事業内容
九州電力株式会社は1951年設立の九州地域の基幹電力会社であり、子会社82社・関連会社55社で構成されるグループを率いる。国内電気事業(発電・販売事業および送配電事業)を中核に、海外発電・送配電事業、LNG・石炭・再生可能エネルギー等のエネルギーサービス事業、光ファイバ網・データセンターを活用したICTサービス事業、不動産開発・官民連携の都市開発事業を展開する。
主要顧客は九州域内の家庭・産業用電力需要家であり、データセンターや半導体関連産業の新設による需要増加も取り込む構造にある。2026年10月に純粋持株会社「キューデンホールディングス株式会社」設立を予定し、グループ経営体制の高度化を図っている。
ビジネスモデル
収益の大部分は国内電気事業(発電・販売事業売上高1,842,917百万円、送配電事業売上高720,599百万円)が占める。送配電事業は規制料金に基づく託送収益で安定的なキャッシュを生み出す一方、発電・販売事業は燃料コスト管理と原子力の高稼働(設備利用率82.3%)による低コスト電源活用で利益を確保する。
成長事業(再エネ・海外・ICT・都市開発)への投資拡大により収益源の多様化を進め、ROIC経営を軸に資本効率の向上を目指している。
企業の強み
当期の原子力発電電力量は28,621百万kWhで設備利用率82.3%を達成し、低コスト電源の最大活用を実現した。燃料価格下落と相まって需給関係費用が大幅に減少し、発電・販売事業の経常利益は前期比19.2%増の136,420百万円に拡大した。原子力の安全・安定運転継続が収益構造の根幹を支えている。
九州電力送配電株式会社が九州域内の一般送配電事業を担い、送電・変電・配電設備への継続的な設備投資(当期146,583百万円)により安定供給基盤を維持する。規制事業として託送収益が安定的に積み上がる構造であり、データセンター・半導体関連産業の新設に伴うエリア電力需要の増加が追加的な収益機会となっている。
発電・販売・送配電の中核事業に加え、その他エネルギーサービス事業(経常利益36,921百万円)、ICTサービス事業(経常利益10,615百万円)、海外事業(経常利益12,635百万円)、都市開発事業(経常利益5,166百万円)を擁し、単一事業への依存度を低減している。設備投資総額381,474百万円を各セグメントに配分し、成長事業への資源投入を継続している。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2023期2,221,300百万円→2025期2,356,833百万円とピークを付けた後、2026期は2,247,214百万円(前期比△4.7%)と減収。小売販売電力量が前期比9.3%減の686億kWhと域内需要の構造的縮小が続く一方、外部要因として燃料価格下落(需給関係費用の減少)が利益を押し上げ、営業利益224,853百万円(前期比+12.7%)、経常利益207,059百万円(同+6.4%)、親会社株主帰属当期純利益154,535百万円(同+20.0%)と増益を達成。
前期に計上した特別損失(減損損失7,737百万円・関係会社事業損失6,117百万円)の消滅も純利益改善に寄与。自己資本比率は19.9%へ改善し、財務体質の回復が続いている。
成長戦略
カーボンマイナス・ソリューション進化・地域共創・DXの6重点戦略で2035年ビジョンを実現
川内・玄海原子力発電所の安全運転を最優先に、設備利用率の向上を図る。2026年3月期実績82.3%に対し、2027年3月期予想では84.7%への改善を見込む。低コスト電源の最大活用により発電・販売事業の収益基盤を強化する。
取引所取引の増加等により卸売販売電力量は2026年3月期296億kWh(前期比+16.9%)と拡大。2027年3月期予想では304億kWhへのさらなる増加を見込む。小売販売電力量の構造的減少を卸売販売の拡大で補完し、総販売電力量の維持を図る。
LNG販売・LNG輸送サービス・石炭販売・再生可能エネルギー事業等を拡大。2026年3月期の同セグメント経常利益は36,921百万円(前期比+11.2%)と成長継続。設備投資42,536百万円(前期比+43.9%増)を実施し、事業基盤を積極強化している。
光ファイバ網・データセンター基盤を活用し、情報システム開発受託・蓄電システム関連製品・光ブロードバンド等を拡大。2026年3月期売上高は前期比10.3%増の152,064百万円(セグメント間内部取引消去前)。データセンター・半導体関連産業の電力・ICT需要増加を取り込む。
海外発電・送配電事業への持分法投資を通じた収益獲得に加え、為替差益・受取配当金・関係会社株式売却益等の収益源多様化を推進。2026年3月期経常利益は12,635百万円(前期比+42.6%)と大幅増益。セグメント資産247,266百万円を維持し投資基盤を継続拡充。
有利子負債残高3兆6,970億円(前期比217億円減)と漸進的な削減を継続。親会社株主帰属当期純利益154,535百万円の計上と退職給付に係る調整累計額の大幅改善により自己資本比率は19.9%(前期17.3%)へ改善。ROEは14.1%と前期13.6%から向上。
最終更新: 2026年7月19日

