サプライチェーンリスク
特定サプライヤーへの依存による部品・材料の品質問題や供給不足・価格高騰に加え、米中対立・ウクライナ紛争・中東情勢等の地政学的リスクや港湾ストライキによる物流混乱が生産活動の中断や販売機会の損失を招く可能性がある。さらにサプライチェーン上の人権・環境法令違反が発生した場合、社会的信頼とブランド価値が毀損されるリスクも存在する。対応として新規サプライヤー開拓による供給元の多元化、キーパーツの内製化推進、RBA行動規範に基づく主要サプライヤーへの年次点検を実施している。
国際政治経済リスク
主要市場でのインフレ長期化・金融引き締めによる景気後退、ウクライナ・中東情勢の深刻化、米国通商政策の変化が法人顧客の投資抑制や個人消費低迷を引き起こし、オフィス複合機・医療機器・露光装置・カメラ等の幅広い製品群の売上に悪影響を及ぼす可能性がある。予期しない政策・法制度変更リスクも存在し、特に米国販売が一定割合を占める当社業績への影響は大きい。現地法人との日常的な情報収集・ビジネス概況ヒアリングを経営戦略に反映するとともに、需要減少時には生産調整を実施している。
為替・金利変動リスク
売上の重要な割合を海外で稼得しているため、急激な円高は外貨建売上の円換算額を押し下げ、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性がある。また海外子会社の外貨建財務諸表から生じる為替換算調整勘定の変動や、資産・負債評価に影響する金利変動リスクにも晒されている。対応として短期為替予約によるヘッジ取引を定常的に実施するとともに、外部借入を最小限に抑えることで金利変動影響を抑制し、強固な財務体質の維持に努めている。
自然災害・感染症リスク
本社・情報システム・研究開発基幹設備が東京近郊に集中する中、地震・洪水・森林火災等の自然災害やテロによるインフラ停止が営業活動を混乱させ、物的・人的損害コストが発生する可能性がある。感染症拡大時には世界各地のサプライチェーン・生産活動が停滞し、リモートワーク進展によるオフィス機器プリントボリュームの回復遅延や渡航制限による露光装置設置の遅れが業績を悪化させるリスクがある。同類機種の複数拠点並行生産によるバックアップ体制整備、基幹システムのバックアップ、緊急時連絡体制・訓練の実施等で対応している。
AI技術開発・活用リスク
各国・地域で整備が進むAI関連法規制への不適合が判明した場合、製品・サービスの販売差止めや罰則の対象となる可能性がある。また意図せぬ差別的判断・誤情報出力・予期せぬ動作が利用者や社会に悪影響を及ぼし、ブランド価値毀損や損害賠償責任が発生するリスクに加え、生成AI活用における著作権侵害・機密情報漏洩リスクも存在する。全社規則としてAIリスク評価枠組みを策定し、公平性・透明性・安全性等を評価する独自AIリスク評価シートを製品開発プロセスの各段階で適用するとともに、専門組織が品質・法務部門と連携してグループ全体に展開している。
プリント市場縮小リスク
スマートデバイスの普及によるデジタル化、ペーパーレス化の浸透、リモートワークの拡大により、プリント市場全体として将来的にプリント機会が減少していくことが予想される。市場環境の変化に対応した製品・サービス・ソリューションを十分に提供できない場合、経営成績に悪影響を及ぼす可能性がある。幅広い製品群とクラウドサービスを活用したオフィス外業務印刷サービスの展開、複合機とドキュメントマネジメントサービスの連携、商業印刷・産業印刷分野への新製品投入により需要取り込みを進めている。
半導体・FPD業界サイクルリスク
半導体・FPD業界のビジネスサイクルは変動幅・時期・期間が予測しづらく、供給過剰局面では半導体露光装置・FPD露光装置・有機EL蒸着装置への投資が大きく減少する。市況下降局面では売上減少と在庫増によるキャッシュ・フロー悪化により、継続的に投じてきた研究開発費等の回収が困難となる可能性がある。顧客・用途・販売地域の多様化に向けた製品開発、アフターサービスによる収益基盤の安定化、新生産工場建設による生産能力向上と既存設備活用・柔軟な人員配置体制の構築で対応している。
医療機器規制・事業環境リスク
各国・地域の医療機器規制への対応と認証・承認取得に長期間を要するため、新技術・新製品の臨床効果を読み切れず適時に市場投入できない場合、投資に対して十分な収益が生み出されないリスクがある。米国通商政策によるコスト増、病院経営の悪化、地政学的リスクによる事業環境の不確実性も加わり、がん・循環器疾病の早期発見ニーズや医療サイバーセキュリティ対策への即応が求められる。取引先・協業会社と連携しAI・コア技術を活用した製品・サービスのタイムリーな提供、コストアップの価格転嫁、DXを活用した営業生産性向上により対応している。
情報・製品セキュリティリスク
高度化・複雑化するサイバー攻撃により、製造・研究開発・販売・会計等の機密情報や顧客個人情報が漏洩し、重要業務の中断・損害賠償責任・ブランド価値低下が生じる可能性がある。ネットワーク連携が進む製品・サービスにおいても情報漏洩等のセキュリティインシデントリスクが増大している。情報セキュリティ担当執行役員を意思決定者に位置づけ、CSIRT・PSIRTを設置し、不審メール遮断・不正侵入監視・定期的なサイバー攻撃対応訓練・情報セキュリティ監査を全社で実施している。
人材確保・育成リスク
先端技術産業における人材獲得競争の激化と技術進歩の加速により、有能な人材の採用・育成が困難となり、開発・生産の遅れや研究成果・技術の流出、レンズ加工等の特殊技能の伝承断絶が生じるリスクがある。有能な人材の流出が生じた場合、経営成績に悪影響を及ぼす可能性がある。ジョブマッチング型採用の拡大、キャリアマッチング制度・研修型キャリアマッチング制度の充実、CIST(Canon Institute of Software Technology)による体系的技術人材育成、「キヤノンの名匠認定・表彰」制度による特殊技能伝承促進等で対応している。
重要度・発生可能性は企業の開示情報に基づいて表示されています
最終更新: 2026年4月29日

