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乾汽船株式会社

9308東証スタンダード海運業

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乾汽船株式会社9308

事業内容

乾汽船株式会社は、ハンディ型バルカーによる国際貨物輸送を核とする外航海運事業(売上高の約77%)、普通倉庫・文書保管・引越を手掛ける倉庫・運送事業、東京・勝どき/月島エリアに自社物件を保有する不動産事業の3セグメントを展開する。旧乾汽船(1904年創業)と旧イヌイ倉庫(1925年創業)が2014年に経営統合して現体制となり、東京証券取引所スタンダード市場に上場。

海運市況のボラティリティを不動産・倉庫の安定収益で補完する事業ポートフォリオが特徴。2026年3月期の連結売上高は33,636百万円、総資産は78,698百万円。

ビジネスモデル

外航海運事業では自社・用船船舶による運賃収入と他社への貸船収入を組み合わせ、市況に応じて収益を獲得する。不動産事業は勝どき・月島エリアの賃貸マンション・オフィスから利益率50%超の安定キャッシュフローを生み出し、海運市況低迷期でも船舶投資を継続できる財務基盤を提供する。

倉庫・運送事業は物流ニーズに応じた保管・運送サービスで安定収益を補完する。

企業の強み

勝どき・月島エリアの賃貸等不動産の時価は93,848百万円に対し簿価は10,353百万円と大幅な乖離があり、この含み益を担保に超長期アセットバックローンや不動産含み益活用ファイナンスを実行。海運市況低迷期でも船舶投資資金を安定調達できる独自の財務構造を有する。

2026年3月期末時点で自社保有・用船合計の稼働日数は10,332日(稼働率98%)に達し、木材・セメント・肥料・穀物等の多品目を輸送。KEN FOREST・KEN OLIVEを含む新造船の竣工により船隊を拡充し、外航海運事業のセグメント資産は43,932百万円に増加した。

不動産事業のセグメント利益率は50.5%(売上高3,933百万円、利益1,986百万円)と極めて高く、勝どき・月島エリアという都心好立地に自社物件を保有。東京23区の賃貸マンション・オフィス市況の好調を背景に高稼働を維持しており、グループ全体の収益安定化に貢献している。

エンヴァリスの着眼点

2026年3月期の親会社株主に帰属する当期純利益は833百万円(前期比△83.4%)と大幅減益。前期(2025年3月期)は固定資産売却益4,289百万円という特殊利益が嵩上げしていた一方、当期は減損損失425百万円(不動産事業)、投資有価証券評価損29百万円が発生。

さらに外航海運市況の低迷と新造船の減価償却費増加(4,003百万円)が営業利益を圧迫した。特殊要因を除いた実力ベースの収益力の評価が投資判断の鍵となる。

会社は2027年3月期の連結業績予想として売上高41,570百万円(前期比+23.6%)、営業利益4,552百万円(前期比+110.9%)、当期純利益2,914百万円(前期比+249.7%)を公表。外部要因として為替前提を157.00円/米ドル(当期実績149.99円)、燃料油価格を725.78米ドル/MT(当期実績515.26米ドル/MT)と設定しており、円安・燃料高の前提が実現しない場合は下振れリスクがある。

米国関税政策や中東情勢等の地政学リスクも海運市況の不確実性要因として注視が必要。

賃貸等不動産の時価93,848百万円は簿価10,353百万円の約9倍に相当し、連結総資産78,698百万円を大幅に上回る潜在資産価値を内包する。プラザ勝どきのリノベーション計画への変更に伴う建設仮勘定の減損損失計上(当期特別損失に含む)は短期的な痛みだが、再開発後の収益貢献が期待される。

2026年3月期に策定した中期経営計画(2026〜2029年3月)の達成状況、特に「資産の力を事業の力に」の具体化が中長期の株主価値向上の鍵となる。

成長戦略

中期計画「あしたも元気」のもと海運船隊拡充・不動産再開発・倉庫事業安定化の3軸で成長

前連結会計年度および当連結会計年度に竣工・稼働開始した新造船により稼働日数が増加し、単価の高い運賃収入の構成比が上昇。固定資産取得3,967百万円を投じ船隊整備を継続。中長期的なハンディ船の需給ひっ迫見通しを背景に収益拡大を目指す。

再開発計画からリノベーション計画への変更に伴い建設仮勘定の減損損失を特別損失として計上(2026年3月期)。閉館による減価償却費等の費用剥落効果と、リノベーション後の新たな収益貢献が期待される。月島・勝どきエリアの賃貸マンション・オフィス市況は引き続き好調推移が見込まれる。

倉庫保管残高が前年同期を上回る水準で推移し、引越事業の取扱高増加が貢献。2026年3月期セグメント利益は393百万円(前期比+13.0%)と着実に成長。社会課題である人材不足への対応として安全で働き甲斐のある労働環境づくりを推進し、事業基盤の安定化を目指す。

最終更新: 2026年7月19日