燃料・電力価格の変動リスク
LNG・石炭・原油・卸電力などの市場価格および為替相場の変動により、電源調達費用が大きく変動するリスクがある。中東・欧州紛争やアジア情勢などの地政学リスク、天候変動、調達先の設備トラブルが重なった場合、需給状況や市場価格が急変し財政状態・経営成績に影響を及ぼす可能性がある。対応策として、調達先の分散化・契約の長期化・電力先物取引によるヘッジ、2026年4月の特別高圧・高圧標準料金メニューの見直しなどを実施している。
浜岡原発不適切事案と非稼働リスク
2026年1月に公表した基準地震動策定に係る不適切事案を受け、浜岡原子力発電所3・4号機の新規制基準適合性審査および5号機の審査申請準備がいずれも中断している。全号機運転停止状況下で火力電源による代替を余儀なくされており、電源調達費用の大幅な増加により財政状態・経営成績・キャッシュ・フローへの影響が見込まれる。社長を議長とする「解体的再構築に向けた検討会議」を設置し、意識・行動・組織・ルールの変革に取り組んでいる。
コンプライアンス違反リスク
浜岡原子力発電所の安全性向上対策工事における取引先との長期間未精算事案、および原子力部門役員による取締役会への長期不報告事案が判明した。さらに新規制基準適合性審査における地震動評価の不適切実施事案も発生しており、社会的信用の低下や財政状態への影響リスクが高まっている。外部専門家のみで構成される調査委員会の調査に全面協力するとともに、調達ルール見直し・管理体制強化・モニタリング強化などの再発防止策を推進している。
大規模自然災害リスク
南海トラフ地震・巨大台風・異常気象などの大規模自然災害が発生した場合、供給支障や設備損壊により財政状態・経営成績・キャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性がある。2025年3月に国が公表した新被害想定に基づく再評価では追加設備対策の必要はないことを確認したが、今後も最新知見をもとにBCPの見直しを継続する。台風災害の教訓を踏まえた設備復旧体制強化、無電柱化の加速、自治体との連携強化などのレジリエンス強化策を実施している。
脱炭素対応・環境規制リスク
カーボンプライシング制度(化石燃料賦課金・排出量取引制度等)をはじめとした脱炭素関連の制度変更や事業環境の変化に的確に対応できない場合、財政状態・経営成績に影響が生じる可能性がある。㈱シーテックが3海域で進めていた洋上風力発電事業について事業性再評価の結果、開発取り止めを決定し当連結会計年度に損失を計上しており、今後も追加損失が発生する可能性がある。2030年までに販売電気由来CO₂排出量を2013年度比50%以上削減する目標のもと、再生可能エネルギー拡大・原子力活用・水素アンモニアサプライチェーン構築などを推進している。
サイバー攻撃・情報セキュリティリスク
重要インフラであるエネルギー供給設備へのサイバー攻撃や情報漏えいが発生した場合、電力供給支障・機微情報漏えい・社会的信用の低下などにより財政状態・経営成績に影響を及ぼす可能性がある。経済安全保障推進法・サイバー対処能力強化法などの関係法令に基づく重要設備の保護措置を講じるとともに、電力ISACを通じた他事業者・関係機関との情報共有・分析を継続している。サイバー攻撃の高度化・巧妙化に備え、政府との連携強化、ITシステムの脆弱性発見・解消、運用ルール強化などの対策を継続的に実施している。
金利・物価・賃金上昇リスク
有利子負債残高の91.4%は社債・長期借入金の長期固定金利資金であるため短期的な影響は限定的だが、今後新たに調達する資金においては金利上昇の影響が見込まれる。物価・賃金の上昇が継続する場合、調達コストや人件費の増加により財政状態・経営成績・キャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性がある。効率化の継続推進および適時適切な資金調達により影響の最小化を図っている。
競争激化・市場環境変化リスク
電力小売の競争激化、GX・DXの進展に伴うエネルギー需給構造の転換、産業構造の変化などに的確に対応できない場合、財政状態・経営成績に影響が生じる可能性がある。中部電力ミライズ㈱では電気・ガス以外のサービス提供による新たな価値創出を進め、㈱JERAでは最新鋭火力設備へのリプレースや機動的な燃料調達により競争力確保に取り組んでいる。電源調達ポートフォリオの最適化・市場リスク管理の高度化を継続的に推進している。
米国通商政策による需要減リスク
米国の関税政策をはじめとする自国産業保護目的の通商政策により、自動車等の輸出量が減少した場合、自動車関連産業の集積地である中部エリアの電力需要に一定の影響が生じる可能性がある。電力需要の減少が継続する場合、財政状態・経営成績・キャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性がある。需要減少局面においても市場価格・燃料価格の変動を捉えた電源調達費用の削減等により収支悪化の抑制に努める方針である。
原子力バックエンド費用リスク
使用済燃料の再処理・放射性廃棄物の処分・原子力発電施設の廃止措置など超長期にわたる原子力バックエンド事業は、将来費用の見積り額の増減・制度見直し・再処理施設の稼働状況などにより費用が変動するリスクを有する。使用済燃料再処理・廃炉推進機構による資金確保・管理の仕組みなど国の制度措置により不確実性は一定程度低減されているが、制度内外の費用変動により財政状態・経営成績・キャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性がある。人的資本については、将来を見据えた人財確保・高度スキル獲得が重要課題として認識されており、人権デュー・ディリジェンスを含む人権尊重の実践にも取り組んでいる。
重要度・発生可能性は企業の開示情報に基づいて表示されています
最終更新: 2026年7月19日

