山九株式会社 logo

山九株式会社

9065東証プライム陸運業

山九株式会社 logo
山九株式会社9065

事業内容

山九株式会社は1918年創業の総合物流・エンジニアリング企業で、子会社74社・関連会社13社を擁するグループを形成する。物流事業では港湾荷役・倉庫保管・構内物流・国際複合輸送など幅広いサービスを展開し、機工事業では製鉄・石油化学・電力関連プラントの建設・据付・メンテナンスを担う。

主要顧客は日本製鉄(売上高の15.3%)をはじめとする鉄鋼・化学・電気電子業界の大手製造業であり、国内に加えシンガポール・タイ・マレーシア・サウジアラビア・米国など世界各地に拠点を持つ。2026年3月期の連結売上高は631,573百万円に達する。

ビジネスモデル

物流事業は顧客工場構内への常駐型オペレーションや長期契約に基づく3PL・港湾荷役で安定的な売上を確保する。機工事業は設備建設後のメンテナンス受注へと連続的に展開するビジネスモデルで、工事完了後も継続的な収益を生む。

両事業合計の受注残高は83,249百万円(2026年3月期末)を維持しており、受注から売上への転換が安定的に続く構造となっている。

企業の強み

日本製鉄向け売上高は96,452百万円(売上高比15.3%)に達し、鉄鋼・化学・電気電子業界を主要ターゲットとした長期継続取引が収益基盤を形成している。構内物流・設備メンテナンスの常駐型サービスは顧客の生産活動と一体化しており、競合他社が短期間で代替することが困難な顧客ロックイン構造を持つ。

2026年3月期において物流事業(売上高295,256百万円、構成比46.7%)と機工事業(307,458百万円、48.7%)がほぼ均等に売上を分担する。物流事業が安定的なキャッシュを生み出す一方、機工事業が高い利益率(セグメント利益率約10%)で収益を牽引する二軸構造により、単一事業依存リスクを低減している。

シンガポール・タイ・マレーシア・インドネシア・サウジアラビア・米国・ブラジルなど世界各地に現地法人を展開し、1964年の海外進出以来60年超の実績を持つ。2022年にマレーシア、2025年4月にサウジアラビアに人材育成・メンテナンス拠点を開設し、グローバルな人材育成と流動化の仕組みを構築している。

エンヴァリスの着眼点

2026年3月期は売上高631,573百万円(前期比+4.1%)、営業利益43,240百万円(前期比▲1.6%)、当期純利益31,505百万円(前期比+2.5%)と増収・当期純利益増益を達成した。一方、2026年5月26日付で決算短信の数値訂正が公表され、売掛金と買掛金を同額過大計上していたことが判明。

訂正後の総資産は559,746百万円(訂正前560,169百万円)、自己資本比率は54.2%(同54.1%)に修正された。財務数値の誤計上は内部統制・管理体制への信頼性に影響しうる点として注視が必要である。

2026年3月期の営業利益43,240百万円は前期(43,945百万円)を下回り、中期計画2026が掲げる営業利益率7.1%(売上高660,000百万円前提)には届いていない。物流事業のセグメント利益(9,826百万円)は機工事業(30,960百万円)と比較して依然低水準であり、適正単価収受交渉の進展や採算性改善の継続が不可欠である。

外部要因として人件費・エネルギーコストの上昇が収益性の重石となっている点も留意が必要。

日本製鉄グループへの売上依存は顧客集中リスクとして引き続き注視が必要である。一方、米国EV関連・中東・インドへの海外展開や、M&A(のれん残高が1,592百万円から7,635百万円へ大幅増加)による事業多角化が進んでいる。

海外事業の収益貢献度と統合リスク管理の状況が今後の評価ポイントとなる。外部要因として地政学リスクや為替変動が海外事業の業績に影響しうる点も引き続き留意が必要である。

成長戦略

中期計画2026で売上高660,000百万円・営業利益率7.1%・ROIC9.0%を目指し海外・グリーン・DXに重点投資

鉄鋼・化学・電気電子業界を軸とした新規顧客獲得と既存事業の深耕に加え、採算性の低い拠点集約・赤字作業撤退を推進。2026年3月期のセグメント利益は9,826百万円と依然低水準であり、継続的な単価引き上げ交渉と構造改革が課題。

国内産業の設備更新・脱炭素需要を背景とした鉄鋼・化学・環境関連工事の増加と、米国EV関連工場建設・中東・インドでの新規作業獲得により海外売上高を伸長。2026年3月期のセグメント利益30,960百万円は高水準を維持。

のれん残高が1,592百万円から7,635百万円へ大幅増加しており、M&A・新規連結による事業規模拡大が進展。カーボンニュートラル関連・社会インフラ等の新規領域への展開も推進中。

DX推進による生産性向上と省人化投資を通じてコスト構造を改革。グループ内情報システム需要の底堅い推移を背景に、物流・機工両事業の業務効率化を図る。人件費上昇への対応としても重要な施策。

最終更新: 2026年7月19日