事業内容
兼松株式会社は1918年創業の東証プライム上場総合商社。ICTソリューション、電子・デバイス、食料、鉄鋼・素材・プラント、車両・航空の5セグメントを中核に、連結子会社105社・持分法適用会社25社の計130社で構成される。
国内外のネットワークと各事業分野で培った専門性を商取引・情報収集・市場開拓・事業開発・リスクマネジメント・物流機能と有機的に結合し、多種多様な商品・サービスを提供する。主要顧客は製造業・防衛・半導体・流通・食品メーカー等の国内外企業であり、2026年3月期の収益は1,067,665百万円に達する。
ビジネスモデル
各セグメントで培った専門知識と顧客基盤を活用し、製品売買による売上総利益を主軸としつつ、持分法適用会社25社からの投資損益、ICTソリューション・セキュリティ等のサービス収益を複合的に積み上げる。グループ成長戦略推進室によるクロスセルや、M&Aを通じた事業基盤拡充により付加価値を高め、単純な仲介から「ソリューションプロバイダー」への転換を進めている。
企業の強み
2026年3月期において、ICTソリューションセグメントの営業活動に係る利益は15,174百万円(収益比13.7%)、電子・デバイスセグメントは16,129百万円(収益比5.3%)と、両セグメントで全社営業利益の64%超を占める。兼松エレクトロニクスの完全子会社化(2023年5月)やM&Aによる半導体製造装置事業の拡充が収益基盤を強化している。
中期経営計画「integration 1.1」において配当性向(総還元性向)30〜35%を目途とした累進配当を実施。2026年3月期のROEは17.0%、ROICは9.1%を達成し、ネットDERは0.45倍と財務健全性も高い。
JCR「A(安定的)」・R&I「A-(安定的)」の格付けを取得し、安定的な資金調達基盤を確立している。
社長直轄の「グループ成長戦略推進室」を設置し、各営業部門・主要グループ会社から人材を集約。幅広い業種・業態の顧客基盤に対してグループ各社の強みを横断的に展開するクロスセル体制を構築している。
シリコンバレーのKanematsu Ventures Inc.との協業による新規投資案件の推進も実績として記載されている。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
収益は2022年3月期767,963百万円から2026年3月期1,067,665百万円へ5期連続増収。営業利益は2025年3月期に前期比減益(43,870→42,051百万円)となったが、2026年3月期は48,663百万円と過去最高を更新した。
親会社帰属当期利益も32,523百万円と5期連続増益。外部要因として、防衛費増額を背景とした国内防衛・半導体関連需要の拡大、畜産市況の好調、持分法投資先の業績改善(投資損益86→1,625百万円)が利益押し上げに寄与した。
一方、エネルギー価格の変動や米国通商政策の不透明感が鉄鋼・素材・プラントセグメントの重石となっている。売上総利益率は15.8%(前期14.8%)へ改善し、収益の質も向上している。
成長戦略
DX・GX・イノベーションの3軸でソリューションプロバイダーへの転換を推進
防衛・半導体・流通向けのストレージ・サーバー・セキュリティ案件を拡大し、製品販売からソリューション提供へのビジネスモデル転換を推進。2026年3月期にICTソリューション収益は110,771百万円(前期比+11.3%)、電子・デバイスは306,895百万円(同+13.1%)と両セグメントが牽引役として機能している。
鉄鋼・素材・プラントセグメントにおいて、再生可能エネルギー・排出権・環境関連事業を拡大。兼松サステック等を通じたGX関連ビジネスのシナジー創出を図る。2026年3月期はエネルギー事業低調・プラント反動減で同セグメント収益が減少しており、GX事業の本格貢献が課題。
子会社取得(2026年3月期:6,370百万円支出)や持分法投資先の拡充を通じ、半導体製造装置・食料バリューチェーン・航空宇宙等の成長分野で事業基盤を強化。のれん残高は17,011百万円(前期比+3,241百万円)、持分法投資は22,264百万円(同+4,618百万円)へ増加し、投資の積み上げが進んでいる。
中期経営計画「integration 1.1」で配当性向(総還元性向)30〜35%を目標に設定。2026年3月期は1株当たり年間配当63円(株式分割考慮後)、配当性向32.2%を実現。
2027年3月期は70円(+7円増配)、配当性向33.3%を予定。2026年1月に1株→2株の株式分割を実施し、投資家層の拡大も図っている。
最終更新: 2026年7月19日

