サイバー攻撃リスク
DX推進・AI活用の進展に伴いクラウド等オープン環境の利用が増加する中、サイバー攻撃は高頻度化・高度化・組織化しており、サプライチェーン経由のリスクや地政学的リスクに起因するものも拡大している。攻撃が成功した場合、情報システムの機能停止・業務中断、調査・復旧・再発防止に多大な時間と費用が生じ、社会的信用・業績・財政状態に影響を及ぼす可能性がある。当社はかんぽCSIRTによる多層防御態勢・経済安全保障を勘案した情報セキュリティ管理態勢を整備し、訓練等を通じた実効性確保に取り組んでいる。
日本郵便との関係リスク
当社の商品・サービス提供の大部分は郵便局ネットワークを通じて行われており、日本郵便株式会社への委託手数料(2026年3月期89,830百万円)や郵政管理・支援機構への拠出金(同期57,600百万円)は固定的事業費として直ちに削減できない。非対面サービスへのニーズ高まりによる郵便局利用者数の減少や、代理店管理態勢の不備が生じた場合には、新契約実績・保有契約維持に影響し、行政処分を受ける可能性もある。当社は代理店管理態勢の実効性確保と法令改正への対応を順次進めているが、郵便局ネットワークへの依存構造は事業上の制約となっている。
コンプライアンス・募集品質リスク
2019年度の募集品質問題を契機に抜本的な再発防止策を講じてきたが、その後も日本郵政グループにおける非公開金融情報の不適切利用事案や認可取得前勧誘事案が確認されており、企業風土・組織文化の改善が道半ばであることが示されている。不適正な募集活動や法令違反が再発した場合、業務停止命令等の行政処分を受け、社会的信用・業績・財政状態に重大な影響を及ぼす可能性がある。当社はコンダクトリスク管理態勢の整備・強化、かんぽ営業スタンダードの徹底、全社的なコンプライアンス研修を継続しているが、郵便局ネットワーク全体への実施・監督には困難が伴う。
資産運用リスク
当社は円金利資産の割合が高く、資産と負債のデュレーションにミスマッチがあるため、国内金利の変動により評価損・減損損失や逆ざやが生じるリスクを有している。また外貨建資産の為替リスク・外国金利変動リスク、株式・不動産等の価格変動リスク、投融資先の信用リスクにも広くさらされており、地政学リスクの顕在化等により市場環境が想定を超えて変動した場合には業績・財政状態に影響を及ぼす可能性がある。当社はALM・ERMの高度化、定期的なストレステスト、審査・モニタリング体制の強化に取り組み、中計においてポートフォリオの再構築を推進している。
郵政民営化法規制リスク
当社は郵政民営化法に基づき他の生命保険会社にはない上乗せ規制(業務制限)に服しており、日本郵政株式会社による当社株式の処分が進まない限り規制撤廃の見通しは不明確である。また2026年3月末より経済価値ベースのソルベンシー規制が導入され、市場環境の変動によりソルベンシー・マージン比率が金融庁の求める水準を下回った場合には早期是正措置が発動される可能性がある。さらに保険業法上の認可が想定どおりに得られない場合には新商品の予定どおりの販売が困難となり、競争力に影響を及ぼす可能性がある。
商品・顧客構成リスク
当社の顧客基盤は中高齢層・女性の割合が高く、取扱商品は養老保険・終身保険等の貯蓄性商品に偏重しているため、少子高齢化による人口減少・保有契約高の長期的減少トレンドに直接さらされている。金利上昇局面では保険契約者が高収益の代替金融商品へ資金を移動させ解約・乗換が増加するリスクもある。当社は学資保険・一時払終身保険の改定・拡充や予定利率の改定(2025年7月・2026年1月・2026年5月)を実施し、青壮年層を含む幅広いニーズへの対応を進めているが、タイムリーな商品対応ができない場合には業績・財政状態に影響を及ぼす可能性がある。
経済環境変動リスク
当社グループの収益の大部分は国内で生み出されるため、国内の経済物価情勢・家計所得・貯蓄投資スタンスの変動が事業に直接影響する。消費者物価の高水準継続は事業費高騰・保険料採算悪化・人材確保困難化をもたらし、想定以上の金利上昇は保有債券の評価損拡大と保険解約増加を招く可能性がある。各国の通商政策動向や地政学リスクが国内経済に与える影響も懸念されており、これらが複合的に顕在化した場合には業績・財政状態に重大な影響を及ぼす可能性がある。
AI・デジタル投資リスク
当社は中計期間(2026年度〜2028年度)に900億円規模のビジネス成長戦略投資を実施し、AI・デジタルを前提とした業務再構築・生産性向上に取り組む計画であるが、投資額やコストに見合った成果が得られない場合には減価償却等を通じた費用負担が業績を圧迫する。また、AIの活用には機密情報漏洩・著作権侵害・ハルシネーション・バイアス等の技術面・倫理面のリスクが潜んでおり、不適切なAI利用によるお客さまへの不利益提供が発生した場合には社会的信用・業績に影響を及ぼす可能性がある。当社はグループ統一AIポリシーの策定・事前アセスメントの実施・全社的リスク管理体制の整備を進めているが、AI規制環境の急速な変化への対応遅れも事業展開に悪影響を及ぼすリスクがある。
情報漏えいリスク
当社グループは保険契約者等の大量の個人情報(マイナンバーを含む)を直接または日本郵便株式会社を通じて保有しており、近年は外部委託先における漏えい事案も多発していることから、より厳格な管理が求められている。社員・代理店・業務委託先等による個人情報や内部情報の漏えいが発生した場合、損害賠償請求・行政調査・処分への対応コストが生じるとともに社会的信用が失墜し、業績・財政状態に影響を及ぼす可能性がある。当社はプライバシーポリシー・情報管理規程の整備、在宅勤務時の情報管理徹底、外部委託先を含む厳正な情報管理に取り組んでいる。
業務提携・戦略的提携リスク
当社は三井物産・大和証券グループとのアセットマネジメント提携、KKR・GAとの再保険共同投資(2025年7月に約20億米ドルの追加投資を決定)、保険見直し本舗グループへの少数出資など、国内外で複数の提携・出資を拡大しており、大和アセットマネジメント株式会社に係るのれん相当額は2026年3月期末時点で319億円に達している。提携先において業務遂行・内部統制上の問題が生じた場合や計画どおりに事業が進まない場合には減損処理が発生し、業績・財政状態に影響を及ぼす可能性がある。海外保険市場やアセットマネジメント市場の悪化に直面した場合も同様のリスクが生じるため、当社は外部専門家を活用したリスク認識と提携後のモニタリング体制を整備している。
重要度・発生可能性は企業の開示情報に基づいて表示されています
最終更新: 2026年7月19日

