事業内容
プレシジョン・システム・サイエンス株式会社は、1985年設立のバイオ関連機器メーカーで、独自のマグトレーション・テクノロジーを基盤に核酸自動抽出装置・臨床診断装置・試薬・消耗品を開発・製造・販売する。主要顧客は大学・研究機関・臨床検査センター・製薬会社等で、ELITech Group(イタリア)、Thermo Fisher Scientific(米国)、QIAGEN(ドイツ)、PHC(日本)など世界的ヘルスケア企業とのODM契約を通じてグローバルに製品を供給する。
欧州子会社(Precision System Science Europe GmbH)を通じた自社販売も展開し、装置・試薬・消耗品・メンテナンス関連の4区分で事業を構成する。
ビジネスモデル
収益の中核はODM販売で、2025年6月期においてELITech Group向けが売上高の55.0%(2,580百万円)、PHC向けが11.3%(530百万円)を占める。装置販売が呼び水となり、稼働台数増加に連動して試薬・消耗品(1,545百万円)やメンテナンス関連(716百万円)の反復収益が積み上がる構造を持つ。
製造は子会社エヌピーエス㈱(合弁化移行中)が担い、秋田県大館市の試薬センターで試薬・消耗品を生産する。
企業の強み
1995年に磁性体粒子法を利用した核酸自動抽出技術「マグトレーション・テクノロジー」を製品化し、日本・米国・欧州等の世界各国に特許出願。この独自技術がRoche・QIAGEN・Thermo Fisherなどグローバル大手との長期ODM契約獲得の根拠となっており、技術的参入障壁を形成している。
ELITech Groupとは2029年6月末まで総額約70,000百万円以上のコミットメント契約、QIAGENとは2028年12月末まで、PHCとは2033年3月末まで契約が存在し、複数の長期契約が売上の可視性を高めている。2025年6月期の上位2社合計で売上高の66.3%を占める。
装置販売後に試薬・消耗品・スペアパーツの継続購入が発生する構造で、2025年6月期の試薬・消耗品売上高は1,545百万円(前年同期比8.1%増)、メンテナンス関連は716百万円(同52.7%増)と装置出荷増に連動して伸長。装置売上高2,244百万円を上回る反復収益基盤が形成されつつある。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2023年6月期の5,278百万円を底に回復基調が続き、2026年6月期第3四半期累計(9ヶ月)で3,778百万円(前年同期比9.1%増)を達成。試薬・消耗品が前年同期比40.2%増と牽引し、リカーリング収益の拡大が顕著。
営業利益は前年同期の損失83百万円から134百万円の黒字へ転換し、販管費削減(前年同期比8.2%減)と売上総利益拡大の両輪で収益構造が改善。外部環境として原材料・物流費・人件費の上昇圧力が継続しているが、販売価格への転嫁と調達先分散化で対応。
為替換算調整勘定が65百万円悪化しており、円高進行が包括利益を圧迫している点は留意が必要。
成長戦略
PSSプラットフォーム拡販・試薬リカーリング深耕・糖鎖解析新事業で2027年6月期黒字化を目指す
欧州大手ODM先への長期供給契約に基づくODM製品および自社ブランド製品の海外販売を拡大。2026年6月期第3四半期累計でPSSプラットフォーム装置売上が前年同期比41.0%増の1,424百万円と順調に拡大しており、中期計画の主軸施策として機能している。
装置累計出荷台数の増加に連動した核酸抽出試薬・専用消耗品の販売拡大と、大館試薬センターの稼働率・利益率向上に取り組む。2026年6月期第3四半期累計で試薬・消耗品売上が前年同期比40.2%増の1,535百万円に達し、売上構成比が40.6%へ上昇するなど顕著な進捗を示している。
事業再編と各費用抑制施策の実施により、2026年6月期第3四半期累計の販管費を前年同期比8.2%減の1,023百万円に圧縮。米国子会社(Precision System Science USA, Inc.)の清算結了(2026年3月31日)など不採算事業の整理も完了し、経営資源の集中が進んでいる。
がんや自己免疫疾患の新たな検査マーカーとして糖鎖解析に注目し、単一検出器で複数項目・複数サンプルを同時検出する保有特許と自動化技術を活用した簡便・低コストの糖鎖解析システムの製品化を目指す。現時点では開発段階であり、売上貢献は将来フェーズ。
最終更新: 2026年7月17日

