薬価・調剤報酬改定リスク
在宅訪問薬局事業の売上は薬価基準に基づく薬剤収入と調剤報酬点数に基づく収入で構成されており、毎年の薬価改定や2年毎の調剤報酬改定(直近は2026年4月)による引き下げが業績に直接影響する。薬価引き下げ幅に対して仕入価格の低減が追いつかない場合、または調剤報酬点数が引き下げられた場合には収益性が悪化する。当社グループは対応策を明示していないため、制度改定リスクへの構造的な脆弱性が残る。
法的規制・許認可リスク
薬局開設許可・保険薬局指定・麻薬小売業者免許など多数の許認可(有効期間3〜6年)を取得して事業を運営しており、更新手続きの不備や法令違反があった場合には営業停止・取消処分を受けるリスクがある。医薬品医療機器等法・健康保険法・介護保険法等の改正により事業運営や出店計画に制約が生じる可能性もある。これまで処分を受けた実績はないが、複数の法令にまたがる管理体制の維持が継続的な課題となっている。
介護保険法改正・介護報酬改定
プライマリケアホーム事業は公的介護保険内サービスが中心であり、3年毎の介護保険法改正および介護報酬改定(直近は2024年4月)の影響を直接受ける。報酬単価の引き下げや算定要件の厳格化が行われた場合、事業収益が悪化する可能性がある。制度改定の頻度が高く、事業計画の安定性に対する構造的なリスク要因となっている。
固定資産・のれん減損リスク
在宅訪問薬局事業では調剤薬局の店舗資産やM&Aに伴うのれん等の長期性資産を保有しており、門前医療機関の移転・廃業や競合激化により収益性が低下した場合に減損損失が発生するリスクがある。M&Aにおいては投資回収を基本方針としているが、買収後の環境変化や想定シナジーが得られない場合にはのれん減損が業績に重大な影響を与える。現状は適切に減損処理を実施しているとしているが、積極的なM&A戦略を継続する中でリスクは累積する可能性がある。
M&A・事業展開リスク
在宅訪問薬局事業においてM&Aを含む積極的な新規出店を推進しているが、適切な物件確保ができない場合や出店後に計画どおりの売上が確保できない場合には事業計画との乖離が生じる。医療機関の移転・廃業による売上減少や、経済環境・業界環境の変化によるシナジー未達もリスク要因として挙げられている。収益性を重視した投資回収方針を掲げているものの、外部環境の変化に対する不確実性は高い。
個人情報漏洩リスク
在宅訪問薬局事業・プライマリケアホーム事業において患者の病歴・薬歴等の機微な個人情報を大量に取り扱っており、外部からの不正アクセスや社内管理ミスによる情報漏洩が発生した場合には多額の賠償金支払いや行政処分・刑事罰のリスクがある。薬剤師には刑法第134条第1項による重い守秘義務が課されており、違反時の法的リスクは特に高い。社内規程整備やガイドライン準拠のチェックを実施しているが、サイバー攻撃等の外部脅威への対応力が継続的な課題となる。
人材確保・育成リスク
薬剤師・看護師・介護福祉士・ケアマネジャー等の専門資格保有者に加え、営業人材やITエンジニアなど多様な人材の確保・育成が事業拡大の前提となっている。専門職の採用市場は競争が激しく、計画どおりの採用・育成が進まない場合や重要人材が流出した場合には事業拡大の制約要因となり業績・財政状態に影響を及ぼす。新卒・中途採用の強化と定着率向上に注力しているが、構造的な人手不足が続く医療・介護業界においてリスクは高い水準にある。
損害賠償・調剤過誤リスク
調剤過誤や介護施設における利用者事故が発生した場合、損害賠償の支払いや社会的信用の失墜により業績・財政状態に影響を及ぼす可能性がある。調剤過誤防止のためダブルチェック体制・機械化推進・研修実施を行い全店舗で賠償責任保険に加入しているが、介護サービスでは要介護度の高い高齢者を対象とするため重大事故に発展するリスクが内在する。高齢者虐待防止法に基づく取り組みも実施しているが、不適切ケアや虐待が発生した場合には法令処罰・訴訟・社会的信頼失墜のリスクがある。
大株主による影響リスク
エムスリー株式会社グループが発行済株式総数の28%を保有する大株主であり、同社が経営方針や当社株式の保有方針を変更した場合には当社事業・株式流動性・株価形成に影響を及ぼす可能性がある。現時点では役員招聘等の人的関係や事前承認事項はなく競合も想定されていないが、将来的な方針変更リスクは排除できない。人材派遣・紹介等の取引関係があり、取引条件の適正性確保に努めているとしている。
消費税・仕入価格暫定処理リスク
調剤・介護の売上は消費税非課税である一方、医薬品等の仕入は課税対象であるため当社グループが消費税の最終負担者となっており、消費税率改定が薬価改定に連動しない場合には収益が圧迫される。また、薬価改定後に医薬品卸業者との最終仕入価格妥結までの期間は暫定価格で計上するため、暫定価格と最終価格に重要な差異が生じた場合には四半期間で業績に歪みが生じる可能性がある。これらは業界慣行に起因する構造的なリスクであり、個社での対応には限界がある。
重要度・発生可能性は企業の開示情報に基づいて表示されています
最終更新: 2026年7月19日

