事業内容
カヤバ株式会社(KYB)は1935年創立の油圧機器専業メーカーで、当社及び子会社40社・関連会社7社で構成されるグローバルグループです。主力のAC(オートモーティブコンポーネンツ)事業では四輪・二輪車用油圧緩衝器・電動パワーステアリング機器を、HC(ハイドロリックコンポーネンツ)事業では建設機械向け産業用油圧機器を製造・販売します。
航空機器事業では航空機用離着陸装置・操舵装置等を手掛け、特装車両事業ではコンクリートミキサ車等を展開します。主要顧客はトヨタ自動車をはじめとする国内外の自動車・建設機械メーカーで、欧米・アジアに広範な生産・販売拠点を有します。
2026年3月期の連結売上高は481,529百万円に達しています。
ビジネスモデル
主力のAC・HC両事業は自動車・建設機械メーカーへの見込み生産によるOEM供給が収益の根幹です。AC事業では欧米・アジアの現地生産拠点でOEM製品を製造し、KYB Europe GmbH等の販売子会社を通じて市販・アフターマーケット向けにも展開します。
HC事業は建設機械メーカー向けポンプ・バルブ・シリンダ等を国内外で製造・販売します。知多鋼業の完全子会社化によるサプライチェーン内製化でコスト競争力を強化しつつ、高付加価値の電子制御製品や計測ソリューション等の「コト売り」で収益構造の高度化を進めています。
企業の強み
欧米・アジアに複数の生産拠点(チェコ・スペイン・米国・タイ・中国・ベトナム・インドネシア等)を有し、トヨタ自動車グループ向け販売実績50,427百万円(売上高比10.5%)を筆頭に、国内外の主要自動車・建設機械メーカーへの安定的な供給体制を構築しています。1959年の東証上場以来、60年超にわたり蓄積した顧客関係が参入障壁を形成しています。
創業以来培った油圧技術・振動制御技術・パワー制御技術に電子制御技術を融合したコア技術を保有します。2026年3月期の研究開発費は8,087百万円で、比例ソレノイドバルブ内蔵の減衰力調整式ショックアブソーバの量産開始、電子制御サスペンションシステム「ActRide®」の量産開始、電動オイルポンプの2027年量産予定など、具体的な製品化実績が技術力を裏付けています。
2025年5月に知多鋼業株式会社を完全子会社化し、部品・素材の内製化によるサプライチェーン強靭化と原価低減を実現しました。同取得に伴う負ののれん発生益の計上が2026年3月期の営業利益を押し上げ、連結売上高への寄与とともにAC事業の生産実績は前期比15.6%増の353,124百万円に拡大しています。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2024年3月期・2025年3月期の微減傾向から一転し、2026年3月期は481,529百万円(前期比+9.8%)と過去最高水準に達した。営業利益は34,932百万円(前期比+54.1%)、当期利益は29,036百万円(前期比+94.9%)と大幅回復を果たした。
外部要因として円安による為替追い風がAC事業の欧米向け販売増に寄与した。一方、2027年3月期予想は売上高489,000百万円(+1.6%)・営業利益24,000百万円(△31.3%)・親会社帰属当期利益16,000百万円(△44.9%)と大幅な減益見通しであり、円高進行や通商リスクが主因と見られる。
なお、2027年3月期の売上高予想は有価証券報告書作成過程で489,500百万円から489,000百万円に訂正されている。
成長戦略
インド・電動化・HC事業再構築の三本柱で収益性回復と持続成長を目指す
KYB India Private Limitedを設立し、インド市場でのショックアブソーバ生産・販売体制を構築。OEM供給と市販ビジネスの双方で成長を狙い、アジア新興市場での収益基盤を確立する。
知多鋼業株式会社の完全子会社化により、原材料調達の内製化・原価低減・市販市場強化を同時に実現。サプライチェーンの垂直統合による競争力強化と収益性改善を図る。
電動パワーステアリングの中国・グローバル市場拡販、HC事業における電動化・自動化対応新製品の早期市場投入を推進。建設機械の無人化・省エネ化トレンドへの対応で中長期の成長機会を取り込む。
コスト競争力のある拠点への生産移管とポンプ・バルブの製品ラインナップ拡充により、HC事業の収益性を改善する。欧米向け建設機械輸出の堅調推移を取り込みながら、構造的な利益率向上を目指す。
最終更新: 2026年7月19日

