事業内容
北海道電力株式会社は1951年設立の北海道唯一の総合電力グループ(ほくでんグループ)の持株的中核会社。発電・小売電気事業を担う北海道電力㈱、一般送配電事業を担う北海道電力ネットワーク㈱、および建設・情報通信・エンジニアリング等の周辺サービスを担う13社のグループ会社で構成される。
主要顧客は北海道内の家庭・産業・業務用需要家であり、小売販売電力量22,118百万kWh(2026年3月期)を供給する。近年は次世代半導体工場・大型データセンター等GX産業の北海道立地に伴う電力需要増加を取り込む局面にある。
ビジネスモデル
収益の大半は電灯・電力料(564,543百万円)および地帯間・他社販売電力料(163,606百万円)で構成される。送配電部門は規制料金(託送収益52,339百万円)による安定収益基盤を持ち、発電・小売部門は燃料費等調整制度を通じて燃料価格変動を料金に転嫁する仕組みを有する。
グループ内工事・通信・エンジニアリング会社が電力インフラ整備を内製化することでコスト効率を高める垂直統合構造を採る。
企業の強み
北海道電力ネットワーク㈱が北海道全域の一般送配電事業を独占的に担い、規制料金による安定収益(売上高322,949百万円)を確保する。法的分離により中立性を担保しつつ、系統整備投資(設備投資82,202百万円)を継続しており、競合他社が代替困難な物理インフラを保有する。
2026年3月期の水力発電電力量は3,646百万kWhで前年度比21.9%増(出水率103.6%)。水力発電は燃料費ゼロの低コスト電源であり、出水率好調時には燃料費削減効果が直接利益に寄与する。水力設備投資6,723百万円を継続し、リプレース等による長期的な発電能力維持を図っている。
北電興業・北海電工・北海道パワーエンジニアリング等13社のグループ会社が電力インフラ工事・保守・情報通信サービスを内製提供。「その他」セグメントの売上高は175,717百万円(外部顧客37,870百万円)、経常利益19,057百万円と高い利益貢献を示しており、グループ内需要増加時に収益拡大が見込める構造を持つ。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は855,983百万円(前期比△5.1%)と2期連続の減収。燃料価格低下に伴う燃料費等調整額の減少が主因。
営業利益は73,238百万円(同△3.4%)と小幅減益にとどまったが、親会社株主帰属当期純利益は43,998百万円(同△31.5%)と大幅減益。前期に19,549百万円計上した核燃料売却益が当期は1,206百万円に激減したことが主因。
外部要因として燃料費等調整制度の期ずれ差益拡大・水力発電量増加が経常利益を下支えした一方、泊発電所再稼働費用・労務費・物価・金利の上昇が収益を圧迫した。5期推移では2023年3月期の赤字(営業利益△22,530百万円)から急回復後、2024年3月期ピーク(営業利益101,155百万円)を経て2期連続で水準が低下している。
2027年3月期は燃料費調整制度の期ずれが差損に転じることで経常利益30,000百万円と更なる悪化が見込まれる。
成長戦略
GX実現・新価値創造・経営基盤強化の3テーマで2035年に向けた持続的成長を追求。
原子力規制委員会の審査対応を継続しながら再稼働を目指す。再稼働実現時には燃料費の大幅削減による収益改善効果が期待される。2026年3月期も設備利用率ゼロが継続しており、再稼働費用が収益を圧迫している状況。
カーボンニュートラル実現に向けた電源開発の中核施策。2号機は2030年度、3号機は2033年度の運転開始を予定。2026年3月期の建設仮勘定は431,887百万円(前期284,053百万円から大幅増)と投資が本格化している。
再生可能エネルギーの大量導入と電力広域融通を支える系統インフラの整備。北海道電力ネットワークが主体となり推進。2026年3月期の有形・無形固定資産増加額は229,317百万円と前期164,776百万円から大幅拡大。
次世代半導体工場・大型データセンター等の北海道立地に伴う電力需要増加を中長期成長機会として捉え、系統整備・供給力強化を推進。2027年3月期の小売・他社販売電力量合計は358億kWh程度(前期比+5.0%程度)を見込む。
電気・電気通信工事、土木・建築、電気通信事業等のその他セグメントが2026年3月期にセグメント経常利益19,057百万円を計上。継続的な原価低減と系統整備投資拡大に伴うグループ内工事需要増加を取り込み、収益多様化を推進。
最終更新: 2026年7月19日

