事業内容
東京電力ホールディングスは、原子力・送配電・小売・再エネ・火力燃料の5事業を傘下の基幹事業会社(パワーグリッド、エナジーパートナー、リニューアブルパワー、フュエル&パワー)を通じて展開する持株会社。関東圏を中心に家庭・法人・特別高圧顧客へ電力を供給し、JERAへの持分法投資を通じて火力・LNG事業にも参画する。
連結子会社63社・関連会社74社を擁し、売上高は6,328,574百万円(2026年3月期)。福島第一原子力発電所の廃炉・賠償責任を負いながら、GX・DX需要拡大への対応と企業価値向上の両立を経営の最重要課題として掲げる。
ビジネスモデル
収益の中核はエナジーパートナー(小売電力・ガス販売、売上高4,989,666百万円)とパワーグリッド(レベニューキャップ規制下の託送収入、売上高2,294,368百万円)。フュエル&パワーはJERAへの持分法投資利益(97,734百万円)を主収益源とし、リニューアブルパワーは水力・再エネ発電収益を積み上げる。
ホールディングスは原子力発電収益と基幹事業会社からの配当を受領し、グループ全体で年間約500,000百万円の資金確保を目標に廃炉・賠償費用を捻出する構造。
企業の強み
東京電力パワーグリッドは関東圏の送配電インフラを独占的に運営し、レベニューキャップ制度のもと託送収益1,610,313百万円(2026年3月期)を安定的に確保。2024年4月導入の発電側課金制度により新たな収益機会も創出しており、規制事業として競合が参入困難な参入障壁を有する。
2026年1月に原子炉を起動、2月に送電再開、4月に営業運転を開始した柏崎刈羽原子力発電所6号機により、ホールディングスセグメントの経常損益が前期△50,713百万円から128,967百万円へ黒字転換。7号機の再稼働準備も進行中であり、低コスト電源の追加が見込まれる。
フュエル&パワーはJERAへの持分法投資を通じ、2026年3月期に97,734百万円の持分法投資利益を計上(前期比30.5%増)。JERAは米国からの新規LNG調達着手やJERA Nex bp社設立(英国bp社との洋上風力統合)など事業基盤を強化しており、東電グループの安定収益源として機能している。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2026年3月期6,328,574百万円(前期比7.1%減)と販売電力量の減少を主因に2期連続で減収。一方、営業利益は337,689百万円(前期比44.0%増)、経常利益は417,326百万円(同64.0%増)と、燃料費等調整制度の期ずれ影響好転および柏崎刈羽6号機再稼働効果により大幅改善。
しかし特別損失に燃料デブリ取り出し工法見直しに伴う災害特別損失913,893百万円を計上したことで税前損失394,377百万円となり、親会社株主帰属当期純損失454,263百万円(前期は161,278百万円の利益)に転落。5期推移では2023期の大幅赤字→2024期黒字回復→2025期利益減少→2026期経常改善・純損失という不安定な推移が続いている。
成長戦略
廃炉・賠償責任の貫徹と並行し、原子力再稼働・再エネ拡大・DX/GX需要取込で収益基盤を強化
6号機は送電を再開し安定運転を継続中。特定重大事故等対処施設の工事を安全最優先で進め、発電所として安定的・継続的に稼働できる状態を目指す。安定稼働により火力燃料費削減と低コスト電源確保による収益改善が期待される。
2026年3月26日改訂の「廃炉中長期実行プラン2026」に基づき、2号機燃料デブリ試験的取り出しを通じた知見蓄積を継続。30〜40年後の廃止措置終了を目標とするが、当期に取り出し準備費用903,000百万円を新たに計上しており、今後も費用見積り変更リスクが残存する。
国内水力リパワリング、英国Flotation Energy社の浮体式洋上風力など国内外での再エネ電源開発を推進。2026年3月期のセグメント利益は40,399百万円。GX・DX進展に伴う電力需要増加を背景に再エネ電源への需要拡大が外部環境として追い風となっている。
データセンター・半導体工場の新増設に伴う電力需要増加を取り込むため、超高圧変電所新設等の系統増強を推進。2026年3月期の固定資産取得支出は909,007百万円と前期833,323百万円から増加。パワーグリッドの持分法投資利益も前期16,555百万円から30,174百万円へ拡大した。
賠償・廃炉に必要な資金確保と企業価値向上を両立するため、経営合理化・資産売却・アライアンスの具体化を推進。当期に関係会社株式売却益103,099百万円を計上。アライアンスについては社外取締役中心の社内委員会で詳細検討中。
最終更新: 2026年7月19日

