事業内容
曙ブレーキ工業は1929年創業のブレーキ専業メーカーで、ディスクブレーキ・ドラムブレーキ・摩擦材を中心に、産業機械・鉄道車両用ブレーキも手掛ける。国内4製造子会社を擁する日本セグメントを中核に、北米(米国・メキシコ)、欧州(スロバキア)、中国(蘇州・広州)、タイ、インドネシア(ベトナム含む)の6極グローバル体制を構築。
主要顧客は日系・欧米・中国系完成車メーカーで、補修品・鉄道車両用製品も展開。2026年3月期の連結売上高は160,109百万円。
コア技術として「摩擦と振動の制御・解析」を掲げ、EV対応・環境規制対応製品の開発も推進している。
ビジネスモデル
完成車メーカーから車種ごとに受注を獲得し、各地域の製造拠点で生産・納入する受注製造型モデルが基本。原材料価格・エネルギーコストの上昇分は販売価格への転嫁交渉で収益を確保する。
補修品・鉄道車両用製品は完成車メーカー依存度を下げる収益源として機能。研究開発費は年間1,661百万円(改良関連費用4,832百万円を別途計上)を投じ、次世代製品の競争力を維持している。
企業の強み
日本・北米・欧州・中国・タイ・インドネシアの6地域に製造拠点を持ち、各地域で現地完結型の開発・生産を展開。スロバキア工場での欧州完成車メーカー向け供給、メキシコ工場での北米新型車受注立ち上げなど、顧客の生産地に密着した供給体制が受注獲得の基盤となっている。
「摩擦と振動の制御・解析」をコア技術として、銅フリー摩擦材・ブレーキ摩耗粉塵抑制・電動パーキングブレーキ・アルミ合金製対向型キャリパーなど環境・EV対応製品を開発。2016年・2024年に日本機械学会賞(技術)を受賞しており、技術力の外部評価実績がある。
自動車用補修品および鉄道車両用ブレーキ製品は、完成車メーカーの生産量変動に左右されにくい需要特性を持つ。2026年3月期において日本セグメントの受注増加に貢献し、中期経営計画でも「即効性のある拡販」の主軸として位置付けられている。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2024年3月期の166,301百万円をピークに2期連続減収となり、2026年3月期は160,109百万円(前期比1.0%減)。欧州の大幅受注減(前期比28.0%減)と円高影響が主因。
一方、利益面は大幅改善。原材料・エネルギーコストの価格転嫁と経費削減により営業利益は5,567百万円(同78.2%増)。
外部要因として為替差損(前期1,873百万円)が為替差益(1,570百万円)に転じ、資金調達費用が1,733百万円から42百万円へ激減したことで経常利益は4,790百万円(前期は経常損失2,271百万円)と黒字転換。繰延税金資産計上による税金費用減少も加わり、親会社株主帰属純利益は1,843百万円(同996.3%増)となった。
5期推移では営業利益が2023年3月期の185百万円底から回復基調にあるが、売上高は減少傾向が続いており、収益改善は主にコスト削減と財務費用低下によるものである点に留意が必要。
成長戦略
中計「基盤再構築」3年間で全地域黒字化・営業利益80,000百万円を目指す
米国エリザベスタウン工場閉鎖による1工場体制確立で人員適正化・固定費削減を実施。2027年3月期に営業損益ゼロを目標とし、2026年3月期の営業損失3,182百万円からの脱却を図る。メキシコ拠点での新型車向け受注増加も収益改善に寄与する見込み。
原材料価格・エネルギーコストの販売価格への転嫁、資材調達改善、生産性向上を推進。2026年3月期の日本セグメント営業利益は4,510百万円(前期比68.3%増)と大幅改善し、中計1年目目標を超過達成。2027年3月期も継続して取り組む。
鉄道車両用製品および自動車用補修品の受注増加を推進。2026年3月期の日本セグメントで補修品・鉄道車両用製品の受注増加が売上・利益に貢献。2027年3月期予想でも産業機械・鉄道車両用製品の増加を見込む一方、既存製品の欧州生産移管と一部車種生産終了による受注減少が課題。
2029年3月期〜2031年3月期を「再成長」期間と位置づけ、過去最高益(2007年度営業利益152,000百万円水準)の再達成を目指す。高収益事業を中心とした事業拡大に加え、新技術・新商品・新市場への挑戦に向けた準備を現中計期間中に実施する。
最終更新: 2026年7月19日

