利益の下期偏重
旅客部門では乗船客が夏季の多客期に集中するため、利益が下期に偏る傾向がある。上期の業績が低迷した場合、通期業績の見通しが不安定となり、投資家の業績評価を困難にする。季節性の高い需要構造は、天候不順や感染症等の外部要因と重なった場合に下期業績を大きく毀損するリスクがある。
不採算離島航路の維持義務
当社グループの各航路は離島航路整備法の対象となる公共的・生活的性格を有しており、不採算であっても公共性の観点から航路維持を余儀なくされる航路が存在する。採算性を度外視した航路運営は収益構造を恒常的に圧迫する要因となる。規制上の制約により、路線の廃止・縮小による収益改善策が限定される点が特徴的なリスクである。
燃料油価格の変動リスク
船舶燃料油価格の大幅な上昇は当社グループのコストに直接影響する重大な負担要因である。対応策として2004年12月より燃料油価格変動調整金を旅客・貨物運賃とは別に設定しており、2020年2月にはSOx規制強化に対応した見直しも実施している。ただし、調整金による転嫁が需要減少を招く可能性もあり、価格上昇局面での収益影響を完全には排除できない。
気象・海象による就航率悪化
台風や低気圧の影響により就航率が悪化し、旅客・貨物収入が減少するリスクがある。特に多客期である夏季に台風が集中する傾向があり、下期偏重の収益構造と相まって業績への影響が大きくなる可能性がある。就航率の悪化は顧客満足度の低下にもつながり、中長期的な需要にも影響を与えうる。
地震・噴火災害リスク
就航航路および使用港湾が地震・噴火の多発地帯に位置しており、災害発生時には定期航路の維持が困難となる可能性がある。航路の運休・停止は旅客・貨物収入の喪失に直結するとともに、港湾施設や船舶への物理的損害が生じた場合には多額の修繕・復旧費用が発生しうる。離島という地理的特性上、代替輸送手段が限られるため、地域社会への影響も甚大となる。
感染症流行による需要減少
新型インフルエンザ等の感染症が大規模に流行した場合、乗船客数の大幅な減少により旅客収入が急減するリスクがある。加えて従業員が感染した場合には乗務員の確保が困難となり、航路の安定運航に支障を来す可能性がある。観光需要に依存する夏季多客期に感染症が拡大した場合、下期業績への打撃が特に大きくなる。
固定資産の減損損失リスク
当社グループが保有する船舶等の固定資産について、収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった場合、減損損失を認識し財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性がある。また、その他有価証券のうち市場価格のあるものについては時価法を採用しており、株式市況の変動による時価下落も財政状態に悪影響を及ぼしうる。不採算航路の存在や需要変動を踏まえると、固定資産の減損リスクは潜在的に高い水準にある。
繰延税金資産の取崩しリスク
当社グループは将来の課税所得の見積りに基づき繰延税金資産の回収可能性を評価しているが、収益力の低下により十分な課税所得が将来確保されないと判断された場合、繰延税金資産を取り崩して税金費用を計上することとなる。この取崩しは財政状態・経営成績に悪影響を与える。不採算航路の維持や外部環境の悪化が続く場合、課税所得の確保が困難となるリスクがある。
テロ・犯罪等の安全阻害リスク
テロ等の犯罪や大型海洋生物との接触など、船舶の安全運航を阻害する要因が存在する。これらの事象が発生した場合、乗客・乗員の安全が脅かされるとともに、航路の運休や社会的信用の失墜につながる可能性がある。当社は関係官公署と連携した定期的な訓練を実施し、事故の未然防止に努めている。
重要度・発生可能性は企業の開示情報に基づいて表示されています
最終更新: 2026年7月12日

