事業内容
日本郵船は1885年創業の日本最大級の総合海運企業。定期船(ONE社持分法)・物流・自動車・ドライバルク・エネルギーの5セグメントを中核に、コンテナ輸送から原油・LNG・LPGタンカー、自動車専用船、ドライバルカー、さらに郵船ロジスティクスを通じたグローバル3PL事業まで幅広く展開する。
2026年3月期の連結売上高は2,423,689百万円。主要顧客は資源メジャー、自動車メーカー、商社、エネルギー企業等のグローバル企業群であり、世界の物流・エネルギーインフラを支えるライフライン企業としての役割を担う。
ビジネスモデル
運賃・貸船料・ターミナル利用料・物流サービス料を主な収益源とする。エネルギー事業・自動車事業では長期契約・定期傭船による安定収益を確保しつつ、ドライバルク・定期船(ONE社持分法)では市況連動型の収益を取り込む。
物流事業(郵船ロジスティクス)は海・陸・空の総合ネットワークで付加価値型収益を積み上げる構造であり、市況変動リスクを多角的ポートフォリオで分散している。
企業の強み
川崎汽船・商船三井との合弁であるOCEAN NETWORK EXPRESS PTE. LTD.(ONE社)への持分法適用により、2026年3月期に持分法投資利益20,178百万円を計上。直接運航リスクを抑えつつコンテナ船市況の恩恵を享受できる独自の収益構造を持つ。
エネルギー事業のセグメント資産は1,395,640百万円と全セグメント最大。油槽船運航隻数は前期45隻から84隻へ大幅増加。LNG船は中長期契約に支えられた安定収益を確保しており、FPSO・シャトルタンカーも安定稼働。高資産規模と長期契約の組み合わせが収益の下支えとなっている。
郵船ロジスティクスを完全子会社として擁し、海・陸・空の総合物流を世界規模で展開。2026年3月期の物流事業外部顧客売上高は801,751百万円。2025年12月には欧州Waldenグループのヘルスケア物流事業(欧州12カ国・42社)を買収し、高付加価値分野への事業基盤を拡充した。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
2026年3月期の売上高は2,423,689百万円(前期比6.4%減)、営業利益138,601百万円(同34.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益211,750百万円(同55.7%減)となった。外部要因として、コンテナ運賃市況の下落によりONE社からの持分法投資利益が293,388百万円から85,016百万円へ急減したことが経常利益を前期比57.0%減の211,135百万円に押し下げた主因である。
航空運送事業は2025年8月の日本貨物航空の連結除外により大幅減収。一方、エネルギー事業は中東情勢の緊迫を背景に増収増益を達成した。
2027年3月期は売上高2,605,000百万円(前期比7.5%増)、営業利益145,000百万円(同4.6%増)、経常利益185,000百万円(同12.4%減)、当期純利益195,000百万円(同7.9%減)を予想しており、増収減益の見通しとなっている。過去5期の当期純利益は2022期1,009,105百万円→2023期1,012,523百万円→2024期228,603百万円→2025期477,707百万円→2026期211,750百万円と、ONE社の市況連動で大きく振れる構造が続いている。
成長戦略
物流・エネルギー・脱炭素の3軸投資でポートフォリオ高度化を推進
2025年度に欧州地域におけるヘルスケア物流事業Movianto International B.V.を買収し連結化。物流事業ののれん残高が227,942百万円に急増。2027年3月期はのれん償却額等の計上により利益水準は当年度比で低下する見込みだが、欧州ヘルスケア物流の収益基盤確立を目指す。
油槽船の運航隻数を前期45隻から84隻へ大幅増加させ、建造中の油槽船10隻・LNG船4隻の竣工により収益規模をさらに拡大する計画。新規FPSOの稼働開始も完了しており、中長期契約による安定収益と市況上昇局面での収益拡大を両立させる。
ケープサイズ所有船を前期21隻から当期28隻へ増強し、建造中のケープサイズ9隻・ハンディサイズ6隻・在来プロジェクト貨物船2隻の竣工により船隊を刷新。全船型で市況が底堅く推移することを見通し、2027年3月期は利益水準の上昇を見込む。
2025年8月1日を効力発生日として日本貨物航空株式会社とANAホールディングス株式会社との株式交換を完了し、航空運送事業を連結除外。関係会社株式交換損7,057百万円を計上したが、経営資源を海運・物流・エネルギーの中核事業に集中させる戦略的再編を実施した。
連結配当性向40%を目安に1株当たり配当下限200円を設定。2026年3月期は創業140周年記念配当25円を含む年間230円(配当総額95,066百万円、配当性向45.6%)を実施。
2025年5月取締役会決議に基づく自己株式取得(総額約150,000百万円)を2026年4月30日までに完了し全株消却予定。2027年3月期は年間200円を予定。
最終更新: 2026年7月19日

