事業内容
飯野海運は1899年創業の東証上場海運会社で、外航海運業・内航近海海運業・不動産業の3事業を展開する。外航海運では原油タンカー、ケミカルタンカー、大型LPG船・エタン船、ドライバルク船を世界全域で運航し、中東・アジア・欧米の顧客と長期契約を結ぶ。
内航・近海海運ではLNG・LPG・石油化学ガスを国内外近海で輸送する。不動産業では東京都心(飯野ビルディング等)とロンドン中心部のオフィスビルを保有・運営し、フォトスタジオ事業も手掛ける。
連結子会社66社・持分法適用8社を含むグループ全体で、市況変動耐性を高めた事業ポートフォリオ経営を基本方針とする。
ビジネスモデル
海運事業では自社保有船と用船を組み合わせ、長期・中長期契約による固定収益を基盤としつつ、スポット市況の好機を取り込む。不動産事業では東京・ロンドンの優良立地オフィスビルの高稼働賃貸により安定キャッシュフローを創出し、海運市況の変動を緩衝する。
異なる収益特性を持つ事業群を組み合わせることで、外部環境変化への耐性を高めながら資本効率の向上を目指す。
企業の強み
外航海運では大型原油タンカー・LPG船・ドライバルク専用船を中長期契約に継続投入し、市況変動下でも安定収入を確保している。ドライバルク専用船は国内電力会社・製紙会社等との中長期契約が主体であり、内航・近海海運も既存中長期契約を基盤に稼働を維持している。
飯野ビルディング(東京都千代田区内幸町)はLEEDプラチナ認証取得の高環境性能ビルで、オフィスフロアの高稼働を継続。2024年3月取得の「111 STRAND」を含むロンドン物件も堅調に稼働。
2026年3月期の不動産業営業利益は4,350百万円と前期比25.7%増を達成し、海運市況変動の緩衝機能を果たしている。
原油タンカー、ケミカルタンカー、大型LPG船、大型エタン船(VLEC)、ドライバルク船(パナマックス・ハンディ)、内航ガス船と幅広い船種を保有・運航。2025年9月に当社初のVLEC「IINO INEOS VESTÁ」が竣工し2026年1月に2隻目も加入するなど、新規船種への展開実績を持つ。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は127,295百万円(前期比10.3%減)、営業利益は13,439百万円(同21.4%減)、親会社株主帰属当期純利益は15,391百万円(同16.2%減)と2期連続の減収減益。外航海運業が売上高102,464百万円(同12.8%減)・営業利益8,786百万円(同33.4%減)と大幅に落ち込んだことが主因。
ケミカルタンカー市況の軟化(中国経済低迷等の外部要因)、大型原油タンカーの入渠による稼働日数減少が響いた。一方、不動産業は売上高14,180百万円(同8.2%増)・営業利益4,350百万円(同25.7%増)と好調で、東京都心オフィス市況の改善(外部要因)と契約更改効果が寄与した。
営業キャッシュフローは29,858百万円と引き続き高水準を維持。過去5期の推移では2023年3月期をピークに利益率は低下傾向にある。
成長戦略
新中期計画で5年間約2,000億円投資し事業ポートフォリオを変革
2026年4月から2031年3月の5年間で約2,000億円を成長・新規事業および主力事業へ配分し、事業ポートフォリオのリバランスを推進。財務レバレッジを活用しつつ資本コストを上回る成長投資と資本効率の両立を目指す。
2026年1月に当社2隻目となる大型エタン船が竣工し、2隻体制が確立。エタン輸送という成長分野への参入を果たし、中長期契約を通じた安定収益の積み上げを図る。
2026年3月6日の取締役会で連結子会社保有の大型原油タンカー1隻の売却を決議。2027年3月期第1四半期に固定資産売却益(特別利益)約7,100百万円の計上を予定しており、資産効率の改善と次期純利益の下支えに寄与する。
新中期経営計画に基づき、通期業績に対する配当性向40%を基準とした配当継続を基本方針とし、新たに1株当たり30円の下限配当を導入。2026年3月期の年間配当は59円(配当性向40.6%)、2027年3月期予想は46円(配当性向40.2%)。
東京都心・英国ロンドンの保有物件の高グレード化改修工事を継続し、賃料水準の向上と稼働率維持を図る。2026年3月期の不動産業営業利益は4,350百万円と過去最高水準に達しており、海運業の収益変動を補完する安定収益源として育成を継続する。
最終更新: 2026年7月19日

