事業内容
株式会社イーディーピーは2009年に産総研のダイヤモンド単結晶製造技術を事業化する目的で設立された産総研発ベンチャーである。マイクロ波プラズマCVD法とイオン注入による分離技術を核に、世界最大級の30×30mm単結晶を量産できる唯一の企業として、ラボグローンダイヤモンド製造用種結晶、半導体デバイス向け基板・ウエハ、光学部品・ヒートシンク、工具素材、宝石・宝飾品の5分野に製品を展開する。
主要顧客はインドを中心とする人工宝石製造会社、国内外のダイヤモンドデバイス研究機関(本田技術研究所等)であり、東京証券取引所グロース市場に上場している。
ビジネスモデル
産総研から独占実施権を取得したイオン注入分離技術とモザイク結晶技術により、板状ダイヤモンド単結晶を量産し、用途別に種結晶(7×7mm〜20×20mm)、半導体基板・ウエハ(1インチ含む)、光学部品、宝石として販売する。親結晶から子結晶を繰り返し分離する手法により1枚の親結晶から20枚以上の製品を生産でき、材料効率が高い。
売上高516百万円(2026年3月期)のうち基板・ウエハが349百万円と最大構成比を占め、種結晶は117百万円にとどまる。
企業の強み
2025年2月に30×30mm単結晶の製品化に成功し、これを基に2025年4月に1インチ(直径25mm)ウエハを発売した。同サイズの単結晶は世界最大と同社が位置づけており、競合他社が短期間で模倣困難な技術的優位性を有する。
さらに2026年5月には53×53mmのモザイク結晶開発に成功し、2インチウエハ製作への道筋を確立した。
産総研との特許実施権許諾契約(2026年10月31日まで独占実施権)に基づき、イオン注入分離技術・モザイク結晶製造法など日米欧英独仏の13件の特許を独占的に実施できる。独占期間満了後も非独占的通常実施権が特許存続満了日まで付与される契約構造となっており、技術的参入障壁を形成している。
種結晶(7×7mm〜20×20mm)、各種基板(エピ成長基板・低抵抗基板・(111)面基板等)、1インチウエハ、光学部品・ヒートシンク、宝石まで、厚さ0.03〜3mmの広範な仕様に対応できる。当連結会計年度の受注実績では基板・ウエハが前年同期比116.6%増と拡大しており、多様な顧客ニーズへの対応力が受注増に寄与している。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
2026年3月期の売上高は516百万円(前期902百万円から42.8%減)。種結晶売上が117百万円(前期比78.0%減)と急落し、基板・ウエハ349百万円(同6.0%増)が最大構成要素に転換。
売上原価1,077百万円が売上高を上回る逆ザヤが継続し、売上総損失561百万円。販管費800百万円を加えた営業損失は1,360百万円に拡大。
特別損失として減損損失1,067百万円を計上し、純損失は2,416百万円。総資産は4,378百万円から2,510百万円へ大幅圧縮。
外部要因として、LGD市場の価格下落継続(米国でのLGDシェア50%超)が種結晶需要を直撃した。2027年3月期は売上高1,100百万円・営業損失283百万円を予想。
成長戦略
種結晶偏重からの脱却:インド販売本格化・2インチウエハ実用化・宝石販売拡大の三軸転換
SFD India(インドSurat市)が2026年2月に輸入ライセンスを取得し、インド大口ユーザーからの長期受注を獲得。2027年3月期は2025年3月期売上規模(約530百万円)以上を目標とし、ラボグローンダイヤモンド関連ビジネス全体で600百万円以上の売上を見込む。
輸出許可取得(2か月以上)が納期制約となっている。
ダイヤモンドデバイス向け2インチ(直径50mm)モザイクウエハの開発を推進。2025年12月の完了目標を達成できなかったが、技術的課題の把握が進展。早期販売開始と量産体制確立を目指し、本田技術研究所との共同研究(大型・低抵抗ウエハ)と並行して開発を加速。
SFD吸収合併(2026年3月31日)により国内宝石販売を一体化し、間接部門の効率化と意思決定の迅速化を図る。ルース在庫約126百万円の販売拡大に向け、国内宝飾品企業・百貨店との商談を推進(2026年1月東京国際宝飾展出品)。SFD Antwerpは一時休眠とし事業体制を見直し中。
2026年3月19日付で本田技術研究所とダイヤモンドデバイス用材料の共同研究に関する意向確認書を締結。大型ウエハ・低抵抗ウエハの実用化に向けた開発を進め、車載用パワーデバイス向けデファクトスタンダード採用を目指す。複数製品展開を見込む。
営業キャッシュフローのマイナスが継続する中、NEDO等の公的支援採択に向けた提案を検討。連携企業との協力による公的資金獲得も推進。また、2027年3月期の極力早い時期に新たな資金調達を実行し、ウエハ等の開発に必要な資金を確保する方針。
最終更新: 2026年7月19日

