事業内容
株式会社小糸製作所は1915年創業、1936年設立の自動車照明器専業の大手グローバルサプライヤーである。LEDヘッドランプを中心とした自動車用照明器が売上の大部分を占め、日本・米州・中国・アジア・欧州のグローバル5極体制で製造・販売を展開する。
主要顧客はトヨタ自動車をはじめとする国内外の自動車メーカーであり、トヨタ向けだけで売上高の13.6%(128,481百万円)を占める。自動車照明器に加え、鉄道車両制御機器、道路交通信号、航空機部品、LiDARセンサシステムなども手掛ける。
2026年3月期の連結売上高は947,610百万円。
ビジネスモデル
自動車メーカーから車種ごとに受注し、2〜3ヶ月前の内示に基づき生産計画を立案、翌日または旬日単位でライン納入するJIT型サプライヤーモデルを採用する。収益はADB(Adaptive Driving Beam)等の高付加価値LED製品の拡販と、各拠点での生産自動化・合理化による原価低減の両輪で確保する。
グローバル5極の研究開発体制(研究開発費389億円、スタッフ2,842名)を通じて先端技術を商品化し、顧客の新車開発サイクルに合わせた製品供給で継続的な受注を獲得する。
企業の強み
日本・米州・欧州・中国・アジアの5極に技術センターを設置し、グループ全体で研究開発スタッフ2,842名、研究開発費389億円(2026年3月期)を投じる。各極で現地開発・生産・販売を完結させる体制が、顧客の世界最適生産への対応力を支えている。
2003年に世界初のスイブル式AFS、2007年に世界初のLEDヘッドランプ、2019年に世界初のブレードスキャンADBを量産・販売開始するなど、自動車照明の先端技術で複数の世界初実績を持つ。ADBは交通事故低減に直結する製品として各地域で拡販が進んでいる。
トヨタ自動車向け売上高は128,481百万円(売上比13.6%)と最大顧客であり、国内外の主要自動車メーカーと車種単位の長期受注関係を構築している。自動車照明器は車種ごとの専用設計品であり、一度受注すると当該車種のモデルライフ期間中は継続供給が基本となる構造を持つ。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は947,610百万円(前期比+3.4%)と2024年3月期950,295百万円に迫る水準まで回復した。営業利益も51,438百万円(前期比+14.6%)と改善し、日本・米州での販売数量増加と各地域の合理化効果が寄与した。
一方、LiDAR事業・中国事業に係る減損損失21,550百万円を含む特別損失27,336百万円を計上した結果、税金等調整前当期純利益は36,281百万円に留まり、親会社株主帰属純利益は16,539百万円(前期46,240百万円)と大幅に落ち込んだ。外部要因として米国関税が米州利益を圧迫(米州営業利益前期比▲33.1%)、中国では日本車販売不振が継続した。
2027年3月期は特別損失の反動で純利益39,500百万円(前期比+138.8%)を予想する。
成長戦略
ADB・LiDAR等次世代製品の拡販と中国・欧州の生産体制再構築でグローバル収益を改善
Adaptive Driving Beam(ADB)をはじめとする高付加価値製品の拡販により製品ミックスを改善し、収益性向上を図る。2027年3月期の営業利益率目標6.4%(中期計画目標6.0%超)の主要ドライバーと位置付けられている。
センサ事業(LiDAR)は2026年3月期にセグメント損失9,592百万円・減損損失を計上。2027年3月期はLiDAR事業の固定費抑制を明示的に利益改善策として掲げており、事業の収益化に向けた体制見直しを進める。
中国では域内生産体制見直しによる固定費削減を実施し、2026年3月期に営業黒字(534百万円)を回復。欧州は英国子会社譲渡(2025年11月)によりチェコ単独体制に移行し固定費を削減、営業黒字(800百万円)を確保した。2027年3月期も継続的な体制最適化を推進する。
2025年10月公表の第1次中期経営計画における2027年3月期数値目標(売上高930,000百万円、営業利益56,000百万円、営業利益率6.0%)に対し、2027年3月期予想(売上高933,000百万円、営業利益60,000百万円、営業利益率6.4%)は目標を上回る見通しである。
最終更新: 2026年7月19日

