事業内容
島津製作所は1875年創業、計測機器・医用機器・産業機器・航空機器の4事業を世界展開する精密機器総合メーカーである。計測機器事業(売上高の約65%)では液体クロマト分析システム・質量分析システムを中心に製薬・食品・環境市場へグローバルに供給。
医用機器事業ではX線・医用画像システムを展開し、産業機器事業ではターボ分子ポンプで半導体製造装置市場を支える。航空機器事業では防衛・民間航空機向け搭載品を手掛ける。
子会社81社・関連会社8社を擁し、2026年3月期連結売上高は560,728百万円と過去最高を更新した。
ビジネスモデル
主力の計測機器・医用機器・産業機器・航空機器を研究開発・製造・販売・保守サービスまで一貫して手掛ける。機器販売による初期収益に加え、試薬・カラム等の消耗品供給とアフターサービスによるリカーリング収益を積み上げる構造を持つ。
北米ではZef Scientific, Inc.によるマルチベンダーサービスも展開し、顧客のワークフロー全体へのトータルソリューション提供を通じて顧客との長期的な関係を構築している。
企業の強み
液体クロマト分析システム・質量分析システム・ガスクロマト分析システム等の重点5事業を軸に、北米・欧州・中国・その他アジアに製造・販売・保守拠点を持つ。2026年3月期の計測機器事業売上高は364,908百万円(前期比4.9%増)で、北米8.4%増・欧州11.9%増・その他アジア8.0%増と多地域で成長を実現した。
2026年3月期末時点で借入金残高はゼロであり、営業活動によるキャッシュ・フローは54,679百万円の収入を確保した。現金及び現金同等物は160,839百万円に達し、M&A・設備投資・研究開発への戦略的投資を自己資金で賄える財務基盤を有する。
航空機器事業の営業利益率は2025年3月期の15.7%から2026年3月期には18.9%へ改善。日本向け売上高は防衛力強化方針を背景に前期比15.6%増の35,315百万円となり、受注残高は89,689百万円(前期比6.9%増)と将来収益の可視性が高い。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2022年3月期428,175百万円から2026年3月期560,728百万円へ5期連続増収・過去最高更新。営業利益は2024年3月期72,753百万円をピークに2025年3月期71,720百万円へ一時減少したが、2026年3月期は73,702百万円と回復。
当期純利益も2025年3月期53,776百万円から2026年3月期60,499百万円へ12.5%増と改善。外部要因として2026年3月期は為替差益7,724百万円(前期は為替差損1,513百万円)が経常利益を大きく押し上げ、経常利益は前期比14.9%増の82,753百万円。
2027年3月期は売上高575,000百万円(+2.5%)・営業利益76,000百万円(+3.1%)を予想する一方、経常利益75,000百万円(△9.4%)・当期純利益55,000百万円(△9.1%)と減益見通しで、為替差益の剥落が主因とみられる。
成長戦略
リカーリング拡大・海外基盤強化・AI活用新製品投入の三位一体戦略
計測機器リカーリング事業を統括する新組織を2026年3月期に設立。アフターサービス・試薬消耗品の両輪に加え、マルチベンダーサービス拡大・AI/IoT活用保守高度化・LabTotal事業展開により製品ライフタイム全体での提供価値最大化を図る。
北米はサンフランシスコにR&Dセンター新拠点を設立し顧客共同開発を推進。中国ではターボ分子ポンプ生産拠点を立ち上げ。インドでは新工場建設を含むMake in India政策対応を進め、製薬・受託分析・次世代モビリティ・電池・環境市場への貢献を強化する。
製品・システムへのAI技術組み込みによる分析プロセス革新(AIロボティクス活用の新製品投入)と、情報システム・AI導入による工場・経営の高度化を並行推進。ROICを指標とした資本効率向上も目指す。
臨床市場向け多検体処理用質量分析システムの展開・試薬ラインアップ拡充、感染症検査向け微生物同定MALDIの展開を推進。医用機器ではAI画像解析とIoT技術を融合した新製品投入とアフターサービス強化を継続し、その他アジア地域での高成長(前期比16.7%増)を維持する。
2029年3月期第1四半期から従来の日本基準に替えてIFRS(国際財務報告基準)を任意適用予定。資本市場における財務情報の国際的な比較可能性向上を目的とし、グローバル機関投資家への訴求力強化を図る。
最終更新: 2026年7月19日

