事業内容
静岡ガス株式会社は1910年創業、静岡県を中心に都市ガス・LPG・電力・エンジニアリングサービス等を展開する地域総合エネルギー企業。連結子会社33社・持分法適用関連会社7社を擁するグループを形成し、ガスセグメント(連結売上高の約78%)を基盤に、LPG・その他エネルギー、設備工事・住宅等の周辺事業を展開する。
主要顧客は家庭用・業務用・工業用ガス需要家(期末取付メーター数361,987戸)に加え、INPEX・サーラエナジー等への卸供給先も有する。近年は米国シェールガス開発事業への参入や東南アジア・インド・ベトナムへの海外展開も進めている。
ビジネスモデル
マレーシア等からLNGを長期契約で調達し、清水エル・エヌ・ジー株式会社が製造した都市ガスを自社導管網(本支管総延長5,419km)を通じて需要家に供給する。原料費調整制度によりLNG価格変動をガス販売単価に転嫁する仕組みを持つ。
LPG・電力・オンサイトエネルギーサービス・設備工事・住宅事業等を組み合わせ、地域密着型の総合エネルギーサービスとして収益を多層化している。
企業の強み
2025期末の自己資本比率は67.0%、有利子負債残高は17,983百万円にとどまり、キャッシュ・フロー対有利子負債比率は0.5年、インタレスト・カバレッジ・レシオは217.3倍と極めて健全な財務構造を維持。営業CFは34,560百万円と大幅に改善し、積極投資と財務安定性を両立している。
スポット市場価格が高止まりする局面においても長期契約でのLNG調達を優先することでスポット調達を抑制。2025期のガスセグメント営業利益は前期比52.6%増の14,880百万円を達成し、調達ポートフォリオ最適化が収益改善に直結することを実証した。
不二高圧株式会社のLPG事業連結子会社化、グッドリビング株式会社の住宅事業取り込みにより、その他セグメント売上高は前期比25.7%増の23,248百万円に拡大。米国シェールガス開発権益取得(2025年5月)など、国内外でのM&A・投資を通じた事業基盤の拡充が継続している。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
2026年12月期第1四半期(1〜3月)の売上高は53,788百万円(前年同期比4.1%減)。外部要因として原料費調整制度によるガス販売単価の下方調整とガス販売量の減少(合計419百万㎥、前年同期比1.9%減)が売上を押し下げた。
一方、2021年12月期に先払いしていたLNGの当四半期引き取り完了により売上原価が40,766百万円(前年同期44,247百万円)へ大幅減少し、売上総利益率は24.2%(前年同期21.1%)に改善。営業利益5,281百万円(+14.2%)、経常利益5,760百万円(+22.5%)、親会社株主帰属純利益3,619百万円(+20.6%)と各段階利益が大幅増益。
ただし通期予想は売上高201,130百万円(前期比横ばい)、営業利益9,620百万円(前期比31.6%減)と一時的原価改善効果の剥落を見込む。過去5期の営業利益は2023期18,340百万円をピークに2024期10,302百万円へ急落後、2025期14,072百万円に回復したが、2026期は再び低下する見通し。
成長戦略
基盤ガス事業の安定維持と電力・再エネ・くらしサービス・海外LNGの4成長事業拡大
EIG運営ファンドを通じてMidOceanEnergy(MOE)へ100百万米ドルを出資し、LNG事業の上流から下流に至るバリューチェーンを国内外で拡大する。2026年4月22日にMOEと戦略的パートナーシップ構築に向けた覚書を締結済み。安定性と収益性が両立する事業ポートフォリオの確立を目指す。
富士発電所増設・系統用蓄電池への積極投資により供給力・調整力を増強し、電力販売量の拡大を図る。需給調整市場依存からの脱却と顧客向け直接販売の拡大を並走させ、LPG・その他エネルギーセグメントの収益基盤を強化する。
グッドリビング㈱の連結子会社化による住宅事業取り込みや設備工事受注増加を通じ、その他セグメントの収益拡大を図る。2026年からのグループ再編によりくらしサービス事業・エンジニアリングサービス事業を中心とした成長加速を計画。M&Aを活用した事業領域拡大方針を継続する。
2021年12月期に先払いしていたLNGの当第1四半期引き取りが完了し、売上原価の一時的な改善効果が発現した。今後はLNG長期契約による安定調達とスポット市場調達抑制により、原料コスト競争力の維持・強化を図る。
最終更新: 2026年7月17日

