事業内容
株式会社ゼンリンは1974年創業の地図情報企業で、住宅地図帳・カーナビゲーション用データ・3D地図データ・インターネット向け地図データなど多様な地図コンテンツを製造・販売する。連結子会社20社・持分法適用関連会社2社を含むグループ体制のもと、自治体・企業・個人向けに位置情報サービスを展開。
公共ソリューション(自治体DX支援)、モビリティソリューション(自動運転・カーナビ)、マーケティングソリューション(企業向けデータ活用)など幅広い領域をカバーし、デジタルツイン・MaaS・スマートシティ分野への展開も進める。東京証券取引所プライム市場上場。
ビジネスモデル
自社で蓄積した高精度・高鮮度の時空間データベースを知的資本として、パッケージ(汎用サービス)・セレクション(個別課題対応)・ソリューション(カスタマイズ)の3区分で顧客に提供する。地図データの継続的な更新・提供によりストック型の安定収益を確保しつつ、受託開発・ライセンス販売・データ配信など複数の収益チャネルを持つ。
設備投資は高度時空間データベース構築とサービス提供基盤に集中し、2026年3月期の設備投資額は6,219百万円。
企業の強み
1974年の創業以来、全国の住宅地図・道路地図・3D地図データを継続的に収集・更新してきた蓄積は競合が短期間で模倣困難な知的資本である。AI技術を活用した地図自動生成技術や3D情報調査技術の研究開発を継続し、研究開発費は2026年3月期に1,298百万円を投じている。
2026年3月期の販売実績において、総販売実績に対する割合が10%以上の主要取引先は存在せず、公共・企業・モビリティ・個人向けに顧客が分散している。自治体DX受託案件や住宅地図データ提供など公共ソリューション分野での実績を積み上げており、特定顧客への過度な依存リスクが低い収益構造を有する。
CVC子会社ゼンリンフューチャーパートナーズを通じた投資ファンド運営に加え、ローカスブルー(2024年4月)、アーバンエックステクノロジーズ(2025年7月)、Will Smart(2026年6月)など近年も積極的にM&Aを実施。AIインフラ管理・交通ソリューション等の新領域を取り込み、グループの事業領域を継続的に拡張している。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
2026年3月期の売上高は64,277百万円(前期比0.1%減)と前期同水準にとどまった。公共ソリューション事業(+18.6%)が牽引した一方、モビリティソリューション事業(▲10.3%)が大幅減収となり相殺した。
営業利益は3,502百万円(▲10.7%)と人件費増・売上原価増により悪化。経常利益は持分法投資損益の改善(前期▲123百万円→当期+36百万円)や為替差損縮小(前期208百万円→当期35百万円)により3,866百万円(▲1.8%)と営業利益ほど落ち込まなかった。
親会社株主帰属当期純利益は投資有価証券売却益430百万円の計上により2,738百万円(+5.1%)と増益。包括利益は投資有価証券の時価評価減(▲2,068百万円)により799百万円(▲61.7%)と大幅減少。
営業CFは7,112百万円(前期9,640百万円)と減少し、固定資産取得・投資有価証券取得増加により投資CFの支出も拡大した。
成長戦略
ZGP2030のもと高度時空間データベース・ストックサービスシフト・共創活動で2030年3月期売上高78,000百万円・営業利益8,000百万円を目指す
省庁・自治体業務のデジタル化支援を軸に、住宅地図データ提供や受託案件を拡大。2026年3月期は前期比18.6%増の9,851百万円と高成長を実現しており、引き続き主要成長ドライバーとして機能している。
パッケージ商品をはじめとするストック型サービスの更なる拡大と、ソリューション営業強化・新商材投入により、モビリティ事業の縮小を補完しながら増収を目指す。前受金残高8,573百万円が先行指標として機能。
AI技術を活用した高度時空間データベースの構築に向けた成長投資を継続。2027年3月期も投資継続により営業費用増加要因となる見込みだが、自動運転・デジタルツイン・MaaS領域での競争優位確立を目指す。
2026年3月期に株式会社アーバンエックステクノロジーズおよびZFP企業共創投資事業有限責任組合を新規連結。ZGP2030に基づく企業共創・地域共創活動を通じ、位置情報サービスの応用領域を拡大する。
連結株主資本配当率(DOE)5%以上を基準とした安定配当と機動的な自己株式取得を組み合わせ、ZGP2030期間中5年間累計で総還元性向100%を目指す。2026年3月期は年間42円配当(配当性向81.9%、DOE4.5%)を実施。
最終更新: 2026年7月19日

