事業内容
遠州トラック株式会社は1965年に静岡県袋井市で設立された総合物流企業。一般貨物自動車運送事業、貨物運送取扱事業、倉庫事業を中核とし、子会社3社(株式会社藤友物流サービス、遠州トラック関西株式会社、小笠運送株式会社)とともにグループを形成する。
親会社は株式会社住友倉庫(発行済株式の60.0%保有)。静岡県西部を地盤に関東・関西・東海圏に拠点を展開し、輸送用機器部品・化学品・食品・EC関連など幅広い荷主を顧客とする。
不動産賃貸・売買および太陽光発電事業も補完的に営む。東京証券取引所スタンダード市場上場。
ビジネスモデル
輸送部門(2026年3月期営業収益36,749百万円)と倉庫部門(同13,027百万円)を両輪とし、自社輸送体制を堅持しながら協力会社ネットワークを活用して多様な荷主ニーズに対応する。中継輸送プラットフォーム(e-change)を活用した関東・関西間の幹線輸送と、EC個配・共同配送・調達物流加工を組み合わせることで付加価値を高め、運賃・保管料・作業料を収益源とする。
企業の強み
2018年11月に中日本高速道路と共同で中継物流拠点「コネクトエリア浜松」を業界に先駆けて開設。関東・関西の中間に位置する立地を活かし、乗務員が日帰り運行できる環境を構築済み。2024年度には袋井LSC営業所も新設し、中継ネットワークの物理的基盤を着実に拡充している。
2026年3月期末の自己資本比率は62.2%(前期末57.9%から改善)。有利子負債残高8,303百万円に対し現金及び現金同等物5,528百万円を保有。長期借入金は固定金利で調達しており、金利変動リスクを抑制。ROEは9.4%と中期経営計画目標(8%以上)を達成している。
倉庫部門の2026年3月期営業収益は13,027百万円(前期比4.4%増)と安定成長を継続。2026年1月には子会社・株式会社藤友物流サービスの浜松市中央区倉庫(1,001百万円投資、2,692㎡)が完成し、保管能力を拡充。倉庫事業は輸送事業に比べ収益安定性が高く、収益ミックス改善に寄与している。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
営業収益は2022年3月期42,751百万円から2026年3月期49,947百万円へ5期連続増収(年平均成長率約4.0%)。ただし収益性は悪化傾向にあり、営業利益は2025年3月期の3,239百万円から2026年3月期は3,108百万円(前期比4.1%減)に低下。
営業利益率も6.7%→6.2%に縮小した。外部要因として燃料費の高止まりや乗務員の時間外労働上限規制強化が運行コストを押し上げる中、人件費・外注費増加分の価格転嫁が進捗しなかったことが主因。
営業CFは4,825百万円から2,745百万円へ大幅減少し、投資活動(有形・無形固定資産取得2,592百万円)の拡大と法人税支払増(1,127百万円)が資金流出を加速させた。自己資本比率は62.2%に改善し財務基盤は堅固。
成長戦略
5年間330億円投資で新物流サービスに挑戦、2030年度営業収益610億円を目指す
2026年3月期を初年度とする5年間の中期経営計画を2025年3月に公表。5事業年度で330億円の事業投資を実施し、新しい物流サービスへの挑戦と事業領域拡大により、2030年度の営業収益610億円・営業利益40億円を目標とする。
初年度の固定資産投資額は2,874百万円と前期比約2.6倍に拡大し、計画通り投資フェーズに移行している。
EC向け輸送の伸び悩みを補完するため、一般貨物の取扱拡大と輸送用機器向け部品の新規・拡大取引を推進。2026年3月期は輸送部門が前期比2.1%増、倉庫部門が同4.4%増と着実に成長し、特定顧客依存度の低減と収益分散が進んでいる。
自動配車システムの全社展開および基幹システム再構築を推進し、乗務員不足・労働時間規制への対応と運行効率改善を図る。2026年3月期の無形固定資産取得支出は694百万円(前期479百万円)と拡大しており、システム投資が加速している。
人件費・外注費の削減効果が価格転嫁と並行して収益改善に寄与することが期待される。
独自の中継輸送プラットフォームを活用した関東〜関西間輸送ネットワークの拡充により、2024年問題(乗務員時間外労働上限規制)への対応と輸送効率の向上を両立する。長距離輸送の中継拠点機能を強化することで、新規荷主の獲得と既存顧客の深耕を図る。
最終更新: 2026年7月19日

