事業内容
セーラー万年筆株式会社は1911年創業、広島県呉市を発祥とする筆記具メーカーである。世界で唯一の「21金ペン先」を擁する万年筆ブランドとして国内外に展開する文具事業(売上高の約78%)と、射出成形品向け自動取出装置・特注自動化装置を製造販売するロボット機器事業(同約22%)の二事業を柱とする。
2022年にプラス株式会社が発行済株式の58%を取得し同社の連結子会社となり、国内文具営業をプラス株式会社に業務委託するほか、欧州販売子会社Sailor Pen Europe SAS、タイ販売子会社THE SAILOR(THAILAND)CO.,LTD.を含むグループ3社体制で事業を運営している。主要顧客は国内外の万年筆愛好家・コレクター層および製造業向け自動化設備ユーザーである。
ビジネスモデル
文具事業では広島工場で万年筆・インクを自社製造し、国内はプラス株式会社への業務委託、海外は欧州子会社・代理店網を通じて販売する。高価格帯限定品・コレクター向けハイエンドモデルへの注力で製品ミックスを改善し収益を確保する。
ロボット機器事業では射出成形用取出ロボットと特注自動化装置を受注生産し、医療・食品関連機器分野を中心に国内外へ販売する。研究開発費は年間114百万円を投じ、IoT・AI活用による高付加価値化を推進している。
企業の強み
世界で唯一の「21金ペン先」を製造する技術力を保有し、米国有力雑誌『PEN WORLD』2025年8月号読者投票で「最も書き心地の良い万年筆」を受賞、21金・14金ペン先が8年連続高評価を獲得。G7広島サミット記念品にも採用されるなど、ブランド価値の高さが対外的に実証されている。
プラス株式会社・ぺんてる株式会社との3社共同開発で「Que Será(ケセラ)ボールペン」を2026年2月に上市。国内文具営業をプラス株式会社に委託することで販売力と物流効率を確保しており、グループシナジーを製品開発・販売の両面で活用できる体制を構築している。
2025年度において文具事業はセグメント利益58百万円(前期はセグメント損失90百万円)と黒字転換を実現。ロボット機器事業の受注残高は352百万円(前期比128.2%)と積み上がっており、次期売上への貢献が期待される実績が確認されている。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2021期5,389百万円をピークに2023期4,559百万円まで減少後、2024期4,678百万円・2025期4,301百万円と推移。2026年12月期第1四半期は1,303百万円(前年同期比14.7%増)と加速した。
営業損益は2021期109百万円の黒字から2023期△342百万円まで悪化後、損失幅が縮小し2026年12月期第1四半期に37百万円の黒字を達成した。外部要因として金地金を中心とした原材料費の著しい高騰が文具事業の利益率を圧迫する一方、欧州市場での万年筆需要好調・北米市場の回復が売上を押し上げた。
通期では営業利益5百万円・当期純損失15百万円を予想しており、黒字化は道半ばの状況にある。
成長戦略
文具ブランド力強化・製品ミックス最適化とロボット海外市場再構築による収益回復
世界唯一の21金ペン先技術を訴求し、コレクター層向けハイエンド万年筆(伝統工芸品仕様等)を継続投入。2025年12月に「プロフェッショナルギア アンカー万年筆」を上市済み。高単価製品比率向上により文具事業の利益率改善を図る。
金地金価格高騰の影響を受けにくいスチール等ペン先製品の販売拡大により利益率を改善。TUZUシリーズのラインエクステンション、プロフィットカジュアルL等の定番品拡販、限定企画品・PB提案を推進。2026年12月期第1四半期に利益率改善効果が確認された。
プラスグループ3社共同開発の新技術インクを搭載したボールペンを2026年2月に上市し好評を得ている。今後は同インクを様々な筆記具に搭載する製品開発を継続し、新カテゴリーでの収益源確立を目指す。
海外Shop in Shop形式常設展開店舗を4店舗から9店舗へ倍増させる計画を推進。各国ペンショーへの出展、インクイベント・ペンメンテナンス支援を通じてブランド体験機会を提供し、欧州・北米・中南米での販売基盤を強化する。
米国市場での現地営業活動を加速し、製造業の国内回帰による自動化需要を取り込む。医療・食品関連機器分野での豊富な実績を基に既存顧客深耕と新規顧客獲得を推進。2026年12月期第1四半期は売上高345百万円(前年同期比27.2%増)と拡大したが、セグメント損失51百万円が継続している。
生産・販売・在庫を連動させたPSI生産計画を実行し、システム・データ連携による生産の合理化と在庫削減を推進。製造部門の最適配置による労務費・経費抑制を継続し、文具事業の収益性向上に寄与させる。
最終更新: 2026年7月17日

