事業内容
帝国ホテルは1890年創業の日本を代表するグランドホテルであり、東京(日比谷)・大阪・上高地・京都(2026年3月開業)の4拠点でホテル及び料飲施設を運営する。当社、子会社5社、関連会社2社で構成されるグループは、宿泊・食堂・宴会・外販を主軸とするホテル事業(売上高の約99%)と不動産賃貸事業を展開する。
主要顧客は国内外の富裕層・ビジネス賓客・インバウンド旅行者であり、外国人宿泊客比率は帝国ホテル東京で60.8%に達する。三井不動産を主要株主に持ち、東京証券取引所スタンダード市場に上場している。
ビジネスモデル
宿泊・食堂・宴会・外販の4部門を組み合わせた総合ホテル運営が収益の根幹であり、高単価販売戦略(帝国ホテル東京の一室単価61,897円)と稼働率管理を通じて収益を最大化する。補完的収益源として不動産賃貸事業(タワー館オフィス・テナント等)を展開し、ホテル事業のボラティリティを緩和する設計となっている。
北米・アジアに販売・マーケティング子会社を持ち、インバウンド需要の取込みを強化している。
企業の強み
1890年創業から135年にわたり日比谷の地で営業を継続し、2025年11月に開業135周年を迎えた。渋沢栄一・大倉喜八郎ら財界有力者が発起した歴史的背景を持ち、国内外の賓客・要人を迎える「日本の迎賓館」としての地位を確立している。このブランド力は競合他社が短期間で模倣困難な固有の競争優位である。
帝国ホテル東京(本社)、帝国ホテル大阪(1996年開業)、上高地帝国ホテル、帝国ホテル京都(2026年3月開業)の4拠点を展開する。2026期のホテル事業売上高は55,865百万円で前期比6.7%増を達成。30年ぶりの新規ホテルとなる京都拠点の追加により、ブランドの地理的カバレッジが拡大した。
帝国ホテル東京では宿泊売上高が過去最高の11,862百万円(前期比9.3%増)、宴会売上高12,256百万円(同5.1%増)、食堂売上高6,250百万円(同2.0%増)を計上。単一部門への依存を避けた多部門構成により、需要変動に対する収益の安定性を確保している。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2022年3月期28,617百万円を底にV字回復し、2026年3月期は56,267百万円(前期比7.0%増)と過去最高水準を更新。営業利益は2,126百万円(前期比33.7%増)、EBITDAは4,649百万円(前期比14.9%増)と改善が続く。
外部要因として円安・大阪関西万博によるインバウンド需要拡大が上期を中心に業績を押し上げた。当期純利益は繰延税金資産計上(法人税等調整額△1,826百万円)により4,290百万円と大幅増となったが、税引前利益は2,664百万円にとどまる。
2027年3月期は売上高61,400百万円・営業利益2,400百万円・当期純利益1,850百万円を予想しており、繰延税金資産計上の一時効果剥落により純利益は大幅減少見込み。
成長戦略
京都開業・東京建て替え延期活用・不動産事業拡充で収益最大化を推進
2026年3月5日に30年ぶりの新規ホテルとして帝国ホテル京都が開業。祇園町の弥栄会館の一部を保存・活用し、東京・上高地・大阪に続く第4の帝国ホテルブランドとして企業価値向上を目指す。開業初年度は先行コストが発生するが、国内外顧客の取込みによる収益貢献を段階的に拡大する方針。
建て替え計画を2030年度末頃のタワー館解体工事着工へ延期し、それまでの期間は客室・宴会場の段階的稼働再開に加え、オフィス・テナント等の不動産事業も営業再開することで収益を最大化する。中長期経営計画改訂(2026年5月公表)で明示された方針。
円安環境を背景とするインバウンド需要(外部要因)を自社の高ブランド力・立地優位性で確実に取り込む。東京・上高地・大阪・京都の各拠点で需給変動に合わせた機動的な価格政策と付加価値の高い商品企画を実施し、宿泊・宴会・食堂の単価向上と収益性改善を図る。
帝国ホテル京都開業に向けた人材採用強化・積極的な人的投資を実施。賃上げ・労働環境改善を推進し「健康経営優良法人2026(ホワイト500)」に2年連続認定。デジタル化推進による経費抑制と生産性向上を並行して進め、持続的な企業価値向上につなげる。
廃食用油を原料とする持続可能な航空燃料(SAF)製造プロジェクトへの参画、環境省推奨の食べ残し持ち帰り「mottECO(モッテコ)」の導入など、環境負荷低減への取り組みを強化。ブランド価値の維持・向上と長期的な事業継続性の確保を目指す。
最終更新: 2026年7月19日

