券は前期8,181百万円から12,184百万円へ増加(評価差額拡大が主因)しており、縮減方針との整合性の確認が必要。
2023年11月の中計見直しで配当性向目安を20%から30%以上に引き上げ。2026年3月期は年間配当20円(配当性向30.3%)、2027年3月期は年間36円(同30.4%予想)と増配方針を継続。株主還元強化と設備投資継続のバランスを維持しながら企業価値向上を図る。
最終更新: 2026年7月19日

