事業内容
築地魚市場株式会社は1948年設立の東京都中央卸売市場豊洲市場の荷受会社で、当社及び子会社7社で構成される。主力の水産物卸売業(連結売上高の約98%)では生鮮・冷凍・加工水産物の委託・買付販売を行い、グループ会社の共同水産㈱・㈱キタショクが産地・消費地加工、築地市川水産㈱が仲卸販売を担う。
附帯事業として㈱東市ロジスティクスが豊洲市場内外の多機能型冷蔵庫を運営する冷蔵倉庫業(売上高1,466百万円)と、保有不動産を賃貸する不動産賃貸業(売上高151百万円)を展開し、安定収益源を形成している。主要顧客は仲卸業者・量販店・外食業者等の業務筋で、首都圏の一大消費地を背景に集荷・分荷・価格形成・決済の各機能を担う。
ビジネスモデル
水産物卸売業では出荷者からの委託販売手数料と自己買付による売買差益が主な収益源となる。豊洲市場内の多機能型冷蔵庫(C~SF各温度帯・加工設備・製氷機を装備)を活用した仲卸業者等への賃貸収益(セグメント利益率31.8%)と不動産賃貸収益(同47.7%)が高収益附帯事業として主力セグメントの損益を補完する構造となっている。
グループ一体で産地加工・消費地加工・物流・販売を垂直統合し、付加価値向上を図る販売会社への転換を推進中。
企業の強み
㈱東市ロジスティクスが運営する豊洲市場内冷蔵庫はC(+5℃)~SF(-60℃)の全温度帯保管・水産加工場・製氷機を一体装備した市場特有の多機能施設。仲卸業者等への安定賃貸により2026年3月期セグメント利益率31.8%を達成し、グループ全体の収益安定化に貢献している。
2023年2月に築地魚市場㈱本体でISO22000(食品安全管理システム国際規格)を取得。HACCPに基づく衛生管理を実施し、川上の産地出荷者から川下の仲卸・量販店まで一貫した食品安全体制を構築。水産エコラベル「MEL」「AEL」の流通認証も取得し、持続可能な水産物取扱の証明を有している。
共同水産㈱(消費地加工)・㈱キタショク(産地加工)・築地市川水産㈱(仲卸)・㈱東市ロジスティクス(冷蔵物流)の各子会社が機能分担し、原料調達から加工・保管・販売まで垂直統合型の商流を形成。2026年3月期の水産物卸売業売上高は65,833百万円と前年比8.2%増加し、グループ連携による取扱拡大が実績として確認できる。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2022年3月期55,018百万円から2026年3月期67,450百万円へ5期連続増収(当期+8.1%)。外部要因として物価上昇・円安による水産物平均単価の上昇とインバウンド需要拡大が売上を押し上げた。
一方、営業利益は302百万円から166百万円へ大幅減少。連結子会社での貸倒引当金繰入額415百万円計上が主因で、販売費及び一般管理費も3,897百万円から4,567百万円へ増加。
経常利益も330百万円から190百万円へ低下。純利益は投資有価証券売却益498百万円(特別利益)の計上により386百万円と増益となったが、本業の収益力は低下している。
営業CFは977百万円の収入(前期449百万円の支出)へ改善し、現金残高は1,813百万円に増加した。
成長戦略
MF-2026最終年度に向け「荷受から販売会社へ」の転換と収益構造改革を推進
2027年3月期を最終年度とするMF-2026の目標数値(売上高70,000百万円・営業利益630百万円・純利益500百万円)の達成を目指す。当期は売上目標を超過達成したが利益は大幅未達。最終年度に向けた与信管理強化と販売経費の最適化が鍵となる。
旧来型の荷受会社から広範な機能を有する販売会社への転換を推進。共同水産㈱・㈱キタショクとの連携による産地・消費地加工の付加価値向上、養殖魚出荷業者との連携強化による安定供給体制の構築を進めている。当期は販売経費の見直し等により収益面での改善が見られたが、貸倒引当金計上により成果が相殺された。
豊洲市場内の多機能型冷蔵庫を活用した保管業務の効率化を継続推進。当期は売上高1,466百万円・セグメント利益466百万円(前期409百万円)と増益を達成。グループ内部売上高も275百万円から309百万円へ増加しており、水産物卸売業との商流連携による稼働率向上が寄与している。
「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」の進捗状況を同日発表。1株当たり純資産は2,946.60円から3,189.71円へ改善。配当は年間35円を維持(配当性向20.1%)。自己株式の取得も継続しており、株主還元と資本効率改善への取り組みを継続している。
最終更新: 2026年7月19日

