事業内容
岩谷産業は1930年創業の総合ガス商社で、LPガス輸入から小売まで一貫体制を持つ日本唯一の全国展開LPガス事業者(全国約300拠点)を中核に、産業ガス・機械事業、マテリアル事業、食品・金融等のその他事業を展開する。連結子会社100社・関連会社65社を擁し、2026年3月期の売上高は908,522百万円。
液化水素の国内シェア100%・圧縮水素を含む水素全体で約70%を占め、「水素のイワタニ」として水素エネルギー社会の実現を中長期の成長軸に位置づけている。主要顧客は家庭・工場向けエネルギー需要者から電子部品・光ファイバー・医療・建設業界まで幅広い。
ビジネスモデル
LPガスは海外からの直輸入・国内輸送・小売販売まで一貫体制を構築し、スイッチングコストの高い家庭・工場向け継続需要を収益基盤とする。産業ガスは自社製造・供給設備を通じた長期供給契約で安定収益を確保。
マテリアル事業は資源調達から加工・販売まで商社機能を発揮する。M&Aによる顧客基盤拡大と設備投資による供給能力増強を組み合わせ、規模拡大と収益性改善を同時に追求する構造。
企業の強み
1941年に水素取り扱いを開始し、液化水素の国内シェア100%・圧縮水素を含む水素全体で約70%を保有。岩谷水素技術研究所を設置し、液化水素・超高圧圧縮水素の材料評価から水素ステーション建設コスト低減まで独自技術を蓄積。
2002年に国内初の水素供給ステーション実証、2014年に国内初の商用水素ステーションを完成させた先行実績を持つ。
LPガスの輸入・国内輸送・小売を一貫して手掛ける日本唯一の全国展開LPガス事業者として全国約300拠点を保有。2026年3月期の総合エネルギー事業売上高は367,732百万円。
M&Aによる直売顧客数拡大と物流合理化を継続的に推進しており、LPガス小売部門では2026年3月期に収益性が改善した実績がある。
エアセパレートガス(酸素・窒素・アルゴン)、ヘリウム、炭酸ガス、半導体材料ガス、医療用ガスなど幅広いガスラインアップを保有。産業ガス・機械事業の2026年3月期売上高は288,730百万円。
電子部品・光ファイバー業界向けエアセパレートガスの販売数量が堅調に推移し、重水素プラントの稼働や半導体材料ガス開発など高付加価値領域への展開実績を持つ。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2026年3月期908,522百万円(前期比2.9%増)と増収基調を維持。産業ガス・機械事業(288,730百万円、前期比6.4%増)とマテリアル事業(218,377百万円、同8.3%増)が牽引した一方、総合エネルギー事業はLPガス輸入価格低位推移により367,732百万円(同2.9%減)と減収。
営業利益は38,318百万円(同17.1%減)と3期連続の減益となり、LPガス市況要因(前期比59億円の減益影響)、ヘリウム市況軟化、販管費増加が主因。経常利益は持分法投資利益の増加(12,198百万円)で55,220百万円(同10.2%減)。
親会社株主帰属当期純利益は固定資産売却益(11,993百万円)の計上により47,666百万円(同17.8%増)と増益。2027年3月期は売上高960,000百万円(5.7%増)、営業利益48,800百万円(27.4%増)を予想しており、本業の回復を見込む。
成長戦略
水素・脱炭素・M&A・重要鉱物・海外展開でPLAN27の営業利益65,000百万円を目指す
日本水素エネルギー株式会社が川崎重工業と世界最大4万㎥型液化水素運搬船の造船契約を締結。燃料電池搭載中型油圧ショベルの工事現場実証実験を実施し、建設現場等での水素利用拡大に向けた整備を推進。次期は水素・アンモニアの販売強化と低炭素水素サプライチェーンの事業化を重点施策とする。
M&AによるLPガス直売顧客数の拡大を継続し、物流合理化による収益性改善を図る。2026年3月期はLPガス小売部門で販売数量増加と収益性改善を実現。
次期は総合エネルギー事業の営業利益を231億円(当期150億円から53.2%増)と大幅改善を計画。グリーンLPガスの開発・カーボンオフセットガス販売も推進。
豪州コバーン・リソーシーズ社でミネラルサンドの生産を開始。ノルウェーのノルディック・マイニング社でグリーンチタン鉱石の生産・出荷準備を進め、次期より販売開始予定。フランスのカレマグ社に出資しレアアース精錬工場建設を推進。マテリアル事業の次期売上高は2,573億円(当期比17.8%増)を計画。
水素とエチレンの混合溶断ガス「ハイドロカット」に福島水素エネルギー研究フィールド製造の再エネ由来水素を活用し、福島第一原子力発電所構内の解体工事に供給。地産地消による水素利用促進と製造工程段階の脱炭素化に貢献。燃料転換推進やカーボンオフセットガス販売も継続。
産業ガス・機械事業の次期設備投資計画は310億円(当期220億円から41%増)と大幅拡大。光ファイバー・電子部品業界向けエアセパレートガスの拡販、調達・物流コスト上昇への対応と安定供給体制の整備を強化。次期営業利益は185億円(当期154億円から20.0%増)を計画。
最終更新: 2026年7月19日

