事業内容
西松建設は1874年創業、1948年に現社名へ改称した東証プライム上場の総合建設会社(ゼネコン)。国内土木・建築工事の請負を基盤事業とし、シンガポール・フィリピン・タイ等東南アジアでの海外建設(国際事業)、保有不動産の販売・賃貸・管理(アセットバリューアッド事業)、再生可能エネルギー・PPP等(地域環境ソリューション事業)を展開する。
主要顧客は国・地方公共団体(公共工事)および民間デベロッパー・製造業・物流事業者等。伊藤忠商事(議決権22.00%保有)との資本業務提携により資機材調達・不動産開発・DX推進で協業している。
ビジネスモデル
建設事業(土木・建築・国際)では工事請負契約に基づき完成工事高を計上し、手持工事高688,654百万円(2026年3月末)が売上の先行指標となる。アセットバリューアッド事業では保有不動産の賃貸収入と販売益を積み上げ、建設事業の利益率変動を補完する安定収益源として機能する。
地域環境ソリューション事業は再エネ・PPP投資を育成中。建設事業で培った施工力・顧客ネットワークを不動産開発・海外インフラ案件獲得に活用する垂直統合型の収益構造を持つ。
企業の強み
2026年3月末時点の手持工事高は688,654百万円(土木350,376百万円・建築338,278百万円)。築地二丁目再開発・マニラ地下鉄105工区・シンガポールCR110大断面トンネル等の大型案件を含み、複数期にわたる売上進捗の可視性が高い。受注残の厚みは競合との差別化要因となっている。
建築事業の完成工事総利益率は2025年3月期8.7%から2026年3月期11.7%へ3.0ポイント改善。収益改善プランの継続進捗と大型工事での設計変更獲得が主因で、セグメント利益は前期比114.7%増の13,790百万円を達成。
期首計画比でも利益率が1.7ポイント上回り、採算管理能力の向上が実績として確認できる。
2021年12月に伊藤忠商事と資本業務提携を締結。伊藤忠商事は議決権22.00%を保有し、資機材共同調達・循環型不動産事業・PPP共同参画・建設アライアンス構築等で協業する。
伊藤忠グループの不動産運用ノウハウ・顧客ネットワーク・調達機能を活用できる点は、単独では構築困難な競争優位として機能している。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
2026年3月期の連結売上高は396,030百万円(前期比8.0%増)、営業利益28,029百万円(同32.8%増)、親会社株主帰属純利益24,066百万円(同37.2%増)と、売上・利益ともに大幅改善。国内建築工事の完成工事総利益増加が主因で、収益改善プランの進捗と大型工事での設計変更獲得が寄与した。
売上高営業利益率は5.8%から7.1%へ改善。外部要因として政府・民間建設投資の増加傾向が追い風となった一方、労務費・資機材価格の上昇は引き続きコスト圧力として存在する。
2027年3月期は売上高440,000百万円(同11.1%増)を予想するが、純利益は特別利益の剥落等により20,500百万円(同14.8%減)と反落を見込む。過去5期の推移(営業利益:23,540→12,615→18,827→21,098→28,029百万円)は2023年3月期を底に回復基調が鮮明であり、収益構造の質的改善が確認できる。
成長戦略
「西松-Vision 2035」のもとM&A含む成長投資と建設基盤強化を並進
受注時の採算管理強化・設計変更獲得力の向上により、建築セグメント利益率の持続的改善を図る。2026年3月期に前期比114.7%増の13,790百万円を達成し、手持工事高338,278百万円を背景に次期以降も安定利益貢献を見込む。
不動産販売・賃貸・資産管理を核に、2027年3月期の不動産事業等売上高を49,000百万円(前期比73.4%増)へ拡大する計画。販売用不動産残高が14,870百万円(前期末比約8倍)に積み上がっており、売却益創出基盤が強化されている。
フィリピン・マニラ地下鉄105工区等の大型案件受注により海外繰越工事高は95,703百万円(前期比37.0%増)に拡大。着工遅れ・失注による損失(2026年3月期2,363百万円)からの回復を目指し、次期以降の売上高回復と損益改善を図る。
再生可能エネルギー(小水力・地熱・バイオガス等)およびまちづくり事業を育成中。2026年3月期売上高748百万円・損失805百万円と規模は小さく先行投資段階。「中期経営計画2028」に基づくM&Aを含む成長投資で事業規模拡大を目指す。
2024年度より配当方針を配当性向から自己資本配当率(DOE)5%程度に変更。2027年3月期は1株当たり250円(前期230円)を予定し、配当性向48.2%を見込む。M&Aを含む積極的な成長投資と両立させるため財務健全性の一層の強化を方針として掲げている。
最終更新: 2026年7月19日

