大研医器株式会社 logo

大研医器株式会社

7775東証スタンダード精密機器

大研医器株式会社 logo
大研医器株式会社7775

事業内容

大研医器株式会社は1968年創業の研究開発型医療機器メーカーで、麻酔関連・病院内感染防止関連製品の企画開発・製造販売を一貫して行う。主力製品は手術室向け吸引器「フィットフィックス」、ディスポーザブル持続注入器「シリンジェクター」「バルーンジェクター」、マイクロポンプ搭載の「クーデックエイミーPCA」など。

顧客は急性期大規模病院を中心に中小病院・慢性期病院・在宅医療機関まで広がる。基礎研究から製造・販売まで全工程を内製し、ISO規格(EN ISO 13485:2016)に基づく品質管理体制を維持。

親会社・子会社を持たない独立した単一セグメント企業である。

ビジネスモデル

医療従事者との密着した関係から潜在ニーズを発掘し、特許を含む独創技術で製品化。研究・開発・製造・販売を内製化することで品質と原価を管理する。

主力のフィットフィックス(吸引器)やシリンジェクター(注入器)はディスポーザブル製品であり、手術件数に連動した継続的な消耗品需要を取り込む。売上高総利益率と売上高経常利益率20%を目標指標に掲げ、収益性重視の経営を志向する。

企業の強み

フィットフィックスは1990年の発売から30年以上にわたり手術室向け吸引器市場でトップシェアを維持。吸引器関連の2026年3月期売上高は6,529百万円(前期比2.1%増)と安定成長を継続。

300床以上の急性期大規模病院での高いシェアを基盤に、中小病院・慢性期病院への展開も進めており、顧客基盤の厚みが競合参入障壁となっている。

血液凝固技術・メカトロニクス技術・精密加工技術(MEMS)等のコア技術を蓄積し、設計製造コンカレント開発を常態化。研究開発部門在籍者20名、2026年3月期の研究開発費は368百万円。

AMEDの医工連携事業化推進事業採択実績や岡山大学・川崎医科大学との共同研究など、産官学連携による技術開発体制を構築している。

2021年発売のマイクロポンプ搭載注入器「クーデックエイミーPCA」は急性期医療機関に加え、在宅医療・無痛分娩・産科領域へ採用が拡大。注入器関連の2026年3月期売上高は2,317百万円(前期比4.5%増)と成長を牽引。

化学療法向け派生製品(CAN Project)は2024年度に薬事申請済みで2026年度後期の上市を予定しており、製品ラインの多様化が進行中である。

エンヴァリスの着眼点

2026年3月期は売上高+3.4%の増収を達成したが、営業利益は前期比15.5%減の1,277百万円、営業利益率は12.4%(前期15.2%)へ低下した。材料コスト上昇(当期製品製造原価+10.5%)、人件費増、研究開発費増が同時進行しており、売上増加分を吸収しきれなかった。

2027年3月期予想では営業利益840百万円(前期比34.3%減)とさらなる減益を見込んでおり、コスト圧力の長期化が懸念される。

2026年3月期の営業活動によるキャッシュ・フローは567百万円と前期1,121百万円から大幅に減少した。仕入債務の350百万円減少(電子記録債務の371百万円減が主因)が資金流出を招いた。

投資活動では有形固定資産取得に327百万円を支出し、財務活動では配当金660百万円支払いと長期借入金返済488百万円が重なった。現金及び現金同等物は2,778百万円と依然として潤沢だが、フリーCFの縮小傾向は注視が必要。

2026年3月期の年間配当金は1株当たり20円(配当性向62.3%)を維持した。しかし2027年3月期予想では当期純利益590百万円(前期比36.1%減)に対し年間配当金20円を維持する方針のため、予想配当性向は97.4%に達する。

外部環境として中東情勢による原材料コスト上昇・円安進行が続く中、利益水準が回復しなければ配当政策の見直しが迫られるリスクがある。

成長戦略

既存製品の市場深耕・クーデックエイミーPCAの拡販・欧州展開の3軸で成長を追求

医療現場で好評を得ているクーデックエイミーPCAについて、在宅市場への拡販に加え急性期医療機関への拡販に注力することで売上拡大を牽引する方針。2026年3月期は注入器関連販売高が前期比+4.5%と堅調に推移した。

欧州医療機器規制(MDR)取得関連費用を先行投資として計上しながら欧州市場への参入を進めている。現時点では海外売上比率は低水準にとどまるが、中長期的な収益多様化の布石として位置付けられている。

製造原価上昇への対応を目的としたサプライチェーン高度化への投資を継続。2026年3月期は有形固定資産取得に327百万円を支出し、建設仮勘定が173百万円から320百万円へ増加。コスト競争力を持った生産体制の構築を目指す。

人員増強・賃上げ等の人的投資と事業領域拡大に向けた研究開発投資を抑制せず継続する方針。短期的には販売費及び一般管理費の増加要因となるが、独創的製品の開発力強化と人材確保による競争優位の維持を目指す。

最終更新: 2026年7月19日