事業内容
広島電鉄株式会社は1910年創業の広島を代表する総合企業グループ。路面電車・バス・宮島航路・索道等の運輸業を基幹事業とし、不動産賃貸・販売、建設、流通、レジャー・サービスの5セグメントで構成される。
連結子会社13社・持分法適用会社3社を擁し、広島市内の公共交通インフラを担うとともに、沿線不動産の開発・賃貸、グループ建設会社による工事受注など、地域経済と密接に結びついた多角的な事業を展開する。主要顧客は広島市民・観光客・インバウンド旅行者であり、宮島・広島駅周辺の観光需要も重要な収益源となっている。
ビジネスモデル
運輸業(営業収益23,247百万円)が売上の約62%を占めるが、構造的に営業損失を計上しており、運行補助金を含めても赤字が続く。これを不動産業(営業利益2,172百万円、利益率34%超)と建設業(営業利益235百万円)が補完する構造。
不動産賃貸の安定収益と分譲マンション販売の変動収益を組み合わせ、グループ全体の収益安定化を図る。CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)によるグループ資金の一元管理で資金効率を高めている。
企業の強み
路面電車(営業キロ35.8km)・バス(営業キロ1,186km)・宮島航路・索道を一体運営し、広島市内の公共交通を事実上独占的に担う。2025年8月には「駅前大橋ルート」を開業しJR広島駅ターミナルビル2階に乗り入れ、2026年3月には「循環線」も開業。
路線網の拡充により代替困難性がさらに高まっている。
不動産業の2026年3月期営業収益は6,292百万円、営業利益は2,172百万円で利益率は約34%。「イオンタウン楽々園」への土地賃料通期計上や分譲マンション「ザ・広島フロント」の引渡しにより前期比37.2%増益を達成。
CRE戦略による社有地の有効活用と収益不動産への積極投資が高利益率の源泉となっている。
2024年7月に新乗車券サービス「MOBIRY DAYS」を導入し、利便性向上による利用促進を図っている。2026年7月にはICOCA等の交通系電子マネーおよびWAONの取り扱いを開始予定。デジタル乗車券基盤の整備により、定期旅客人員が前期比36.54%増加するなど利用者拡大に寄与している。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2022年3月期27,395百万円から2026年3月期37,470百万円へ5期連続増収(前期比+11.2%)。営業損失は2022年3月期の4,523百万円をピークに縮小が続き、2026年3月期は290百万円まで改善。
2027年3月期は810百万円の営業黒字を会社予想。親会社株主帰属純利益は1,158百万円(前期比△16.0%)と減少したが、これは減損損失649百万円・投資有価証券評価損162百万円等の特別損失増加が主因。
外部要因として、インバウンド需要拡大(宮島来島者数過去最多)、2025年2月の運賃改定効果、円安による観光需要押し上げが増収に寄与した。一方、人件費・減価償却費・燃料費の上昇が収益改善の重しとなっている。
成長戦略
駅前大橋ルート効果継続・A&C連結・不動産投資強化で収益構造転換
2025年8月に軌道線新路線「駅前大橋ルート」を開業し、JR広島駅ターミナルビル2階への乗り入れを実現。被爆80年に伴う来広者増加とも相まって鉄軌道事業の利用者数が増加。次期も開業効果の継続を見込む。
宮島口・宮浜エリアで飲食・宿泊・建設業を展開するA&C社を2026年2月に完全取得(のれん52百万円計上)。仮定ベースの影響概算は売上高2,441百万円・営業利益116百万円。次期よりレジャー・サービス業セグメントへの本格寄与が見込まれる。
「イオンタウン楽々園」土地賃料の通期計上や分譲マンション「ザ・広島フロント」引渡しにより不動産業の営業利益は前期比37.2%増の2,172百万円を達成。グループ戦略として運輸業以外への投資強化を明示し、収益不動産への積極投資を継続。
新乗車券サービス「MOBIRY DAYS」の利便性向上により利用促進を図るとともに、2025年2月実施の電車・バス運賃改定が収益単価向上に寄与。次期はバス運行補助金の科目変更(特別利益→営業収益)も加わり運輸業の増収要因となる見通し。
ボウリング業を2026年5月をもって営業終了し、不採算事業を整理。ゴルフ練習場での打ち放題メニュー拡充・設備投資による来場者増加と、A&C社の宿泊・飲食事業の連結寄与により、セグメント全体の収益改善を図る。
最終更新: 2026年7月19日

