継続企業前提の重要事象
種結晶販売の低迷、SFD IndiaおよびSFD Antwerpの事業立ち上げ遅延により、当連結会計年度の売上は前期を下回り、営業活動によるキャッシュ・フローが継続して多額のマイナスとなり、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象が存在している。対応策として、第17回新株予約権の行使完了による資金調達、2026年6月の第三者割当による新株式および第18回新株予約権の発行払込完了、緊急経営改革による費用削減を実施しており、現時点では重要な不確実性は認められないと判断している。
輸出規制強化による納期長期化
2025年5月28日施行の輸出貿易管理令改正により、ダイヤモンド製品の輸出許可申請先が近畿経産局から経済産業省本省へ変更され、許可取得に従来の約2週間から2〜3ヶ月を要する状況となった。これにより顧客が必要な時期に製品を入手できない事態が発生し、受注キャンセルや受注困難のリスクが生じている。また、2022年12月〜2023年4月の無許可輸出に対し、2024年5月に経済産業省から厳重注意を受けており、貿易管理委員会を設置して再発防止に取り組んでいる。
特定ユーザーへの過度依存
基板・ウエハ分野の第1位ユーザーの売上比率が27.3%、種結晶の最大ユーザーが10.9%と、分野の異なる2ユーザーへの過度な依存状態が継続している。特定ユーザーの方針変更や経営環境の変化により受注が減少した場合、当社の経営成績および財政状態に直接的な影響を与える可能性がある。2027年3月期には複数プロジェクトの進行によりユーザー分散が期待されるとしているが、短期的な解消は困難な状況である。
産総研との実施権契約リスク
当社の生産技術の根幹をなす産総研特許の独占的通常実施権の許諾期間は2026年10月31日に満了を迎え、許諾期間変更契約の締結が必要となる。仮に独占的通常実施権の更新ができない場合、他社が産総研から非独占的通常実施権の許諾を受けて競合となる可能性があり、当社の財政状態および経営成績に重大な影響を及ぼす可能性がある。なお、許諾期間満了後も各特許の存続期限まで非独占実施権は付与される契約となっており、当社は多数のノウハウ蓄積により競争優位性を維持できると考えている。
競合他社による技術模倣
疑似単結晶ダイヤモンドを種結晶として販売する企業が存在し、20x20mm以上の大型結晶の製作報告もあるなど、当社の主力製品である種結晶市場への競合圧力が高まっている。また、ラボグローンダイヤモンド製造会社が自家生産した種結晶を製作する動きも継続しており、当社のコスト競争力が失われる可能性がある。当社は2025年2月に30x30mm単結晶を実用化し、2026年5月に16〜20mmの大型種結晶の販売を公表するなど製品競争力の強化を図っている。
大型ウエハ開発の遅延リスク
2インチモザイクウエハについて、当連結会計年度中に目標とする品質・サイズを満たすモザイク結晶の作製に至らず、単結晶接続部分の応力による割れ・亀裂が課題となっている。一方、競合他社が先行して大型ウエハを実用化した場合、当社が計画する製品化に大きな影響を与える可能性がある。2026年5月に53x53mmモザイク結晶の開発成功を開示しており、2027年3月期下期での2インチウエハ製品化に取り組んでいる。
SFD Indiaの事業許可取得遅延
2024年7月にインドSurat市に設立したSFD Indiaは、種結晶等を日本から輸入するためのライセンス取得が遅れ、当連結会計年度において実質的に業務ができない状況が続いた。加工用原石の輸入も同様の状況にあり、現時点において関係当局から必要な許可を取得できておらず、当面の間、当該計画の実行は困難と認識している。当社は関係当局と連携して許認可取得の可能性と実務対応を検討しているが、想定どおりに進まない場合、事業展開・営業成績・財政状態に影響を及ぼす可能性がある。
株式希薄化リスク
2026年6月16日時点で、ストック・オプションおよび新株予約権による潜在株式数は3,587,000株であり、同日現在の発行済株式総数15,947,100株の22.49%に相当する。これらが権利行使された場合、既存株主の株式価値および議決権割合が希薄化し、将来の株価に影響を及ぼす可能性がある。2026年5月には第三者割当による新株式および第18回新株予約権の発行を公表し、ウエハ開発等に必要な資金調達を実施している。
為替リスクと米国関税政策
当連結会計年度の外貨建取引比率は51.5%であり、円高トレンドが明確となった場合には為替予約によるリスク回避を方針としている。加えて、トランプ政権の関税政策により米国向け輸出品(主に基板・ウエハ)の現地価格が上昇し、ユーザーからの値下げ要求や取引困難が生じる可能性がある。当社製品は他社が発売していないか形状・特性で優位な位置にあるとしているが、日米交渉の行方次第では計画する基板・ウエハ販売の増加が見込めず、経営成績が想定より悪化する可能性がある。
特定人物への依存リスク
代表取締役社長の藤森直治氏は産総研ダイヤモンド研究センター長出身であり、新製品・新技術開発の中心として技術知見および業界人脈の両面で当社への依存度が極めて高い。技術者の雇用・育成により依存しない体制の構築は進展しているとしているが、何らかの理由で業務執行できない事態となった場合、新製品開発の遅れや生産効率化の遅れにより経営成績および財政状態に影響を与える可能性がある。
重要度・発生可能性は企業の開示情報に基づいて表示されています
最終更新: 2026年7月19日

