事業内容
株式会社ジャパン・ティッシュエンジニアリング(J-TEC)は、「再生医療をあたりまえの医療に」をビジョンに掲げ、ヒト細胞を培養して組織・臓器を作り出す「ティッシュエンジニアリング」技術を事業の根幹とする企業である。国内で承認された再生医療等製品25製品のうち5製品の承認を保有し、皮膚・軟骨・角膜領域で国内初製品を複数有する。
事業は①再生医療等製品の製造販売(再生医療製品事業)、②アカデミア・企業向けCDMO/CROサービス(再生医療受託事業)、③動物実験代替の研究用ヒト培養組織の製造販売(ラボサイト事業)の3セグメントで構成される。2021年より帝人グループの連結子会社となり、親会社との協創による事業拡大を推進している。
主要顧客は医療機関、製薬・化粧品・化学品メーカー、アカデミア等多岐にわたる。
ビジネスモデル
再生医療製品事業では、患者自身の細胞を採取・培養して医療機関に納品する自家移植型製品を保険診療下で販売し、製品ごとに保険償還価格が設定される。再生医療受託事業では、自社製品開発で蓄積したGCTP適合製造設備・薬事ノウハウを活用し、研究段階から商用生産まで一気通貫でCDMO/CROサービスを提供する。
ラボサイト事業では、OECDテストガイドライン収載の研究用ヒト培養組織を化粧品・医薬品・化学品メーカー等に販売し、国内トップシェアを維持する。帝人リジェネットへのノウハウ使用許諾によるロイヤルティ収入も受託事業の収益源の一つとなっている。
企業の強み
国内で承認された再生医療等製品25製品のうち5製品の承認を保有し、皮膚・軟骨・眼科の各領域で国内初製品を有する。自家培養表皮ジェイスは国内第1号(2007年承認)、自家培養軟骨ジャックは整形外科領域国内初(2012年承認)、自家培養角膜上皮ネピックは眼科領域国内初(2020年承認)であり、創業以来25年超の規制対応・製造ノウハウの蓄積が参入障壁を形成している。
自社製品の開発・製造で培ったGCTP省令準拠の製造・品質管理体制と薬事開発ノウハウを活用し、体細胞・幹細胞・iPS細胞由来製品を問わず研究段階から商用生産まで一気通貫で支援できる体制を構築している。2026年3月期においてアクチュアライズ、VC Cell Therapy、メトセラ、AlliedCelとの複数案件が高付加価値フェーズへ移行しており、実績の蓄積が新規顧客獲得の根拠となっている。
研究用ヒト培養組織ラボサイトシリーズは、皮膚刺激性(TG439)・皮膚腐食性(TG431)・眼刺激性(TG492)・皮膚感作性(EpiSensA、2024年6月収載)の4試験法がOECDテストガイドラインに収載され、国内トップシェアを占める。さらに2025年7月にはISO10993-23にも収載されており、国際標準への適合が欧州・インド等海外展開の基盤となっている。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
2026年3月期の売上高は2,183百万円(前期比11.1%減)、営業損失は549百万円(前期238百万円の損失)、当期純損失は734百万円(前期255百万円の損失)と業績が大幅に悪化した。セグメント別では再生医療製品事業が1,354百万円(前期比9.3%減)、再生医療受託事業が546百万円(前期比23.5%減)と主要2事業が減収となった一方、ラボサイト事業は282百万円(前期比13.5%増)と唯一増収を達成した。
純損失の拡大は、投資有価証券評価損150百万円・固定資産除却損43百万円等の特別損失225百万円の計上が主因。自己資本比率は89.6%と高水準を維持しており、現金及び現金同等物は1,450百万円(期末)を確保している。
2027年3月期は売上高3,070百万円・営業利益100百万円・当期純利益100百万円を予想しており、ジャックの適応拡大効果が本格的に寄与することを前提とした大幅な業績回復を見込む。
成長戦略
ジャック適応拡大・新規パイプライン上市・受託多角化・海外展開の4軸で成長
2026年1月1日付で変形性膝関節症への適応拡大が保険収載され、契約施設数は125施設に拡大。2026年3月には月間30例の過去最高受注を達成しており、中長期的な主力製品として位置づけられる。2027年3月期の業績回復の主要ドライバーとして期待される。
熱傷を含む皮膚欠損を適応とし、2026年3月に製造販売承認申請を行った。独自の乾燥技術により常温での長期保管と即時使用を両立させた特長を有し、救急現場への迅速な提供と海外市場展開を目指す。承認取得後は製品ラインアップの拡充と新たな収益源となることが期待される。
アクチュアライズ、VC Cell Therapy、メトセラ、AlliedCelとの複数案件が高付加価値フェーズへ移行し、特定顧客依存からの脱却が進展。柏の葉「再生医療プラットフォーム」で帝人・国立がん研究センター東病院・三井不動産と協働し、がん領域への展開を加速している。
欧州では定期顧客数が8社に達し、ドイツでの子会社設立準備を進めている。インドでは表皮モデルに加え角膜モデルへの関心も高まっており、現地ニーズに応じた営業活動を展開。研究用腸管上皮モデルの大阪大学からの技術移管により、創薬・食品業界への新規展開も見据える。
白斑治療に注力する施設との連携による患者アクセス向上の取り組みが進展し、拠点施設が42施設まで拡大。期末にかけて新規施設から受注を獲得するなど増収に向けた基盤構築が進んでいる。2024年10月の保険収載後の普及加速が今後の課題。
最終更新: 2026年7月19日

