事業内容
株式会社かんぽ生命保険は、2007年の郵政民営化に伴い設立された生命保険会社であり、日本郵政グループの一員として生命保険業を全国規模で展開している。主な事業は個人保険・個人年金保険の引受(保険引受業務)と有価証券・金銭の信託等を通じた資産運用業務の二本柱で構成される。
全国の郵便局ネットワークを販売・維持管理チャネルとして活用し、終身保険・養老保険を中心とした簡易で小口な商品を家庭市場に提供してきた。また、郵政管理・支援機構から委託を受けた旧簡易生命保険契約の管理業務も受託している。
保有契約件数(個人保険、簡易生命保険含む)は1,772万件超に上り、国内最大規模の顧客基盤を有する。郵政民営化法による商品・業務範囲の制約を受けつつも、近年は届出制への移行により新規業務の機動性が向上している。
ビジネスモデル
保険料等収入(2026年3月期21,886億円相当)と資産運用収益(同13,107億円相当)が主要収益源。販売・維持管理は日本郵便株式会社に委託し、委託手数料(2026年3月期898億円)を支払うことで全国約2万局の郵便局ネットワークを活用する。
総資産58兆4,421億円の大半を公社債中心に運用し、ALMによる金利リスク管理を行いながら順ざや(2026年3月期2,555億円)を確保する収益構造を持つ。
企業の強み
2026年3月末時点で個人保険・簡易生命保険を合わせた保有契約件数は1,772万件超。保有契約年換算保険料(かんぽ生命保険契約区分)は2兆179億円に上り、長期継続契約が積み上がったストック型の収益基盤を形成している。この規模の顧客基盤は短期間での模倣が困難な競争優位となっている。
日本郵便株式会社との保険窓口業務契約・生命保険募集委託契約に基づき、全国の郵便局を販売・維持管理チャネルとして活用。法定のユニバーサルサービス義務に裏付けられた安定的な販売インフラを保有しており、他の生命保険会社が容易に構築できない全国規模の対面チャネルを確保している。
2026年3月末の総資産は58兆4,421億円。危険準備金1兆2,497億円・価格変動準備金7,192億円を積み立て、連結ソルベンシー・マージン比率(経済価値ベース)は181%と自社設定の適正水準(150%〜220%)内を維持。
追加責任準備金も4兆7,395億円を積み立てており、財務健全性は高い水準にある。
エンヴァリスの着眼点
業績トレンド
経常収益(売上高相当)は2024年3月期の6,744,134百万円をピークに2期連続で減少し、2026年3月期は5,625,758百万円(前期比8.8%減)。保険料等収入の減少が主因だが、責任準備金戻入額2,112,204百万円が収益を下支えした。
一方、利益面では外部要因として金利上昇・運用環境好転による金銭の信託運用益の急拡大(397,705百万円)と、新契約初年度の標準責任準備金負担減少が重なり、当期純利益168,798百万円は過去5期で最高水準。自己資本比率も5.4%から7.1%へ改善し、純資産は4,153,628百万円(前期比28.1%増)に拡大した。
2027年3月期は当期純利益141,000百万円(前期比16.5%減)と減益予想であり、運用環境の持続性が焦点となる。
成長戦略
新契約拡大・資産運用高度化・収益源多様化の三本柱で中期目標修正利益1,900億円を目指す
一時払終身保険の販売継続により新契約件数の維持・拡大を図る。新契約の初年度標準責任準備金負担が減少したことで利益への貢献が顕在化しており、保有契約の逓減トレンドを反転させることが中長期的な収益基盤維持の最重要課題。
金銭の信託残高を8,039,836百万円(前期比24.5%増)に拡大し、運用益を前期比約2倍の397,705百万円に伸長させた。大和証券グループ・KKR・GAとの提携等を通じた運用手法の多様化を推進し、金利環境に左右されにくい収益源の確保を目指す。
2026年3月期は年間配当124円(株式分割前)に増配し、自己株式取得79,999百万円を実施。2026年6月30日に30,650,400株を消却予定。中期経営計画期間(2028年度まで)は原則減配せず、総還元性向中期平均55%程度を目標とする。
2026年4月1日付で普通株式1株を3株に分割(基準日2026年3月31日)。投資単位あたりの金額を引き下げ、個人投資家を含む投資家層の拡大と株式流動性の向上を図る。分割後の発行済株式総数は1,115,468,100株(消却後1,084,817,700株予定)。
最終更新: 2026年7月19日

