事業内容
京王電鉄は1910年創業、東京西部の京王線・井の頭線(営業距離84.7km)を軸に、鉄道・バス・タクシーの交通業を基盤として、不動産賃貸・販売、ホテル、百貨店・スーパー等の生活サービス、建設設備業を展開する総合生活サービスグループである。連結子会社49社・関連会社8社で構成され、新宿から多摩・橋本エリアにかけての沿線住民・訪日外国人を主要顧客とする。
2026年3月期の連結営業収益は496,939百万円と過去最高を更新し、5セグメントすべてで増収を達成した。
ビジネスモデル
鉄道インフラが生み出す安定的な旅客需要を起点に、沿線の土地・施設を活用した不動産賃貸・分譲マンション販売、京王プラザホテル等のホテル事業、京王百貨店・京王ストア等の生活サービスを展開する。各事業が沿線価値を相互に高め合う「まちづくり型」の収益構造を持ち、交通業の安定収益と不動産・ホテルの成長収益を組み合わせることで収益の多様化を図っている。
企業の強み
営業距離84.7kmの京王線・井の頭線を保有し、2026年3月期の輸送人員は605,755千人(前期比2.1%増)。定期・定期外ともに増加傾向が継続しており、旅客運輸収入は83,248百万円に達する。都市部への代替困難な鉄道インフラが安定的な収益基盤を形成している。
2026年3月期において不動産業の営業利益率14.2%、ホテル業の営業利益率16.9%と高収益セグメントを複数保有。不動産業の営業収益は前期比31.9%増の120,712百万円と大幅拡大。鉄道単体に依存しない多層的な収益構造が業績の安定性を高めている。
不動産私募ファンドへの物件売却によるキャッシュ創出を実践し、2026年3月期に新たに3本のファンドを組成。私募REIT組成の検討にも着手。また2026年2月には80億円規模のCVCファンド「京王れーるファンド」を設立し、スタートアップとの共創によるオープンイノベーションを推進している。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
営業収益は2022年3月期299,872百万円→2026年3月期496,939百万円と4年間で65.7%増加し、2026年3月期は過去最高を更新。ただし増収率は前期+10.8%から+9.7%へ鈍化。
営業利益は2025年3月期の54,148百万円をピークに2026年3月期は52,322百万円へ減少(△3.4%)。減価償却費の増加(34,431百万円、前期比+5.5%)と人件費増が主因。
当期純利益は政策保有株売却益(10,261百万円)の計上により42,929百万円と微増で過去最高を維持。2027年3月期は減価償却費がさらに395億円(前期比+14.9%)へ拡大する見込みで、利益水準の低下傾向が続く見通し。
EBITDAは86,914百万円(前期比△0.1%)とほぼ横ばいを維持しており、キャッシュ創出力自体は安定している。
成長戦略
HIRAKU2030のもと沿線まちづくりと資本効率向上を両輪に2030年代の大規模投資に備える
新宿駅西南口地区開発計画および京王線新宿駅改良工事を中核とする大規模再開発を推進。当期末に資産除去債務7,300百万円を追加計上し、2030年代の投資本格化に向けた準備が進行中。有形固定資産の取得支出は67,551百万円(前期比+38.2%)と拡大している。
㈱リビタ・㈱サンウッドによる都心部分譲マンション販売拡大と不動産ファンドへの物件売却を推進。2026年3月期の不動産業営業収益は120,712百万円(前期比+31.9%)と大幅増収を達成し、投資有価証券・固定資産売却収入も17,544百万円に拡大。
京王プラザホテル(新宿)・京王プレッソインにおける客室改装を実施し、活況な宿泊マーケットを背景に客室単価の上昇を図る。2026年3月期のホテル業営業収益は60,033百万円(前期比+6.3%)と増収。2027年3月期は客室改装に伴う減価償却費増加が利益を圧迫する見込み(営業利益予想△12.8%)。
2026年4月1日付で1株→5株の株式分割を実施し個人投資家層の拡大を図るとともに、2026年4月30日に12,490,500株(発行済株式総数の2.09%)を消却。配当は1株当たり110円(分割前)と前期比+10円増配し、配当性向は30.1%に上昇。
建築・土木業における完成工事高の増加と粗利率改善により、2026年3月期の建設設備業営業利益は7,434百万円(前期比+32.3%)と大幅増益を達成。グループ内の沿線まちづくり・再開発関連工事の拡大が内部需要を押し上げており、2027年3月期も営業利益+9.5%増を予想。
最終更新: 2026年7月19日

