事業内容
澁澤倉庫株式会社は1897年創業の東証上場総合物流企業。当社および子会社15社・関連会社8社で構成され、倉庫業務・港湾運送業務・陸上運送業務・国際輸送業務を一体的に提供する物流事業(連結営業収益の約93%)と、オフィスビル・物流施設の開発・賃貸・管理を行う不動産事業の2セグメントを運営する。
主要顧客にはサントリーロジスティクス株式会社(2026年3月期営業収益の11.4%)をはじめ、飲料・食品・化粧品・医薬品・EC関連企業が含まれる。国内主要港湾都市に加え、香港・ベトナム・上海・フィリピン・タイに海外拠点を展開し、国際一貫輸送も手掛ける。
ビジネスモデル
物流事業では荷主企業から倉庫保管・入出庫・陸上運送・港湾荷役・国際輸送を受託し、サービス対価として収益を得る。不動産事業では自社保有のオフィスビル・物流施設を賃貸し、安定的な賃料収入を確保する。
不動産事業の営業利益率は約51%と高収益であり、物流事業の収益変動を補完する構造となっている。また、施設リーシングと物流サービスを一体提案するクロスセルにより、両事業のシナジーを創出している。
企業の強み
2026年3月期末時点で所有庫286,258㎡・借庫267,929㎡の合計554,188㎡の倉庫面積を保有。倉庫・港湾・陸運・国際輸送を一体提供できる総合物流体制を構築しており、飲料・食品・化粧品・医薬品・EC・医療機器など多品種の荷主ニーズに対応できる受託能力が競争優位の源泉となっている。
不動産事業の営業利益は3,134百万円(2026年3月期)で営業利益率は約51%と高水準。賃貸等不動産の時価87,897百万円に対し帳簿価額は23,033百万円にとどまり、含み益が大きい。自己資本比率57.3%の健全な財務基盤を背景に、私募ファンド出資を通じた不動産証券化事業への参画も進めている。
1897年創業・1950年東証上場の老舗物流企業として、サントリーロジスティクス株式会社(2026年3月期売上比11.4%)をはじめとする大手荷主との長期取引関係を構築。AEO認定通関業者・AEO特定保税承認者の認定を取得しており、医療機器など規制対応が必要な品目の受託実績も有する。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
過去5期の営業収益は2024年3月期の73,417百万円を底に回復基調にあり、2026年3月期は79,740百万円と過去最高水準に近い。一方、営業利益は2026年3月期に4,097百万円と2024年3月期(4,271百万円)を下回り、新設拠点の初期費用先行と人件費上昇が収益性を圧迫した。
営業利益率は5.9%(2025年3月期)から5.1%(2026年3月期)へ低下。外部要因として物価上昇・最低賃金改定・エネルギーコスト高止まりが構造的なコスト上昇圧力となっている。
2027年3月期は営業収益83,000百万円(前期比4.1%増)、営業利益5,000百万円(同22.0%増)を予想しており、新設拠点の本格稼働化による収益回復が見込まれる。
成長戦略
新設拠点の本格稼働・M&Aによるネットワーク拡充・不動産ポートフォリオ強化
習志野市拠点(2026年3月期稼働開始)の通期稼働、横浜市本牧倉庫・松戸市増床拠点・栃木県危険物倉庫の本格稼働化が2027年3月期の増収に寄与する見通し。稼働率向上により先行発生した固定費の回収が進み、営業利益の回復が期待される。
2026年5月11日取締役会決議により全株式取得を決定。国際輸送ネットワークの拡充と取扱貨物の多様化を図り、中期経営計画「澁澤倉庫グループ中期経営計画2026」が掲げる物流の枠を超えた業域拡大を推進する。
2026年3月期に取扱開始した一般医療機器が2027年3月期は通期寄与する見通し。飲料・食品・化粧品に加え医療・ヘルスケア分野への取扱拡大により、荷主業種の分散と安定収益基盤の強化を図る。
保有資産の設備維持更新・改修による賃貸収益強化と、私募ファンド出資を通じた不動産証券化事業への参画を推進。帳簿価額23,033百万円・時価87,897百万円の潜在資産価値を活用した資本効率の向上とポートフォリオ最適化を継続する。
深刻化する労働力不足への対応として、DX推進による倉庫・輸送オペレーションの高度化・省力化投資を継続。中期経営計画2026の2年目として、業務プロセス最適化と採算性向上を図り、人件費上昇圧力に対抗する収益構造の改善を目指す。
最終更新: 2026年7月19日

