コンプライアンスリスク
世界的なルール強化の潮流の中、独占禁止法・贈収賄関連法令・経済制裁等への抵触リスクが存在する。法令違反が発生した場合、社会的信用・ブランドイメージの低下や損害賠償金の支払いにより業績・財務状況が悪化する可能性がある。対応策として年2回のコンプライアンス委員会開催、遵法活動徹底委員会の設置、弁護士による研修等を実施しているが、リスクの完全排除は困難としている。
重大事故・海難リスク
油濁・環境汚染、乗組員死傷、船舶の喪失・損傷等の重大事故が発生した場合、貨物輸送の遅延・不能、運送契約解除、罰金・訴訟、保険料引き上げ、顧客関係悪化等の事態に直面するリスクがある。海賊・テロ事案や感染症による検疫強化も同様の影響をもたらす可能性がある。独自安全規格「NAV9000 Plus」によるアセスメントや「安全・環境対策推進委員会」による定期レビューで対応しているが、保険で適切にカバーできない場合には業績・財務状況への影響が生じうる。
サイバー攻撃リスク
サイバー攻撃の高度化・巧妙化により、システムダウンによる業務停止、顧客情報流出、信頼毀損、損害賠償、監督当局からの制裁等が発生するリスクがある。また情報システムへのAI組み込みに伴い、法令違反・倫理的問題・プライバシー問題等の新たなリスクも顕在化している。ゼロトラストセキュリティモデルを念頭に置いた多層的対策やグローバルな情報セキュリティ管理体制を構築しているが、完全なリスク排除は困難としている。
気候変動・脱炭素リスク
1.5℃目標水準に準じたGHG削減目標を設定しているが、アンモニア・水素等ゼロエミッション燃料の実用化には大きな技術革新と相当の時間・コストが必要であり、目標達成の不確実性が高い。気候変動リスクへの対応が不十分な場合、顧客離れ、地域社会との関係悪化、船舶向け融資の取得困難といった事態が生じる可能性がある。2023年11月に「NYK Group Decarbonization Story」を公表し、中期経営計画においてEX(エネルギー転換)を経営戦略として位置づけて対応を推進している。
海運市況・荷動き変動リスク
世界経済動向、国際間の荷動き、競争激化、船腹需給バランス等の影響により、運賃収入・傭船料収入が大幅に変動するリスクがある。船腹供給が需要を上回ると傭船料水準が下落し、物流事業においてもスペース供給と需要の不均衡により運賃が大幅変動する可能性がある。長期安定契約の確保や船隊規模の適正管理により影響軽減に努めているが、世界的紛争・感染症蔓延・サプライチェーン再編等の外部要因により予測困難な変動が生じうる。
為替・金利変動リスク
外貨建て取引の収入が多く、為替レートの変動が損益に直接影響するほか、在外子会社の財務諸表の円換算においても為替変動の影響を受ける。また船舶・輸送関連施設等の設備投資に係る外部調達資金には変動金利・固定金利が混在しており、将来の金利変動が業績・財務状況に影響を与える可能性がある。為替予約・通貨スワップ等のヘッジ取引や収支通貨の一致化、金利割合の注視等により影響軽減に努めている。
燃料価格変動リスク
燃料費は定期船・自動車・ドライバルク・エネルギー各事業の費用に占める割合が大きく、原油・天然ガス需給、為替変動、産油国・OPECの動向、環境規制、中東域での戦争等の影響により価格予測が困難な状況にある。燃料調達地域の分散、燃料サーチャージの適用、デリバティブ取引の活用、燃料消費量節減等の対策を講じているが、価格変動・供給不足から十分に影響を軽減できない可能性がある。
地政学・グローバル事業リスク
イラン・ロシア・ウクライナ情勢等の地政学的緊張、紅海・アデン湾での航行停止、海賊・テロ、各国規制・制裁強化、2025年1月発足のトランプ米政権による通商政策等により世界経済の不確実性が高まっている。これらの事象により保険料率の変動、航路変更コストの増加、特定地域での事業縮小・撤退等が生じる可能性がある。関係機関からの情報収集、外部コンサルタント起用、BCP策定等により予防・回避に努めているが、突発的事態への対応には限界がある。
投資計画・固定資産減損リスク
新造船発注から竣工まで数年を要する中、世界経済・海運市況・公的規制の変化により投資計画が計画通りに進捗しないリスクがある。市況低迷時には減価償却が済んでいない船舶を簿価以下で売却せざるを得ない場合や、市況回復が見込めない場合に船舶・固定資産の減損損失が発生する可能性がある。また鋼材価格高騰による新造船価格上昇分を運賃等に適切に転嫁できない場合にも業績・財務状況が影響を受ける。
人権・訴訟リスク
サプライチェーン全体での強制労働・児童労働・環境破壊等の人権問題が発生した場合、社会的信用・ブランドイメージの低下により業績・財務状況が悪化するリスクがある。また完成自動車の海上輸送に関する運賃カルテルを巡る集団民事訴訟(2012年9月以降)が一部地域で継続中であり、訴訟の結果によっては業績・財務状況への影響が生じうる。「日本郵船グループ人権方針」(2022年11月策定)に基づく人権デュー・ディリジェンスや「サプライヤー行動規範」の整備・周知により対応を推進している。
重要度・発生可能性は企業の開示情報に基づいて表示されています
最終更新: 2026年7月19日

