事業内容
株式会社三菱総合研究所は1970年に三菱グループ27社の出資により設立された総合シンクタンクを母体とし、現在はシンクタンク・コンサルティングサービス(TTC)とITサービス(ITS)の2セグメントで事業を展開する。TTCでは官公庁向けに政策立案・DX・エネルギー・ヘルスケア等の調査研究・コンサルティングを、民間向けに経営戦略・AI・サステナビリティ支援を提供する。
ITSでは連結子会社・三菱総研DCS株式会社が中核となり、金融・公共・文教分野向けにシステム開発・運用・BPOサービスを提供する。グループは連結子会社9社・関連会社5社の計15社で構成され、東京証券取引所プライム市場に上場している。
ビジネスモデル
TTCセグメントは官公庁・民間企業からの調査研究・コンサルティング案件を受注し、工数積み上げ型の受託収益を主軸とする。ITSセグメントはシステム開発の受注型収益に加え、給与人事サービスPROSRVや千葉情報センターを活用したBPO・アウトソーシングサービスによる継続的なストック収益を組み合わせる。
2025年9月期の受注残高は合計80,532百万円(前年度比6.8%増)に達し、翌期以降の売上を下支えする構造となっている。
企業の強み
設立以来55年にわたり官公庁向け政策立案支援を継続し、エネルギー・ヘルスケア・DX等の主要施策で安定受注を確保。ITSでは三菱UFJニコス株式会社向け売上が15,391百万円(売上高比12.7%)を占め、メガバンク関連の金融システム案件を継続的に受注している。
2025年9月期末の受注残高はTTC 30,217百万円(前年度比17.1%増)、ITS 50,315百万円(同1.4%増)、合計80,532百万円(同6.8%増)に達する。特にTTCの受注高は前年度比19.4%増の51,506百万円と大幅に拡大しており、翌期以降の安定的な売上積み上げが見込まれる。
2025年9月期末の自己資本比率は56.1%、現金及び現金同等物は30,010百万円を確保。有利子負債残高は1,036百万円と極めて低水準であり、設備投資6,318百万円を自己資金とリースで賄いながら、M&A・人材投資等の成長投資余力を維持している。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
過去5期の売上高推移は2022期116,620百万円をピークに2024期115,362百万円まで調整後、2025期121,458百万円で回復。2026期は通期予想125,000百万円(前期比2.9%増)と過去最高水準を目指す。
2026年9月期中間期は売上高72,571百万円(前年同期比10.9%増)、営業利益9,293百万円(同36.3%増)と加速度的な改善を示した。外部要因として、日本成長戦略17分野に関連するコンサルティング需要の拡大、行政DX推進、AI・エネルギー投資の活発化がTTCの売上を牽引。
一方でITSは不採算案件の受注損失引当金計上(716百万円のCF影響)が利益を圧迫しており、セグメント間の収益格差が拡大している。
成長戦略
事業再構築・TTC集中領域強化・ITS重点分野再配置で次期中計(2027年9月期開始)へ布石
電力・エネルギー、医療・介護、BA・AIを集中領域に位置づけ、研究・提言から社会実装までの価値連鎖を深化。2026年9月期中間期においていずれの分野も順調に成長し、TTC全体の外部売上高は33,562百万円(前年同期比16.1%増)、経常利益は8,431百万円(同49.3%増)を達成。
通期予想もTTC売上高51,500百万円・経常利益5,800百万円へ上方修正済み。
金融・カード分野の大型案件完了を踏まえ、産業・公共分野(公共・電力、人材・文教)、金融・決済分野(金融領域)、データAI分野を拡大領域に設定しリソースを重点配置。中間期は売上高39,009百万円(前年同期比6.8%増)と増収を確保したが、不採算案件の受注損失引当金計上により経常利益は1,665百万円(同16.7%減)と減益。
採算管理の強化が急務。
進化・発展の著しいAIを自社業務に積極的に取り込みつつ、新たなサービス提供にも活用するための投資を継続実施。TTCのBA・AI分野が集中領域として順調に成長しており、AI関連コンサルティング需要の取り込みが進んでいる。
具体的な投資額・効果の開示は限定的だが、中間期の利益率改善に寄与していると推察される。
2026年9月期を事業再構築のための1年と位置づけ、TTC・ITS両セグメントの選択と集中を徹底するとともに、両セグメントの相乗効果発現を目指す領域を明確化・絞り込む。日本成長戦略本部の戦略17分野への対応を軸に、将来の着実な成長への布石を打つ段階にある。
最終更新: 2026年7月17日

