事業内容
東京汽船は1947年創立の東京湾特化型マリンサービス会社。曳船(タグボート)事業を中核に、横浜・東京・横須賀・千葉の各港で船舶の離着桟補助・エスコート・湾口水先艇業務を提供する。
海事関連事業では洋上風力発電交通船(CTV)の運航を2013年より手掛け、国内外の洋上風力プロジェクトに参画。旅客船事業では久里浜~金谷間のカーフェリー定期航路と横浜港観光船(持分法適用会社YCruise経由)を運営し、地域水上モビリティを担う。
連結子会社5社・持分法適用関連会社8社を含むグループで構成される。
ビジネスモデル
主収益源は曳船事業における港湾曳船作業料率・エスコート作業料率の課金モデルで、入出港船舶数と単価の積で売上が決まる。固定費(船員費・減価償却費)比率が高い装置産業型であり、稼働率向上と料率改定が収益改善の主要レバー。
海事関連事業はCTV傭船収入、旅客船事業は運賃・物販収入が加わる。持分法適用会社を通じた軽資産化も進めている。
企業の強み
横浜川崎・東京・横須賀・千葉の4地区で曳船サービスを提供し、浦賀水道・中ノ瀬航路のエスコート業務やLNGバース警戒船業務など公共インフラ的役割を担う。2026年3月期の曳船事業売上高は9,517百万円で全社売上の72%を占め、2025年5月の料率値上げ後も全地区で増収を達成した。
国内初の洋上風力発電アクセス専用船運航(2013年)以来、富山県入善港O&M向けCTVや北九州響灘洋上ウインドファームの建設段階CTV傭船を受注。2026年3月期の海事関連事業売上高は前期比100.4%増の1,956百万円に達し、実績の蓄積が新規案件獲得の競争優位となっている。
2026年3月期末の純資産は29,344百万円、自己資本比率74.5%。長期借入金は期中369百万円減少し財務レバレッジは低水準。固定資産売却益7,970百万円を含む当期純利益5,046百万円の計上により利益剰余金が積み上がり、CTV建造・持分法会社株式取得を自己資金で賄える資金余力を有する。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
2026年3月期は売上高13,144百万円(前期比+9.2%)と2022年3月期以来の最高水準を更新。2025年5月の港湾曳船作業料率値上げ効果と洋上風力CTV事業の大幅拡大(売上高倍増)が牽引した。
営業利益は106百万円と前期の511百万円の損失から黒字転換したが、売上高営業利益率は0.8%にとどまる。純利益5,046百万円は固定資産売却益7,970百万円(土地・建物・船舶)という一過性要因が主因であり、経常利益ベースでは347百万円。
過去5期の推移では2024年3月期の営業利益368百万円が本業ピークであり、2026年3月期の106百万円はその水準を下回る。外部要因としてホルムズ海峡封鎖によるタンカー減少が2027年3月期以降の業績に影響する可能性がある。
成長戦略
曳船料率値上げ・CTV拡大・旅客船事業軽量化の三本柱で収益構造を再構築
2025年5月より全地区でハーバータグ作業料率およびエスコート作業料率を値上げ。2026年3月期は年後半にかけて新料率の適用が浸透し、全地区で増収に寄与した。曳船事業売上高は前期比10.7%増の9,517百万円、営業利益319百万円を達成。
富山県入善港O&M作業に加え、北九州響灘洋上ウインドファーム建設作業でのCTV多数傭船により売上高は前期比100.4%増の1,956百万円を達成。ただし用船料・減価償却費増加により営業損失192百万円が継続。
CTV新造投資(建設仮勘定1,608百万円)を継続中であり、稼働率向上による損益分岐点到達が次の目標。
横浜港観光船部門(港内観光船・水上バス)をYCruise株式会社(持分法適用関連会社)へ事業移管し、人件費・食材費を中心とした営業費用を削減。旅客船事業の売上高は796百万円減少したが、連結ベースでの固定費軽量化を実現。ただし営業損失58百万円は継続しており、カーフェリー部門の収益安定化が課題。
最終更新: 2026年7月19日

