事業内容
河合楽器製作所は1927年創業のピアノメーカーを源流とし、現在は国内外23社のグループで楽器教育・素材加工・IT関連の3事業を展開する。主力の楽器教育事業では、グランドピアノ・アップライトピアノ・電子ピアノ等の製造販売に加え、国内外の音楽教室・体育教室運営、楽譜出版、調律サービスまでを一貫して手掛ける。
製造拠点はインドネシア・中国・国内(静岡竜洋工場等)に分散し、販売は北米・欧州・アジア等の現地法人網と代理店を通じて世界展開する。素材加工事業では金属異形圧延加工品や防音室を手掛け、グループ収益を補完する。
主要顧客は個人音楽愛好家・音楽教室生徒・プロ演奏家・法人(研究機関・医療機関等)と多岐にわたる。
ビジネスモデル
楽器販売による一時的収益と、音楽教室・体育教室の月謝収入による継続的収益を組み合わせた複合モデルを採る。国内では直営店・代理店網と音楽教室を連携させ、教室生徒を楽器購入者へ誘導する循環構造を持つ。
海外では現地法人が販売・教室運営を担い、直営店拡充でブランド体験機会を創出する。素材加工事業の安定的な営業利益がグループ全体の収益を下支えする構造となっている。
企業の強み
2025年11月の第19回ショパン国際ピアノコンクールで入賞者6名中3名がSK-EXを選択。同年12月のパデレフスキ国際コンクール、2026年2月の高松国際ピアノコンクールでも優勝者がSK-EXを選択するなど、世界最高峰の舞台での連続的な採用実績がブランド評価を客観的に裏付けている。
北米・欧州・アジア・オセアニアに現地販売子会社を展開し、2025年7月〜2026年2月にオーストラリア2店舗・米国2店舗の計4直営店を新設。国内では1956年創設のカワイ音楽教室を全国展開し、楽器販売と教室運営を連携させた顧客接点の厚みは競合が短期間で模倣困難な固有資産である。
楽器教育事業が2026年3月期に営業損失852百万円を計上する中、素材加工事業は売上高10,343百万円・営業利益756百万円(営業利益率7.3%)を確保。半導体需要拡大を背景とした金属加工品の販売増と防音室「ナサール」の好調が寄与し、グループ唯一の安定的黒字セグメントとして機能している。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2026年3月期72,049百万円(前期比1.2%減)と5期連続の減収。営業利益は113百万円(前期比64.2%減)と実質ゼロ水準が続く。
一方、経常利益は952百万円(前期比100.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,141百万円(前期比181.7%増)と大幅改善したが、これは為替差益791百万円・投資有価証券償還益655百万円等の非経常的要因による。外部環境として、中国の双減政策継続・欧州の価格競争激化・米国関税政策の不確実性が楽器需要の重石となっており、北米・国内の高付加価値帯での堅調さが下支えするも全体の回復ペースは想定を下回った。
成長戦略
「KAWAI 十年の計」で高付加価値化・シェア拡大・販売チャネル拡充を推進
グランドピアノ「GXシリーズ」のリブランディングおよびフルコンサートピアノ「SK-EX」を軸とした「Shigeru Kawaiシリーズ」の展開。ショパン・パデレフスキ・高松国際ピアノコンクール等での選択実績を通じてブランド価値を向上させ、普及価格帯から高付加価値帯へのミックス改善を図る。
2025年7月〜2026年2月にオーストラリア2店舗・米国2店舗の計4直営店を新規開設。直営店を拠点に音楽関係者との提携やアーティスト支援を通じて製品体験機会を創出し、地域の音楽振興とカワイブランドの浸透を図る。中南米など新規市場の開拓も並行して推進。
デジタルマーケティングの強化およびEC市場を含むディーラー開拓を推進し、オンライン経由の顧客接点を拡大。既存の対面販売チャネルとの組み合わせにより、幅広い顧客層へのリーチ拡大と販売効率の向上を目指す。
2025年10月に防音室に特化した初のショールーム「カワイ音響システム防音ショールーム」を東京に開設。開設以降、防音室の受注増加に寄与しており、素材加工事業の音響事業における収益拡大に貢献。楽器教育事業の収益補完機能を強化する。
2027年3月期の連結業績予想として売上高80,000百万円(前期比11.0%増)・営業利益1,800百万円・経常利益1,900百万円・当期純利益1,600百万円を計画。海外市場での販売回復を主な増収ドライバーとして想定。前提為替レートは1US$=155円、1ユーロ=185円、1元=22円。
最終更新: 2026年7月19日

