ミッション未達リスク
ミッション1・2ともに月面軟着陸が未達に終わっており、本書提出日時点で当社ランダーの月面着陸実績はない。ミッション1ではソフトウェア異常による高度測定エラー、ミッション2ではレーザーレンジファインダーのハードウェア異常が原因と分析されており、今後のミッションでも予期せぬ技術的問題が発生する可能性がある。ミッション未達が継続した場合、技術的信用力の低下・顧客離反・政府補助金の喪失・資金調達能力への悪影響が生じるリスクがある。
資金調達リスク
ミッション3以降の開発継続や財務制限条項の遵守のため、近い将来において追加の資金調達が必要となる可能性が高い。株式発行による希薄化リスクに加え、第14回〜第17回新株予約権(潜在株式比率7.52%)は将来のエクイティファイナンスの払込金額が行使価額を下回った場合に行使価額が調整される設計となっており、希薄化が促進される可能性がある。望ましい条件での調達ができない場合、ミッションの遅延・中止を余儀なくされるリスクがある。
政府機関顧客への依存
既存・潜在顧客の多くが政府機関であり、各国の宇宙政策・国家予算・地政学リスクにより発注が減少・変更・取消される可能性がある。経済産業省のSBIR補助金はミッション3(旧ミッション4)の2028年打上げを前提としているが、当初合意の2027年から変更となっており、経済産業省との最終合意が得られない場合は補助金を受領できないリスクがある。政府機関との契約は入札手続きを経るため当社希望水準の単価とならない可能性もある。
重要外部パートナー依存リスク
推進系システムのAriane Group、着陸制御のドレイパー研究所、打上げのSpaceX社など特定の外部パートナーへの依存度が高く、これらとの関係が失われた場合に同等の代替パートナーを確保できない可能性がある。SpaceXとの打上契約では打上後の相互免責が業界慣行となっており、当社の責によらない事由でミッションに支障が生じても打上代金の返金を求めることができない。部品調達の遅延・欠陥・サプライヤーの生産能力制限も開発・ミッションの遅延や追加費用の原因となりうる。
継続企業前提の疑義
当社グループは多額の先行研究開発投資により継続的な営業損失と営業キャッシュ・フローのマイナスを計上しており、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる状況が存在する。2026年3月末時点の純資産は15,173百万円、現預金残高は29,690百万円であり、財務制限条項(純資産の正値維持・現預金30億円以上維持)への抵触リスクも存在する。対応策として機動的な資金調達を検討しているが、重要な不確実性は解消されていない。
月面市場の未成熟リスク
当社が収益を見込むペイロードサービス・データサービス・通信測位サービスはいずれもグローバルで草創期にあり、市場が当社の想定通りに成立・成長する保証はない。NASAのアルテミス計画の遅延や予算削減計画など政策変動の影響を受けやすく、政府機関顧客の予算削減や民間企業の研究開発予算縮小により十分な需要が生じない可能性がある。市場未成熟により売上計上時期の後ろ倒しが生じ、業績に悪影響を及ぼす可能性がある。
ULTRAランダー開発リスク
ミッション3以降では日米並行開発モデルを統合した新型「ULTRAランダー」を採用する方針に変更したが、設計統合・開発体制再構築・サプライチェーン見直しを伴うため、技術的・運用的リスクや開発スケジュール遅延リスクが新たに顕在化する可能性がある。旧ミッション3では新型エンジンの燃料効率実証遅延により代替エンジンへの変更と打上時期の2030年への再設定を余儀なくされた実績がある。ULTRAランダーは従来より大幅に多い販売可能重量・売上高を計画しているため、問題発生時の収益への悪影響が大きい。
為替変動リスク
ルクセンブルク・米国に連結子会社を有し、海外サプライヤーとの外貨建て取引も多いため、為替変動が連結財務諸表に影響を与える。2026年3月期に為替予約等のヘッジ取引実施を決定したが、外貨の手元流動性次第では実施しない可能性があり、実施した場合でも為替変動リスクを全てヘッジできるとは限らない。主要事業の米ドル建て入金によりドル円リスクを一定程度軽減しているが、著しい為替変動があった場合は業績・財政状態に影響が生じる。
月保険の不十分性リスク
ミッション2では保険責任範囲が打上げから高度100kmの月周回円軌道上までの軌道制御確認完了までに限定されていたため、月面着陸未達に対して保険金を受領できなかった。ミッション3以降について本書提出日時点で保険契約を締結しておらず、月保険は商品内容が未確立で不確実性が高いため、当社が望む経済的条件での加入や十分な損害カバーができない可能性がある。保険料の高騰や保険金額の減少が生じた場合、純利益の減少や財政状態への重大な悪影響が生じうる。
法規制・輸出管理リスク
当社グループは日本の宇宙活動法・宇宙資源法・電波法に加え、米国のITAR・EARをはじめとする各国輸出管理法令の対象となる技術情報を取り扱っており、違反した場合は法的処分・社会的信用失墜のリスクがある。宇宙事業は世界的に草創期にあり、今後の立法によって事業が制約を受ける可能性があるほか、国際的枠組みの動向次第では宇宙資源の所有権取得に制約が生じる可能性も否定できない。輸出管理を統括する専門部署を設置し厳格なプロセスを実施しているが、多国籍展開に伴うカントリーリスクも存在する。
重要度・発生可能性は企業の開示情報に基づいて表示されています
最終更新: 2026年7月19日

