事業内容
大日本印刷(DNP)は1876年創業の東証プライム上場企業。子会社145社・関連会社27社で構成されるグループは、スマートコミュニケーション(ICカード・BPO・フォトイメージング・出版)、ライフ&ヘルスケア(包装・バッテリーパウチ・太陽電池封止材・医薬・飲料)、エレクトロニクス(有機ELメタルマスク・光学フィルム・半導体フォトマスク)の3セグメントを擁する。
独自の「P&I」(印刷と情報)技術を核に、消費者向けから産業向けまで幅広い顧客層に製品・サービスを提供し、2026年3月期の売上高は1,512,571百万円に達する。
ビジネスモデル
DNPは印刷技術と情報処理技術の融合(P&I)を競争優位の源泉とし、製造から販売・サービスまでを一貫して手掛ける。スマートコミュニケーション部門ではICカード・BPO・フォトイメージング等で継続的な役務収益を獲得。
ライフ&ヘルスケア部門では機能性フィルム・包装材・飲料等の製造販売で安定収益を確保。エレクトロニクス部門では世界トップシェア製品(有機ELメタルマスク・光学フィルム等)で高い営業利益率(20.1%)を実現する。
企業の強み
有機ELディスプレイ製造用メタルマスクや液晶テレビ用光学フィルム、半導体製造用フォトマスクで世界トップシェア製品を複数保有。2026年3月期のエレクトロニクス部門営業利益率は20.1%と全社平均(6.7%)を大幅に上回る。
黒崎工場での第8世代大型メタルマスクライン稼働、三原工場での2,500mm広幅コーティング装置導入など、自社設備投資による供給能力拡大を継続している。
2026年3月期の営業利益は101,039百万円(前期比7.9%増)と5期連続増収基調を維持。スマートコミュニケーション部門の営業利益率は前期4.8%から5.3%へ、ライフ&ヘルスケア部門は同4.8%から7.3%へそれぞれ改善。
人的資本・固定資産の適正化を中心とした事業構造改革が複数セグメントで同時に収益性向上をもたらしており、グループ全体の利益体質が強化されている。
太陽電池用封止材は泉崎工場(福島県)に従来比約2倍の生産ラインを2025年10月に稼働させ、増産体制を確立。リチウムイオン電池用バッテリーパウチは旧レゾナック・パッケージング(現DNP高機能マテリアル彦根)の全株式取得によりトップシェア維持・拡大に向けた製造ノウハウを統合。
いずれも自社の設備投資・M&Aによる固有の生産能力・技術基盤として構築されている。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2022年3月期1,344,147百万円から2026年3月期1,512,571百万円へ5期連続増収(前期比3.8%増)。営業利益は2023年3月期の61,233百万円を底に改善が続き、2026年3月期は101,039百万円(前期比7.9%増)と初めて100,000百万円を突破した。
一方、親会社株主帰属当期純利益は103,959百万円(前期比6.1%減)と減益に転じた。前期に計上した投資有価証券売却益93,832百万円が当期は44,809百万円に縮小したことが主因であり、経常利益ベースでは119,239百万円(前期比2.9%増)と増益を維持している。
外部要因として米国のEV政策変更による車載向け電池需要低迷、物価高騰を背景とした買い控えが一部事業に影響した。研究開発費は42,277百万円(前期37,561百万円)と積極投資を継続している。
成長戦略
注力6事業への積極投資と構造改革の並行推進で2028年度営業利益1,300億円を目指す
新中期経営計画(2026-2028年度)で半導体製造用フォトマスクに300億円規模の設備投資を実施。黒崎工場での第8世代大型メタルマスク生産ライン(従来比2倍以上)稼働、三原工場での2,500mm広幅光学フィルムライン稼働、久喜工場でのTGVガラスコア基板パイロットライン(2025年12月稼働)を推進中。
EUVリソグラフィ対応フォトマスクやナノインプリントなど最先端領域への展開も継続。
泉崎工場(福島県)に太陽電池封止材の生産能力を従来比約2倍に増強する生産ラインを2025年10月に導入し増産効果が寄与。リチウムイオン電池用バッテリーパウチはESS(電力貯蔵システム)分野へ製品ポートフォリオを拡大し、車載向け需要低迷を補完する戦略を推進。
モビリティ関連と生活空間関連の事業統合(2025年10月)によるシナジー発揮も進行中。
2025年7月にRubicon SEZCを連結子会社化し、アフリカ中心の政府向けID認証サービス(Laxtonブランド)との協業を開始。ICカード・カードプリンター等のグローバル展開を加速させるとともに、BPO事業の拡大、フォトイメージング事業の新興国市場開拓を推進。
のれんは10,295百万円から30,554百万円へ増加しており、M&Aによる事業拡大が財務に反映されている。
2026年3月期に自己株式50,752百万円取得・85,000,000株消却を実施。社債100,000百万円を発行し成長投資原資を確保しつつ、投資有価証券売却(57,803百万円収入)で政策保有株式の縮減を継続。
年間配当金は40円(前期比2円増配)とし、2027年3月期は41円を予定。新中期経営計画では累進配当および配当性向引き上げ方針を明示。
次世代半導体パッケージ向けTGVガラスコア基板のパイロットライン(久喜工場)を2025年12月に稼働開始し、2026年1月から高品質サンプル提供を開始。生成AIを全社的に最適活用しAI前提の業務・意思決定プロセスへの転換を推進。
コンテンツ(アニメ等のIP)ビジネスのグローバル展開、XR・メタバースを活用した新サービス創出にも取り組む。
最終更新: 2026年7月19日

