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株式会社ispace

9348東証グロースサービス業

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事業内容

株式会社ispaceは「Expand our planet. Expand our future.」をビジョンに掲げ、自社開発のランダー(月着陸船)とローバー(月面探査車)を用いた月面輸送・探査サービスを提供する民間宇宙企業。日本・米国・ルクセンブルクの4社体制でグローバルに事業を展開し、政府宇宙機関(JAXA・NASA・ESA等)から民間企業・研究機関まで幅広い顧客に対してペイロード輸送サービスおよびデータサービスを提供する。

2022年ミッション1・2025年ミッション2と2度の月面着陸挑戦を経て技術・運用ノウハウを蓄積しており、2028年打上予定のミッション3(ULTRAランダー)以降の商業化フェーズへの移行を目指している。

ビジネスモデル

主収益源はランダー・ローバーへの顧客ペイロード搭載輸送サービスで、1kg当たりランダー搭載1.5百万米ドル・ローバー搭載3.5百万米ドルを基本価格とし、打上1〜3年前の本契約時から打上までに全額を入金する前払い型の契約構造を採用。売上はミッション期間にわたり進捗度に応じて計上される。

将来的にはミッションで蓄積した月面データをクラウド上で提供するSaaS型サブスクリプションモデルへの展開を計画しており、ペイロードサービスによる安定収益を基盤にデータビジネスの高収益化を目指す。

企業の強み

2022年ミッション1・2025年ミッション2において、いずれも月周回軌道への確実な輸送能力・安定的な姿勢制御・誘導制御機能を実証。着陸失敗データを含む全ミッションデータをミッション3以降の開発に活用しており、民間企業として世界最多水準の月面着陸挑戦実績を保有する。

日本の宇宙戦略基金第1期(最大47億円)・第2期(支援上限200億円)への採択、SBIR補助金(補助上限120億円)採択、NASA CLPSタスクオーダーCP-12採択(当初約5,450万米ドル、後に約6,218万米ドルに増額)など、複数の政府系プログラムから開発資金を確保。2026年3月期末の現金及び現金同等物は29,690百万円に達する。

東京本社・米国デンバー子会社・ルクセンブルク子会社の3拠点でランダー・ローバーの開発・製造・試験を分担し、JAXA・NASA・ESAと物理的に近接した立地を活かして各国の月面開発ニーズを吸収。2026年3月31日時点で約200名のランダー開発・オペレーション専門エンジニアが在籍し、多国籍・多分野の人材で構成されている。

エンヴァリスの着眼点

2026年5月15日公表の決算短信に対し、わずか13日後の5月28日に重大な訂正が発生。訂正内容は①連結キャッシュ・フロー計算書(為替予約に係るCFの区分誤り:営業CF△13,190百万円→△13,568百万円、投資CF△2,203百万円→△1,825百万円)、②個別業績(経常損失△4,572百万円→△12,867百万円、当期純損失△4,582百万円→△12,878百万円、総資産49,465百万円→41,170百万円)、③2027年3月期連結業績予想(営業損失△11,700百万円→△17,700百万円)、④固定資産の減損グルーピング方法の変更と多岐にわたる。

個別業績の訂正幅が特に大きく、内部統制の実効性に対する投資家の信頼を損なうリスクがある。

訂正後の2027年3月期連結業績予想は、プロジェクト収益9,000百万円(前期比+50.8%)、売上高3,300百万円(前期比△0.2%)、営業損失△17,700百万円(訂正前△11,700百万円から6,000百万円悪化)、経常損失△13,000百万円、親会社株主帰属当期純損失△13,000百万円。売上高はほぼ横ばいの中で営業損失が大幅拡大する予想は、ミッション3延期(2026年→2027年)に伴う開発費先行計上の影響とみられる。

現金残高29,690百万円に対し、年間営業CFの赤字規模(△13,568百万円)を踏まえると、2〜3期以内に再度の資金調達が必要となる可能性が高い。

ミッション1(2023年)・ミッション2(2024年)の連続未達に加え、ミッション3の打上が2026年から2027年に延期。これにより売上認識の先送りが生じ、2026年3月期の連結売上高は3,307百万円(前期4,743百万円から△30.2%減収)と大幅に落ち込んだ。

外部要因として、宇宙開発における技術的不確実性は業界全体に共通するが、同社は3回連続でスケジュール・成果目標を達成できていない。固定資産の減損グルーピングを当連結会計年度よりグループ全体一本化に変更した点は、減損認識を回避しやすくする方向への変更であり、会計方針の変更の意図についても注視が必要。

成長戦略

高頻度ミッション確立→ペイロード大型化→データプラットフォーム構築の3段階成長

APEX 1.0ランダーを用いたミッション3の打上を2027年に計画。成功すれば初の月面着陸成功となり、顧客信頼性の確立と後続ミッションの受注加速につながる。ミッション1・2の連続未達を踏まえ、技術的信頼性の証明が最優先課題。

ミッション4向けに総額40百万米ドルのペイロードサービス契約を締結済み(台湾国家宇宙センターとの8百万米ドル契約含む)。2027年3月期のプロジェクト収益予想9,000百万円の主要構成要素となる見込み。

第2期宇宙戦略基金「月極域高精度着陸技術」支援上限200億円の採択を活用し、開発費の一部を補助金で賄う。2026年3月期の補助金受取額は2,584百万円に達しており、営業損失の一定程度を吸収。政府支援政策の継続が前提条件。

2025年5月時点でMOU等締結総額662百万米ドルの潜在受注パイプラインを保有。ミッション3成功を契機に確定受注への転換を図り、APEX 1.0ランダーの大型ペイロード(最大300〜500kg)能力を活かした収益拡大を目指す。

最終更新: 2026年7月19日