事業内容
田中精密工業㈱は1948年創業の富山県を本拠とする製造グループ。主力の部品製造事業では、ホンダ向けVTECロッカーアームASSYをはじめとする内燃機関・電動機向け精密部品を国内外4拠点(米国・タイ・ベトナム・新潟)で製造・販売し、連結売上高の約75%を占める。
ソリューション事業では㈱タナカエンジニアリングがAGV・組立・検査装置等のFA設備を外販。モビリティ事業では㈱ホンダ自販タナカが富山県内でホンダ製品の販売・レンタルを担う。
本田技研工業㈱および同グループ向けが売上高の約36%を占める主要顧客構造となっている。
ビジネスモデル
部品製造事業は顧客の設計仕様に基づく受注生産型で、アルミダイカスト・精密加工技術を軸に継続的な量産供給で安定収益を確保する。ソリューション事業は自社製造ノウハウを活かしたFA設備・AGVの外販で高利益率(セグメント利益率25.8%)を実現。
モビリティ事業は車両販売・整備・中古車・レンタルを組み合わせた顧客生涯価値型モデルで収益を補完する三層構造を採る。
企業の強み
1957年の本田技研工業㈱との取引開始以来、60年超の継続取引実績を持つ。米国・タイ・ベトナムに製造子会社を展開し、2025年2月には㈱米谷製作所(新潟)を完全子会社化してアルミダイカスト金型製造能力を強化。グローバルサプライチェーンを自社グループ内で完結できる体制を構築している。
ロッカーアームで培ったアルミダイカスト技術を進化させ、BEV部品・ステアリング部品・HEVインバーターケース等の電動化対応製品で受注拡大を実現。ダイカストマシン800トンクラスの生産技術と金属3Dプリンター・TTMC(完全自動加工設備)の融合により、高付加価値部品への対応力を強化している。
㈱タナカエンジニアリングが担うソリューション事業は2026年3月期売上高1,433百万円、セグメント利益率25.8%と高収益を実現。FA関連設備・AGVの販売拡大により前年同期比32.9%の利益増を達成。自社製造現場で培った自動化技術を外販する独自のビジネスモデルが競争優位の源泉となっている。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
売上高は2022年3月期29,671百万円→2024年3月期42,545百万円と急拡大後、2025年3月期40,474百万円に反落したが、2026年3月期は米谷製作所子会社化・ソリューション事業拡大により43,790百万円と回復した。一方、営業利益は2024年3月期3,664百万円をピークに2025年3月期2,705百万円→2026年3月期2,372百万円と2期連続で減少。
北米での製品構成変化・新規立上げコスト増加が主因であり、外部要因として米国関税政策・為替変動も収益を圧迫した。2027年3月期予想は営業利益1,700百万円とさらなる減少を見込み、ピーク比で約54%の水準にとどまる見通し。
営業CFは4,723百万円と安定しているが、設備投資拡大により投資CFは7,421百万円の流出となった。
成長戦略
長期経営計画Next35のもと、xEV対応・ソリューション事業拡大・グループ体制再編を推進
電動化領域(xEV向けアルミ部品・インバーターフレーム等)の新規受注品の量産を推進。2026年3月期は北米での新規立上げコストが利益を圧迫したが、立上げ完了後の収益貢献が期待される。2027年3月期予想では売上製品構成変化に伴うコスト負担増を織り込み済みとしている。
株式会社米谷製作所の子会社化により、アルミダイカスト金型製造能力を内製化しサプライチェーンを拡充。2026年3月期の部品製造事業売上高32,938百万円(前期比8.6%増)の増収に貢献した。グループシナジーの最大化が今後の課題。
FA関連設備・無人自動搬送車の外販拡大により、2026年3月期ソリューション事業売上高1,433百万円(前期比5.0%増)、セグメント利益370百万円(同32.9%増)を達成。接着積層モーターコア製造技術の試作・量産化進展によるxEV向け需要取り込みも継続推進中。
2026年4月1日を効力発生日として、簡易新設分割により中間持株会社「ティースタート株式会社」を設立。株式会社ホンダ自販タナカ及びティーアーク株式会社をその傘下に配置し、事業ごとの経営責任・収益管理の明確化と迅速な意思決定体制を構築した。
長期経営計画Next35における株主還元方針として配当性向30%を目標水準に設定。2026年3月期年間配当32円(配当性向26.0%)、2027年3月期予想34円(配当性向22.0%予想)と段階的な引き上げを継続。利益水準の回復が配当性向目標達成の前提条件となる。
最終更新: 2026年7月19日

