事業内容
東映株式会社は1951年設立の総合エンターテインメント企業で、映像関連・興行関連・催事関連・観光不動産・建築内装の5セグメントを展開する。主幹事業の映像関連事業では劇場用映画・テレビ映画・アニメーションの製作配給を行い、東映アニメーション㈱を中核に『ワンピース』『仮面ライダー』『スーパー戦隊』『プリキュア』等の強力IPを保有する。
これらIPを商品化権・配信権・版権許諾等でマルチユース展開するほか、㈱ティ・ジョイ(現・東映ジョイ・エンタテインメント㈱)によるシネコン運営、東映太秦映画村等のテーマパーク、全国の複合商業施設・ホテルの賃貸・運営、建築内装請負まで幅広く事業を展開する。2026年3月期の連結売上高は185,333百万円、営業利益は36,096百万円。
ビジネスモデル
東映グループの収益構造は、自社製作IPを起点とした多層的なマルチユース展開にある。映像関連事業(売上高127,941百万円、営業利益32,448百万円)が全体利益の約90%を占め、劇場公開・テレビ放映・配信権販売・商品化権許諾・海外版権販売が主な収益源となる。
これに加え、シネコン運営(興行関連)・キャラクターショー・催事(催事関連)・不動産賃貸・ホテル(観光不動産)が安定的なベースライン収益を補完する構造となっている。
企業の強み
『ワンピース』『仮面ライダー』『スーパー戦隊』『プリキュア』『デジモン』等の長寿IPを複数保有し、旧作の周年記念施策・ゲームアプリ・大人向け商材等への版権許諾が好調に推移。IPライフサイクルの長期化により、製作後も十数年以上にわたり収益貢献が継続する構造を持つ。
映像関連事業(営業利益32,448百万円)を主軸に、興行関連(2,403百万円)・催事関連(1,616百万円)・観光不動産(2,757百万円)・建築内装(1,390百万円)が収益を補完。劇場用映画の興行成績に左右されにくい安定収益源を複数保有し、2026年3月期の連結営業利益は36,096百万円を達成した。
東映アニメーション㈱が国内外向けアニメ製作を担い、東映ラボ・テック㈱がポストプロダクション・アーカイブ事業を担うグループ内一貫体制を構築。劇場用映画41本の配給実績を持ち、製作から配給・版権管理まで自社グループ内で完結できる体制が競争優位の源泉となっている。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2022年3月期117,539百万円から2026年3月期185,333百万円へ5期で57.8%拡大し、安定成長軌道を維持している。営業利益は2023年3月期の36,339百万円をピークに2024年3月期に29,342百万円へ落ち込んだ後、2025年3月期35,155百万円、2026年3月期36,096百万円と回復基調にある。
2026年3月期の親会社帰属純利益23,320百万円は固定資産売却益7,413百万円(特別利益)の寄与が大きく、経常利益ベースの増益率は8.9%にとどまる。外部要因として配信市場の拡大・インバウンド需要回復が業績を下支えした一方、地政学リスク・コスト高・為替変動によるインフレ圧力が引き続き先行き不透明感をもたらしている。
2027年3月期は営業利益28,700百万円(前期比20.5%減)と大幅減益を予想しており、2026年3月期の好業績の持続性には慎重な見方が必要である。
成長戦略
TOEI NEW WAVE 2033に基づくコンテンツ投資240,000百万円とグローバルIP展開加速
『仮面ライダー』『スーパー戦隊』のアジア・北南米・欧州でのサイマル配信開始、中国向けリメイク権販売(『百円の恋』)等、海外IP収益源を多様化。2026年3月期は海外商品化権・配信権販売が堅調に推移し、持分法投資利益も4,288百万円(前期3,581百万円)に拡大した。
㈱ティ・ジョイを2025年7月に簡易株式交換により完全子会社化(2026年4月付「東映ジョイ・エンタテインメント株式会社」へ商号変更)。23サイト230スクリーンのシネコン運営を完全掌握し、2026年3月期の興行セグメント利益は前期比207.0%増の2,403百万円を達成した。
太秦映画村のリニューアル工事が進行中であり、2026年3月期は営業エリア・営業日の制限が動員数に影響し売上高が伸び悩んだ。リニューアル完了後の集客回復・収益拡大が期待されるが、工事期間中の収益機会損失は継続リスクとして残る。
「東映プラザ(渋谷・福岡・広島・仙台)」「新宿三丁目イーストビル」等の複合商業施設において市場実勢に合わせた賃料適正化を推進。湯沢東映ホテル・福岡東映ホテルは2026年3月期に収入・利益ともに過去最高を達成。
建築費・人件費高騰という外部要因が再開発事業に影を落とす中、既存資産の収益最大化を優先する方針。
最終更新: 2026年7月19日

