事業内容
日本製紙株式会社は、当社・子会社120社・関連会社29社で構成されるグループを率い、洋紙・板紙・パルプを中核とする紙・板紙事業を基盤に、家庭紙・紙加工品・化成品を手掛ける生活関連事業、製紙工場の発電設備を活用したエネルギー事業、木材・建材・土木建設関連事業を展開する。国内製紙業界の主要プレーヤーとして、一般消費者から産業用途まで幅広い顧客層を持ち、豪州Opal社・北米NDP社など海外事業も有する。
再生可能な木質資源の循環利用を事業の根幹に置き、「総合バイオマス企業」への転換を推進している。
ビジネスモデル
国内外の製紙工場・森林資源・育種技術を共通インフラとして活用し、紙・板紙の製造販売で安定的な売上基盤を確保しつつ、家庭紙・機能性フィルム・化成品・液体用紙容器等の高付加価値製品で収益性を高める。さらに製紙工場の余剰発電能力を電力卸供給に転用し、木材・建材事業では森林資源を川上から川下まで垂直統合的に収益化する多層的な収益構造を持つ。
企業の強み
中期経営計画2025においてグラフィック用紙の生産能力を約30%削減し、稼働率90%を維持することで固定費効率を改善した。他社の事業撤退も重なり2025年度の国内洋紙販売数量は前期を上回り、生産体制再編が競争力強化に寄与していることが実績として確認されている。
ブラジルでのユーカリ育種・植林管理技術によりDNAマーカー選抜等の最新技術を導入し単位面積当たり収穫量を継続的に向上させている。国内では熊本・静岡・広島・鳥取・大分・秋田の6県で「特定増殖事業者」認定を取得し、2026年1月には秋田工場内に国内最大の閉鎖型採種園を開設するなど、エリートツリー苗木事業の供給体制を着実に構築している。
中期経営計画2025の下で生活関連事業の売上高比率を2020年度の32%から2025年度に40%へ引き上げた。2025年度の生活関連事業営業利益は7,172百万円と、前期の営業損失6,137百万円から黒字転換を果たし、クレシア宮城工場の通年稼働やNDP社の操業正常化が寄与した。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
2026年3月期は売上高1,192,606百万円(前期比0.9%増)、営業利益25,205百万円(同27.9%増)、親会社株主帰属純利益11,743百万円(同158.7%増)。クレシア宮城工場の通年寄与とNDP社の操業正常化が増収・増益を牽引。
特別損失の減損損失が前期13,329百万円から2,008百万円へ縮小したことが純利益急回復の主因。一方、石炭価格下落に伴う販売電力価格低下でエネルギー事業は減収、洋紙輸出の市況悪化で紙・板紙事業の営業利益は急減。
2027年3月期は中東情勢による原燃料高止まり(外部要因として70億円の減益を織り込み)を前提に営業利益25,000百万円、純利益10,000百万円と小幅減益を予想。
成長戦略
中期経営計画2030でB/S最適化・構造改革・収益性向上の3戦略を同時推進
ネットD/Eレシオ1.0倍以下(自己資本ベース)を目標に、資産売却・有利子負債削減を推進。投資有価証券売却(2026年3月期10,106百万円収入)等を通じた資産スリム化を継続。自己資本比率は29.2%(前期28.3%)と改善傾向。
クレシア宮城工場の通年稼働により家庭紙売上が拡大し、生活関連事業は2026年3月期に黒字転換(営業利益7,172百万円)。NDP社・Opal社の操業正常化も寄与。次期も価格修正の通期寄与を見込む。
国内洋紙需要の長期縮小に対応し、抄紙機停機・生産体制再編によるコスト構造改善を推進。2025年度に取り組んだ各種製品の価格修正が2027年3月期通期で寄与する見通し。人件費・物流費上昇への対応として原価改善を継続。
中期経営計画2030の財務目標としてROIC4%以上・ROE8%以上・営業利益600億円以上を掲げる。2026年3月期ROEは2.4%にとどまり目標との乖離は大きいが、資本市場との積極的な対話と資本コスト・株価を意識した経営を実践する方針。
機能性セルロース(CMC)のハンガリー工場稼働によるEV市場向けグローバル供給体制の確立、次世代型紙容器「NSATOM®」の初採用決定、バイオマス燃料チップ需要拡大への対応など、「総合バイオマス企業」への転換を推進。
最終更新: 2026年7月19日

