不正請求と行政処分リスク
特別調査委員会の調査により、短時間訪問にもかかわらず30分訪問として診療報酬を請求した事案、および同行者不在にもかかわらず同行者ありとして請求した事案が判明した。介護保険法に基づく指定取消処分を受けた場合、法人全体が欠格事由に該当し5年間新規指定が不可となる重大リスクがある。2025年2月に再発防止策を決議・実行中であるが、管轄当局からの指導・処分の進捗次第では事業・業績・財政状態に重大な影響が生じる可能性がある。
継続企業の前提に関する疑義
不正請求問題に伴う過年度決算訂正と運営体制見直しにより収益性が大幅に低下し、前事業年度に当期純損失925百万円、当事業年度に当期純損失1,656百万円を計上した。加えて、コミットメント期限付タームローン契約(残高321百万円および549百万円)の財務制限条項に抵触しており、継続企業の前提に関する重要な疑義が生じている。2026年4月30日から同年9月30日までの元本返済猶予を取得し、債権流動化や代表取締役からの寄付受入等で当面の資金を確保しているが、構造改革の成否が事業継続の鍵となる。
上場廃止リスク
2024年7月のプライム市場への市場区分変更後、過年度決算訂正により変更審査の形式基準・実質基準を充足しない事案であったことが認められ、2025年4月30日付で東京証券取引所より宣誓書違反による再審査に係る猶予期間入りの通知を受けた。現在スタンダード市場への市場区分変更申請の予備申請(2026年3月27日付)を行い、監理銘柄(審査中)に指定されている。予備申請日から1年以内の2027年3月26日までにスタンダード市場基準への適合が認められない場合、上場廃止となる可能性がある。
診療報酬改定による収益構造転換
2026年6月施行の診療報酬改定により、同一建物内の頻回訪問看護を対象とした「包括型訪問看護療養費」が新設され、従来の訪問1回あたりの出来高算定から1日単位の包括評価へと報酬体系が移行した。同時に同一建物減算の細分化や大規模施設における月内回数に応じた減額も導入され、多頻度訪問を前提とした従来の収益構造からの体制変更が必要となっている。これにより売上高や利益率が低下するリスクがあり、収益モデルの転換・コスト構造の抜本的見直しを2027年3月期の構造改革実施期間として推進中である。
内部統制の重要な不備
第18期・第19期の内部統制報告書において、各期末時点で開示すべき重要な不備が存在していたとして訂正報告書を提出した。急速な事業拡大に内部管理体制の構築が追いつかない状況が背景にあり、2022年3月期から2024年3月期の有価証券報告書等についても訂正報告書を提出している。当事業年度末時点では改善が図られ有効と評価されているが、事業環境の変化に応じた継続的な見直しが必要であり、再発した場合は業績・財政状態に重大な影響を及ぼす可能性がある。
有利子負債の高水準リスク
新規施設開設に伴う設備資金の借入、ファイナンス・リース債務、債権流動化等の結果、当事業年度末の有利子負債残高は30,628百万円、有利子負債自己資本比率は441.8%に達している。金利水準が変動した場合、業績・財政状態・キャッシュ・フローに影響を与える可能性がある。財務制限条項への抵触も発生しており、金融機関との協議継続が不可欠な状況にある。
人材確保・流出リスク
介護士・看護師・理学療法士等の専門職は医療・介護業界で慢性的に不足しており、求人競争が激化している。人材確保が計画どおりに進まない場合や重要人材が流出した場合、既存施設でのサービス規模縮小や新規施設のオープン順延が生じ、競争力低下や事業拡大の制約要因となる。専門採用部署の設置や福利厚生整備等の対策を講じているが、業界全体の需給逼迫は継続している。
法的規制・許認可取消リスク
介護保険法に基づく事業所指定は6年ごとの更新が必要であり、不正請求・人員基準違反・運営基準違反・虚偽報告等が認められた場合に指定取消処分を受けるリスクがある。一事業所でも指定取消を受けると法人が欠格事由に該当し、取消から5年間は新規指定・指定更新が不可となる。既に不正請求事案が判明しており、管轄当局の対応次第では事業・業績・財政状態に重大な影響が生じる可能性がある。
信用・評判の毀損リスク
不正診療報酬請求に関する報道を受け、特別調査委員会を設置して調査を実施した結果、実際に不適切な請求事案の存在が確認された。介護事業は利用者・家族・関係者からの信頼を基盤としており、不正請求や不祥事による信用失墜は入居者獲得や稼働率に直接影響する。再発防止策の実行と内部統制強化に取り組んでいるが、社会的信用の回復には相当の時間を要する可能性がある。
代表取締役退任による影響
創業者である代表取締役社長・苗代亮達氏は設立以来の最高経営責任者として経営方針・戦略全般において重要な役割を担っているが、2026年6月26日開催予定の第21期定時株主総会後の取締役会決議を経て代表取締役を退任し取締役として留任する予定である。特定人物への依存リスクが顕在化する局面にあり、組織体制の整備を進めているものの、経営トップ交代が業績・財政状態に影響を及ぼす可能性がある。構造改革の実施期間と重なるタイミングでの交代であり、経営の継続性確保が課題となる。
重要度・発生可能性は企業の開示情報に基づいて表示されています
最終更新: 2026年7月19日

