事業内容
イーレックス株式会社は1999年設立の独立系電力会社で、「再生可能エネルギーをコアに電力新時代の先駆者になる」を2030年ビジョンに掲げる。国内では電力小売(高圧・低圧)、バイオマス発電(佐伯・豊前・大船渡・中城の4発電所)、PKS・木質ペレット等のバイオマス燃料調達・外販、電力トレーディングの4事業を一体運営する。
海外ではベトナム・カンボジアを中心に再生可能エネルギー発電所の建設・運営を展開し、JCM(二国間クレジット制度)を活用したカーボンクレジット創出も計画する。主要顧客は全国の法人・個人需要家および他社バイオマス発電事業者。
東証プライム上場。
ビジネスモデル
バイオマス燃料をインドネシア・マレーシア・ベトナム等から直接調達し、自社発電所でFIT制度下の固定価格で発電するとともに余剰燃料を他社へ外販する。調達した電力はトレーディング機能で最適化し、高圧・低圧の電力小売として法人・個人に販売する。
燃料の自社調達・備蓄ヤード整備・ペレット工場運営によりコスト競争力を確保し、小売・発電・燃料の各事業が相互補完する収益構造を持つ。
企業の強み
インドネシアにPKS備蓄ヤード、ベトナム・トゥエンクアン省に木質ペレット工場(2025年3月製造開始)を自社運営し、丸紅・サムスン物産・阪和興業との長期調達契約(2029年末まで)も組み合わせることで、2026年3月期にPKSを計画比・前年比ともに下回る価格で調達。燃料卸売売上高は前年度比53.5%増の22,750百万円に伸長した。
エバーグリーン・マーケティング、エバーグリーン・リテイリング等の販売子会社4社が全国をカバーし、高圧向け完全固定・ハイブリッド・市場連動プランを提供。2026年3月期の高圧販売電力量は前年同期比21.4%増の2,959百万kWh、低圧供給件数は268千件(前年同期比11.6%増)を達成。
JFEエンジニアリング・JR東日本との資本業務提携も販売・アグリゲーション機能の強化に寄与している。
佐伯・豊前・大船渡・中城の4バイオマス発電所がFIT制度に基づく事業認定を受け、固定価格での電力販売により安定収益を確保。2026年3月期は各発電所が概ね計画通り稼働し、発電事業が収益基盤を下支えした。糸魚川石炭火力は市況を考慮し休止中であり、再生可能エネルギー特化の収益構造が維持されている。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2022年3月期230,502百万円→2023年3月期296,312百万円とエネルギー価格高騰期にピークを付けた後、2024年3月期244,977百万円、2025年3月期171,217百万円、2026年3月期169,170百万円(前年度比△1.2%)と縮小傾向が続く。外部要因として電力市場価格が前年同期比で低水準に推移したことが売上単価を圧迫した。
一方、営業利益は2024年3月期の△19,851百万円(大赤字)から2025年3月期7,137百万円、2026年3月期7,518百万円(同+5.3%)と2期連続で改善。親会社帰属当期利益は5,332百万円(同+151.7%)と大幅増益となり、前期計上の糸魚川発電所減損・買付約定評価引当金の反動、燃料事業の伸長、円安進行による金融収支改善(金融収益1,466百万円)、持分法投資損益の黒字転換(483百万円)が寄与した。
資産除去債務の見積り変更(営業利益・税引前利益それぞれ+579百万円)も一時的な押し上げ要因として含まれる。
成長戦略
国内小売の収益構造改善・燃料外販拡大・東南アジア発電所群の段階的稼働による多軸成長
高圧分野では完全固定プラン・ハイブリッドプランへのシフトと顧客LTV最大化を推進。低圧分野では全国販売ネットワークを活用した転入時新規獲得強化と付加価値商材の導入により、供給件数増加と収益性改善を図る。2026年3月期の高圧販売電力量は前年同期比+21.4%と拡大済み。
ベトナム・トゥエンクアン木質ペレット工場(2025年3月製造開始)からの国内他社バイオマス発電所向け出荷を拡大し、グループ外取引先の開拓を通じてバイオマス燃料の安定調達・供給体制を強化。2026年3月期は燃料事業の売上高・利益が大幅伸長しており、外販モデルが機能し始めている。
トゥエンクアン・イエンバイ(現ラオカイ)省の2か所のバイオマス発電所について、2025年12月に起工式を実施。ボイラー・タービン等の主機を発注済みで、2027年度末の稼働開始に向けてEPCを推進中。いずれも環境省JCM設備補助事業として採択されており、カーボンクレジット創出も見込む。
カンボジア水力発電所は2026年6月完工予定で建設工事が順調に進捗。新設バイオマス発電所(2024年9月カンボジア政府認可取得)の建設準備も進めており、2027年度中の運転開始を目標とする。海外発電ポートフォリオの地理的多様化を図る。
2025年9月〜2026年1月にベトナム国営企業子会社の既設石炭火力2か所で木質チップ・ペレットによる混焼試験を実施。2026年4月16日に商用化に向けた共同検討の覚書を締結。早期の事業化を目指す。
海外バイオマス発電所・石炭火力混焼事業で創出されるJCMクレジットを日本に持ち込み、2026年4月開始のGX-ETS市場等を通じて収益化する計画。中長期的な新規収益源として位置付けており、脱炭素戦略の中核を担う。
最終更新: 2026年7月19日

