事業内容
株式会社ニコンは1917年創業の精密光学機器メーカーで、連結子会社82社・持分法適用会社10社を擁するグローバルグループです。事業は映像(中高級カメラ・交換レンズ)、精機(FPD・半導体露光装置)、ヘルスケア(ライフサイエンス・アイケア・細胞受託生産)、コンポーネント(産業機器・光学部品・EUV関連)、デジタルマニュファクチャリング(金属3Dプリンター)の5セグメントで構成されます。
主要顧客は映像クリエイター・半導体メーカー・医療機関・防衛・航空宇宙企業など多岐にわたり、光利用技術と精密技術をコア技術として多様な産業に価値を提供しています。
ビジネスモデル
映像事業では中高級カメラ・交換レンズの製品販売が主収益源であり、精機事業では受注生産型の露光装置販売と保守サービスが収益を構成します。ヘルスケア事業は顕微鏡・眼科機器の販売に加え細胞受託生産サービスを展開し、コンポーネント事業は産業用計測機器・光学部品の販売で安定収益を確保します。
デジタルマニュファクチャリング事業は金属3Dプリンターの装置販売を軸に防衛・航空宇宙市場へ参入しており、現在は成長投資段階にあります。
企業の強み
光利用技術と精密技術をコア技術として「光学技術」「精密加工技術」「精密計測技術」「画像処理技術」等に展開し、映像・半導体露光・医療・産業計測・金属3Dプリンターと多領域に製品化しています。2026年3月期の研究開発投資は77,195百万円に達し、技術戦略委員会(CTO委員長)が中長期の重点投資分野を統括する体制を整備しています。
2026年3月期末の精機事業受注残高は112,882百万円(前期比3.9%増)を維持しており、FPD露光装置では業界初のUV-LED光源採用「FX-88SL/SLD」、半導体後工程向けデジタル露光装置「DSP-100」の受注開始など新製品投入による市場拡張を実現しています。ASML・Carl Zeissとの特許実施権許諾契約(2029年まで)も技術基盤を支えています。
映像事業の売上収益は290,053百万円と全セグメント最大であり、中高級ミラーレスカメラ・交換レンズ市場で安定した販売台数・金額を維持しています。2026年3月期にはRED Digital Cinema, Inc.との技術融合によるデジタルシネマカメラ「ZR」を発売し、業務用動画市場への本格参入を果たしました。
映像事業の設備投資は10,914百万円、研究開発投資は24,012百万円と継続的に資源を投入しています。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上収益は2024年3月期の717,245百万円をピークに2期連続で減少し、2026年3月期は677,163百万円(前期比5.3%減)。営業利益は2022年3月期49,934百万円→2023年3月期54,908百万円→2024年3月期39,776百万円→2025年3月期2,422百万円→2026年3月期△112,448百万円と急激に悪化した。
2026年3月期の損失拡大の主因はデジタルマニュファクチャリング事業における99,141百万円の減損損失(うちNikon SLM Solutions AG関連が90,627百万円)であり、一過性要因を含む。外部要因として、半導体市況の非AI向け低迷・米国ライフサイエンス市場の停滞・EUV関連市場の減速・関税影響が複数セグメントの収益を圧迫した。
2027年3月期は売上収益740,000百万円(前期比9.3%増)・営業利益10,000百万円への回復を予想しているが、中間期は依然として営業損失7,000百万円を見込んでいる。
成長戦略
3重点分野(デジタルシネマ・大型金属3Dプリンター・ArF液浸/デジタル露光)への集中投資で2030年に向けた企業価値向上を目指す
ニコンとRED Digital Cinema, Inc.の技術を融合したデジタルシネマカメラ「ZR」を発表・販売開始。映像事業の新たな収益柱として業務用動画市場を開拓し、中高級カメラ市場に依存しない収益多様化を図る。新中期経営計画(2026〜2030年度)において重点投資分野の一つに位置づけ。
ニコン初の半導体製造後工程向けデジタル露光装置「DSP-100」の受注を開始。ArF液浸露光装置に加え後工程向け新製品を展開することで精機事業の市場範囲を拡大し、AI関連半導体需要の取り込みを強化する。新中期経営計画においてArF液浸露光・デジタル露光を重点投資分野に指定。
Nikon SLM Solutions AGを通じた大型金属3Dプリンターの販売台数増加(2026年3月期は前期比20.3%増収)を継続し、米国を中心とした防衛・宇宙領域の需要拡大を取り込む。ただし2026年3月期に90,627百万円の大規模減損を計上しており、収益構造の抜本的な改善が前提条件となる。
新中期経営計画において重点投資領域に位置づけ、バランスシートおよびキャッシュ・フローを重視しながら経営資源を配分する方針。
2026年度から2030年度をスコープとする新中期経営計画のもと、バランスシートおよびキャッシュ・フローを重視しながら3重点分野に経営資源を集中配分。短期の業績回復と長期成長のための投資の両立により企業価値向上を目指す。
2027年3月期は売上収益740,000百万円・営業利益10,000百万円・年間配当20円(総還元性向60%以上)を予想。
最終更新: 2026年7月19日

